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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第三章 鎧に隠された真実

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第34話 カルーナの悩み

 アンナとカルーナ、ティリアの三人は無事に国境を越えていた。

 関所に関しては、事前にウィンダルス王が話を通していたらしく、思った以上にすんなり通過できた。

 エスラティオ王国の王都までの道のりは、まだまだ遠いため、今日は通過点にあった村で宿をとることになった。


「さて、今日はこの村に泊まるんだけど」


 村について、アンナが御者席から降りようとしていると、カルーナが小さな声で話しかけてきた。


「カルーナ? どうかしたの?」

「あのね、お姉ちゃん。今日はそれぞれ別の部屋に泊まらない?」

「それは、またどうして?」

「だって、ティリアさんもいるし、同じ部屋って変じゃないかなって」

「そうかな?」


 カルーナの言葉を聞いて、アンナは首を傾げた。そして、馬車の戸を開けて、中のティリアに話を振った。


「ねえ、ティリア、宿の部屋って、一つでいい?」

「え? あ、はい。一つで大丈夫です」

「そっか、ならそれでいいよね」


 ティリアの了承が得られたので、カルーナに話しかけてみる。


「ま、まあいいけど……」





 結局三人は、同じ部屋に泊まることになった。

 一度部屋に行った後、いつも通りお風呂に入る流れになった。

 せっかくなので、三人で入浴することになったのだが、アンナはそこで違和感を覚えた。


「カルーナ?」

「何かな?」

「いや、なんかいつもより遠くない?」

「そう? いつも通りだと思うけど」

「いや……」


 カルーナは明らかに嘘をついていた。いつもなら、肌と肌がくっつく程近寄ってくるが、今日は拳一つ分程離れていたのだ。カルーナとは反対の隣にいるティリアは、不思議そうな顔で聞いてきた。


「いつもは、そんなに近いんですか?」

「そ、そんなことないですよ」


 ティリアの質問を、カルーナは何故か必死に誤魔化していた。


「カルーナ、一体どうしたの? いつもと違うよ?」

「お、お姉ちゃん」

「カルーナさん、いつもと違うんですか?」

「あ、いや、その……」


 カルーナの顔が、どんどんと赤くなっていった。

 そこで、アンナはやっと気づいた。


「カルーナ、もしかして恥ずかしがっているの?」

「うっ……」

「恥ずかしい……? カルーナさん、一体何が恥ずかしのですか?」


 カルーナはどうやら、姉に甘えていることを他人に知られるのが嫌なようだった。

 思い返してみれば、カルーナは変なところで恥ずかしがっていたりするのだ。アンナとしては、妹に甘えられるのは嬉しいし、別に他人から見ても、そこまで気になるようなことではないと思っている。


「ううっ……」


 しかし、これ以上何か言っても、カルーナが可哀そうだと思い、アンナは何も言わないことにした。ティリアも、カルーナが顔を赤くして話せそうにないことを察してくれたのか、それ以上言及することはなかった。





 入浴を終え、部屋に戻った三人は寝ることにした。

 アンナも予想していたことだが、カルーナはアンナと同じベットに入ろうとせず、別のベットで寝ようとしていた。


「カルーナ……」

「な、何かな? お姉ちゃん。私は、いつも通りだよ?」

「あ、あーあ、そう……」


 アンナは、何故か少しだけ悲しくなってきた。恥ずかしがっているのはわかってるとはいえ、ここまで拒絶されるのは、普通に嫌だった。

 そんな二人の様子を見て、何かを察したティリアがゆっくりと口を開いた。


「カルーナさん」

「は、はい?」

「もしかして、私がいるせいで、いつも通りではないのですか?」

「えっ……?」


 ティリアが悲しそうな顔をしていたため、カルーナは困惑した。どうやらティリアは、カルーナの様子がおかしいのは自分のせいだと思っているらしい。

 事実としては、その通りなのだが、それはカルーナの心情的問題であるため、ティリアに責任などあろうはずもない。


「……ティリアさん、ごめんなさい」

「カルーナさん?」

「私……実は、重度のお姉ちゃんっ子で、それを見られるのが嫌で、自分を偽っていました」

「そうだったんですか。それは……」

「けど、それはティリアさんのせいじゃないです。そう思わせてしまってすみません」

「い、いえ、そんな……カルーナさんは悪くないですよ。私の方こそ、変なことを気にして、申し訳ないです」


 カルーナとティリアは、お互いに頭を下げて謝っていた。


「私、自分を偽ったりしません。ティリアさん、安心してください」

「カルーナさん……」


 そして、お互いに笑顔になり、よくわからない和解をしていた。

 カルーナは、それだけ言うと、アンナのベットに近づいてきた。


「カ、カルーナ?」

「お邪魔するね、お姉ちゃん」

「あ、どうぞ」


 そう言って、カルーナはベットに入り、さらに距離を詰めてきた。

 その光景を、ティリアは笑顔で見ていた。


「やっぱり、仲が良いんですね」

「そうなんです。とっても仲が良いんですよ」


 最早、カルーナは開き直っていたが、この方が今後のためにもいいとアンナは感じていた。これからも、ティリアは同行するのだ。そのティリアに隠し続けるなど、できるはずはないのだ。


「まあ、カルーナがいつも通りで、私も嬉しいよ」

「お姉ちゃん……」


 さらに単純に、カルーナが自分を求めてくれるのが嬉しかった。結局のところ、二人とも喧嘩したことの反動で、強くお互いを求めているのだった。


「いいですね、姉妹って。私は一人だったので、そういう存在は羨ましいです」

「あっ……!」


 そこでアンナは、重要なことをティリアに言っていないことに気づいた。

 複雑な事情のため、色々な人には姉妹ということにしていたが、自分達の本当の関係を、ティリアには話しておかなければならないと思った。これも同行する上で、隠しておくと気持ちよくないことだった。

 少々、重い話になってしまうが、それは仕方ないだろう。


「ティリア……ちょっと、重要な話をしてもいいかな?」

「えっ?」

「あ、寝てるままでいいよ。重要って言っても、私達の中では、整理がついてることだから」


 起き上がろうとするティリアを止めて、アンナは言葉を続けた。


「実は、私とカルーナは本当の姉妹じゃないんだ」

「えっ!?」

「あ、落ち着いて。簡単なことで、両親を亡くした私を、母の姉が引き取って、姉妹として育ったんです」

「……そう、だったんですか……」

「ティリアさん、そんなに重くならないでください。私達にとっては、もう乗り越えたことですから」

「カルーナさん……」


 二人の気丈な態度を見て、ティリアも大丈夫だと納得してくれたようだった。

 そして、意を決したような表情で、新たなことを話し始めた。


「……アンナさん、カルーナさん、私も少し話してもいいですか?」

「何かな、なんでも言ってよ」

「はい、大丈夫です」


 どうやら、ティリアも話したいことがあるようだ。アンナとカルーナは、もちろん了承して続きを促した。


「実は、私には兄がいるようなんです」

「兄?」

「お兄さんが……ですか?」


 ティリアの言葉に、二人は目を丸くした。


「はい、私を引き取ってくれたおばあさんが、話してくれたんです。私には、三つ年上の兄がいて、事情があって遠くで暮らしているようなんです。今となっては、知ることはできませんが、その手がかりも探したいと思っているんです」


 ティリアが旅に出た理由は、それもあったようだ。どうやら、ティリアの事情は思ったよりも複雑だったようだ。


「そうだったんだ……それなら、私達も手伝うよ。ね、カルーナ」

「うん、もちろんだよ、お姉ちゃん」

「お二人とも……ありがとうございます」


 二人がそう言うと、ティリアは嬉しそうに笑っていた。

 そんな会話をしている内に、三人はだんだんと眠たくなってきていた。馬車での長時間の移動をしたのだから、それも当然だ。


「さてと、だんだんと時間も遅くなってきたし、そろそろ寝ようか」

「あ、はい。そうですね」

「お休み、カルーナ、ティリア」

「うん、お休み、お姉ちゃん。お休みなさい、ティリアさん」

「はい、お休みなさい、お二人とも……」


 そう言って、三人は眠りにつくのだった。

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