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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第四章 毒々しき心

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第66話 半人半魔の覚悟

 ツヴァイは、ラミアナと対峙していた。

 ツヴァイの新たなる武器、魔人の鎧槍(アーマード・ランス)とその魔闘気によって、戦いは有利に進められている。


「流石は、元魔将……やはり、侮ってはいかんな」

「侮る? この俺を侮っていたというのか? 愚かだな……」


 ラミアナは、かなりダメージを負っていた。

 ツヴァイは勝負を決めるため、ラミアナの元に駆け寄っていく。


「その愚かな思考のまま死ぬがいい!」

「ふん! もう侮らないと言ったはずだ」

「何!?」


 すると、ラミアナが二つの剣を広げるように構えた。

 そして、その体が尻尾を起点に回転していく。


回転剣舞(ブレード・ロール)!」

「むうっ!」


 ラミアナは回転したままツヴァイにぶつかってくる。


「ぐうううっ!」


 その衝撃によって、ツヴァイの体はどんどんと後退していく。

 ツヴァイはそのまま、壁際まで追いつめられる。


「くっ!」


 魔人の鎧槍(アーマード・ランス)が、その回転によって削られていく。

 いくらツヴァイでも、生身でこの攻撃を受けると一たまりもない。

 よって、どうにかして、この状況から抜け出さなければならないのだ。


「おおっ!」


 ツヴァイは、鎧に電撃を纏っていく。

 しかし、それでもラミアナの攻撃は止まらない。

 そこでツヴァイは、鎧に纏った電撃を外に放出する。


「……鎧放電撃(アーマード・スパーク)!」

「ぬうっ!」


 放出された電撃が、ラミアナの体に伝わっていく。

 電撃によって痺れたラミアナの体が、少しだけ動きを緩める。

 その隙を、ツヴァイは見逃さなかった。


変化(チェンジ・)(ランス)!」


 ツヴァイは、鎧を槍に変化し、その衝撃によってラミアナの体を後退させる。

 さらにツヴァイは槍を手に取り、追撃を仕掛けていく。


雷の槍(サンダー・ランス)!」

「ぬわあっ!?」


 雷を纏いし槍によって、ラミアナは回転を強引に止められる。

 そして、その衝撃で後方に吹き飛んだ。


「はあ、はあ……」


 ツヴァイはなんとか窮地を脱したものの、その一瞬でかなり疲労していた。

 鎧から槍に変化させる際、一歩間違えていたら、ツヴァイは死んでいただろう。

 そのため、かなり精神をすり減らしてしまったのだ。


「くうう!」


 疲労しているのは、ラミアナも同じである。

 ツヴァイの強力な魔闘気を何度も受け、その体には、無数の傷跡がついていた。


変化(チェンジ・)(アーマード)……」


 ツヴァイは槍を鎧に変化しつつ、体勢を立て直す。

 それに合わせて、ラミアナも二本の剣を交差させる。


「次に何を仕掛けてくるか知らんが、この俺の鎧を破ることはできんぞ……」

「ふっ……! そんな態度ができるのも今の内だ……」


 ラミアナはそう言うと、ツヴァイ向かって突進してきた。

 ツヴァイに、これを受け止める道理はない。

 すぐに走り、回避する。


「逃がさん!」


 ラミアナはその状態から飛び上がり、ツヴァイの頭上へと移動した。


「何!?」

「喰らうがいい……これが毒魔奥義……」


 ツヴァイの頭上で、ラミアナは回転を始める。

 さらに、それと同時に二本の剣による突きが放たれた。


蛇の嵐(スネーク・ストーム)!」

「ぐううっ!」


 ツヴァイの体と、その周囲に無数の突きが襲い掛かる。

 その衝撃によって、鎧がどんどんと削れていく。


「くっ!」


 ツヴァイは、その場所から逃れようと足を動かした。


「何!?」

 

 しかし、ツヴァイは思うように動けない。

 ラミアナの回転によって、空気の流れが変えられ、ツヴァイをその場所に引き戻すのだ。


「無駄だ! 我が奥義は回避不能!」

「ぐわああっ!」


 鎧の一部が砕け散り、その隙間から刃が刺さる。

 ツヴァイの体から、鮮血が飛ぶ。


鎧放電撃(アーマード・スパーク)!」


 ツヴァイは、鎧から電撃を引き起こす。

 その電撃が、ラミアナに襲いかかる。


「くっ! だが、地上の時と同じようにはいかんぞ!」


 電撃で、ラミアナの動きを少しだけ止めることができた。

 しかし、ラミアナの言う通り、先程までとは状況が違う。


「くっ……!」


 突きの雨が降り注ぐ今、鎧がなくなれば、ツヴァイの体はその攻撃に耐えられない。

 よって、槍による反撃は行えないのだ。


「これで!」

「ぬううっ!」


 ラミアナの体が、ツヴァイにのしかかる。

 その重さによって、ツヴァイは鎧ごと地面に埋まった。


「ふっ……」


 ラミアナは、そこから飛び退き、一度体勢を立て直す。


「がはっ……!」


 ツヴァイの意識は、薄れかかっていた。

 鎧の所々には穴が開き、傷も負っている。

 体の自由が、だんだんとなくなっていくのが理解できた。


「だが……」


 しかし、ツヴァイは体を起こす。

 まだ諦める訳には、いかないのだ。


「なっ……何故、立ち上がる?」


 そんなツヴァイの様子に、ラミアナは目を丸くする。

 ラミアナの知るツヴァイという男は、仲間のためなどと、ここまで熱くなる者ではない。

 他者に対して、一歩引いた態度で接するのがツヴァイだった。そのツヴァイが、アンナのためにここまで戦うのは、彼女にとって意外なことだったのだ。


「全ては……我が妹と、妹を慕う者達のためだ。そのためには、俺は命すら惜しくはない」

「妹……」


 ツヴァイがここ立つ理由は、ティリアのためであった。

 それ以外の理由など、彼には必要ない。

 そして、鎧魔城で一度散った彼は、命などいらないとさえ思っているのだ。


「俺は、自身を見失っていた……そして、色々なものを失った。だが、妹の幸せだけは、守り抜いてみせる」

「……それがお前の覚悟なのか!?」

「そうだ……!」


 そこでツヴァイは、鎧を槍に変化させる。


変化(チェンジ・)(ランス)……」

「何……防御を捨てるのか?」

「ああ、最早防御など不要……」


 ツヴァイの体に、闘気と魔法が混じり合って覆われていく。

 今出せる最大級の力が、ツヴァイに宿ったのだ。


「回転には……回転だ」


 ツヴァイは、持つ槍を回転させながら、ゆっくりとラミアナに近寄る。


回転する(スピニング・)雷の槍(サンダー・ランス)!」


 さらに、その槍に雷が纏われた。

 ラミアナは、剣を交差させて構える。


「ならば望み通りにしてやる……」

「来い……!」


 ラミアナは飛び上がり、ツヴァイの頭上に行った。

 そして、それに合わせて回転しながら、突きを放つ。


「毒魔奥義……蛇の嵐(スネーク・ストーム)!」

「はああああっ!」


 無数の突きが、ツヴァイの回転する槍とぶつかり合う。


「何!?」

「ぐわあっ!」


 二つの回転がぶつかり合い、両者がその勢いによって、吹き飛んだ。


「ぐああっ!」


 ツヴァイは、そのまま壁に衝突し、叫びをあげる。

 ラミアナ最強の技を受けてことによって、ツヴァイの体は限界が近い。





 ティリアは、ツヴァイがラミアナと戦っている中、アンナの治療を行っていた。


回復呪文(ヒール)浄化(プリフィケーション)!」

「うっ……」


 アンナの体に、何度も回復魔法をかけているが、一向に毒が抜ける気配はない。ラミアナの毒はかなり強力なもののようだ。


「どうにかしないと……」

「ティ、ティリア……」


 ティリアが焦っていると、アンナが声をあげた。


「アンナさん、どうしたんですか?」

「わ、私の手を……に、握って……」

「え? はい、わかりました」


 ティリアは困惑しながらも、アンナの言葉に従う。

 すると、握った手から力が流れ込んでくる。


「これは……! 聖なる力!?」


 そこで、ティリアは理解した。アンナは、聖なる力を自分に与えてくれたのだと。


「これなら……」


 その力で、ティリアは回復魔法を放つ。

 これなら、より強力な力が使えると、ティリアにはわかった。


回復呪文(ヒール)浄化(プリフィケーション)!」


 強力な回復魔法が、アンナの体にかけられる。

 その力が、アンナの体から毒を抜いていく。





 ラミアナは衝撃で吹き飛ばされたが、すぐに体勢を立て直し、ツヴァイの元に向かっていた。

 今、ツヴァイは動けない。ここで、一気に勝負を決めるのだ。


「む?」


 しかし、そこでラミアナは気づく。強い闘気が、蘇っていることに。


「まさか……」

「……」


 その人物は、ゆっくりとツヴァイの元に歩み寄り、庇うように前に立った。


「さあ、もう一度始めようか……」

「勇者……!」


 ここに、勇者アンナが復活したのだ。

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