表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第三章 鎧に隠された真実

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/160

第48話 鎧魔団副団長

 プラチナスは、自身の体に起こった変化に驚きが隠せなかった。


「な、何故……?」


 カルーナは、プラチナスが動揺しているのを見ていたが、追撃することはできなかった。

 今ここで魔法を放っても、反射(リフレクト)されるだけだからだ。


「そうか……!」


 そこで、プラチナスは声をあげた。


「私の体を熱した後、急激に冷やしたのか……!」

「……そう、あなたの体の温度だけは、私にも変えることができたから」


 熱したものが、急激に冷やされると、割れたりすることがある。カルーナはこの原理を利用し、プラチナスを熱した後、急激に冷却することで破壊したのだった。


「なるほど……流石だ。この限られた環境で、これだけのことをするとは……」

「あなたの体は、これ以上動けば壊れてしまう。最も、次に魔法を放っても反射される」

「ふふふっ! だから、このままここから動くなという訳か……」


 カルーナは、既に戦いが終わったと思っていたが、プラチナスは笑い始めるのだった。


「リビングアーマーを舐めないでもらおうか!」


 プラチナスは、自身の状態も気にせず、カルーナの元に飛び掛かってきた。


「くっ!」


 カルーナは当然後退した。その場所に剣が振り下ろされ、床がわれていった。


「どうして……?」

「私の闘気で、この体を繋ぎ止めているのだ。長くはもたないが、この戦いくらいは切り抜けることができるだろう」

「そ、そんな!」


 プラチナスは、そう言い放った。

 カルーナは、その様子に驚いた。自分の作戦が成功したが、プラチナスはそれでも倒すことができなかった。それは、カルーナにとって危機的な状況であることを表していた。


「くっ……!」


 次の手を考えなければ、そう思ったカルーナだったが、プラチナスが剣を大きく振り上げた。


白金の衝撃(プラチナ・ブラスト)!」


 白金の闘気が、カルーナに襲い掛かってくる。


「くっ……!」


 カルーナは必死に身を躱し、その攻撃から逃げていく。しかし、プラチナスはさらなる追撃を行ってきた。


白金の衝撃(プラチナ・ブラスト)!」

「うっ!」


 動揺していたカルーナに、その攻撃が掠った。


「ま、まずい……」

「油断したようだな!」


 カルーナに、プラチナスが迫ってくる。

 こうなったら、カルーナも覚悟を決めるしかない。魔法を反射されるとしても、ここで攻撃することを、カルーナは決めるのだった。


小さな(リトル)紅蓮の火球(ファイアー・ボール)!」

「ふん! 反射(リフレクト)!」


 プラチナスは足を止め、そこで魔法を反射した。

 カルーナは、その火球を躱しながらプラチナスに接近していく。


「何……!? 近づいてくるか!?」

紅蓮の火球(ファイアー・ボール)!」


 カルーナは、手の平に火球を出現させる。


「くっ!」


 そこで、プラチナスは反射(リフレクト)を使わず後退していく。


「まさか、近距離で自分ごと爆破させようとは……」

「はあ、はあ……」


 カルーナは、プラチナスに超近距離で魔法を当て、例え反射しても関係なく攻撃しようとしていたのだ。しかし、それは彼女にとっても捨て身の攻撃であった。


「お互いに、捨て身という訳か……」

「そうみたいだね……」


 カルーナもプラチナスも互いに、自らの最も大切のものの元へ敵を行かせないために戦っていた。二人は、どこかで通じ合ったが、それは今問題ではなかった。


「ならば、私も覚悟を決めよう……」


 プラチナスは剣を構えながら、カルーナと向き合った。

 カルーナも、自身の手に火球を出現させる。


「喰らえ! 白金の衝撃(プラチナ・ブラスト)!」

「くっ! 紅蓮の火球(ファイアー・ボール)!」


 カルーナは白金の闘気に対して、火球を放った。二つの力がぶつかり合って、弾け飛んだ。


「はああああ!」


 近距離から魔法を放つために、カルーナはプラチナスに接近した。プラチナスも大きく剣を振り上げ、カルーナを狙う。


「喰らえ!」

紅蓮の火球(ファイアー・ボール)!」


 その時だった。


「むうっ!?」

「くあっ!」


 突如現れた謎の影に、カルーナが弾き飛ばされた。


「な、何者?」


 謎の影を、カルーナとプラチナスは認識した。

 ボロボロのマントで身を包み、顔もフードなどによって隠されていた。


「……剣を引け」

「な、急に現れて何を言う?」


 声色から男のようだ。その男は、プラチナスの方を向きながら、そう言い放っていた。

 この行為に、当然プラチナスは困惑してしまった。


「ど、どういうこと……?」


 カルーナは混乱していた。自身を弾き飛ばしたため、その相手は敵であると推測したが、プラチナス相手にそう言ったので、こちらの味方なのかもしれない。そして、先程の声を、カルーナは聞いたことがあった。


「何者か、知らんが……私の邪魔をするなら、容赦はせんぞ!」


 プラチナスは男の言葉に従わず、剣を大きく振り上げた。


「ふん!」

「ぐああっ!」


 その瞬間、男は大きく飛び上がり、その足でプラチナスを蹴り抜いた。その攻撃でプラチナスの体が砕け、その破片が飛び散った。


「ぬうっ!」

「はあっ!」


 よろけるプラチナスに、男の蹴りがもう一度突き刺さった。プラチナスの体がさらに砕けていく。


「かっ……」


 プラチナスはその衝撃に膝をつき、やがて倒れていった。


「な、何が起こったの……?」


 カルーナは一連の流れをずっと見ていたが、ただ困惑することしかできなかった。

 目の前にいる男が、自身の敵であるプラチナスを倒した。それだけなら、自身の味方であるように思えるが、彼がこちらに攻撃を仕掛けてこないとも限らなかった。


「くっ……」


 カルーナは立ち上がりながら、魔力を手の平に集中させていく。


「……ふっ」

「えっ……?」


 そこで男はフードを取り払い、その顔をカルーナに見せた。


「あ、あなたは……」


 その男の顔を見たカルーナは、目を丸くして驚いた。





 アンナとツヴァイは、対峙していた。

 ツヴァイはそんな中、自分の後ろにいるティリアに話しかけていた。


「ティリア、お前はそこで見ているんだ」

「ツ、ツヴァイ、私はあなたと――」

「何も言う必要はない……俺は勇者を倒し、魔王様から確固たる地位を与えてもらう。そうすれば、俺達はともにあることができる」


 ティリアは、兄であるツヴァイに語りかけようとしたが、それをツヴァイは遮った。


「そんなの、私は望んでいません!」

「ティリア、お前は真実を知らないからそう言えるのだ」


 ツヴァイは、ティリアの言葉など聞く意味もないというように否定した。


「人間達も……いや、魔族であっても俺達を受け入れることなどない!」

「どうして……どうして、そんなことを言うんですか!?」


 ティリアからの疑問を受けて、ツヴァイの顔が歪んでいった。


「なぜなら、俺達の父親と母親の末路が、それを表しているからだ!」

「……ど、どういうことですか?」

「ならば、教えてやろう!」


 ツヴァイは、大きく叫んだ。


「俺達の両親は、それぞれ同じ種族に殺されたのだ! 母さんは、人間に! 父さんは悪魔に! 全ては俺が半人半魔(ハーフ)であるからだった! そんなものなのだ! 俺達の存在は!」

「そ……そんな……」


 その言葉に、ティリアはひどく動揺した。自分の両親が亡くなったひどい理由を聞かされて、心が痛んだ。その心の痛みを、ツヴァイは逃さないために、さらに言葉をかける。


「俺達は、世界に拒まれている! お前もいずれ知ることになる! 俺達が生きていくには、力で示すしかないのだ!」

「そ、それは……」


 ティリアがツヴァイの気迫に押されていく中、一つの声が響いた。


「さっきから何か知らないが……」

「うん?」

「あっ……」


 アンナは、拳を握りしめながら叫んだ。


「ティリアは、私の友達だ! 私はティリアを! 拒んだりしない!」」

「勇者、貴様……!」

「アンナさん……」


 アンナの一言で、ティリアの迷いは一気に吹き飛んだ。自分が何者でも、アンナ達がいると思い出したからだ。

 ツヴァイは、顔を歪めながらアンナを見つめた。


「やはり、お前を排除しなければならないな……」


 二人の戦いが、始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ