表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第一章 勇者の旅立ち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/160

第16話 剛魔将デルゴラド

 アンナは、剛魔将デルゴラドと対峙していた。


「はあああああ!」


 アンナは、大地を蹴りながら、デルゴラドに向かっていった。

 ここに来るまでの出来事で、心が昂っていたのもあって、様子を見るという選択をとるつもりが、アンナにはなかった。

 また、相手が油断している内に、一気に攻めたいとい気持ちもあった。


「やああああああああ!」


 アンナは剣を構えて、大きく、速く振るった。


「ふん!」


 しかし、デルゴラドは、その攻撃を難なく、棍棒で受け止めた。


 キン!


 金属と金属がぶつかり合い、大きな音が響いた。


「ほう、中々、いい剣だな……」

「うぐ……!」


 剣を受けられたアンナは、驚愕していた。

 デルゴラドの棍棒が、まったく動かせる気がしなかったからだ。

 その重さは、圧倒的で、アンナの攻撃をものともしないように思えた。


「だが、力が足りんな! ふん!」

「ぐあっ!?」


 デルゴラドが、力を入れたことで、バランスが変わった。

 アンナは、自分の足が地面から、離れるのを感じていた。

 そして、そのまま、後ろに吹き飛ばされた。


「うぐあ!」


 アンナの体は、さらに、後ろにあった木に衝突した。


「うう……はっ!」

「ふん!」


 背中に激しい痛みを感じながらも、アンナは体を転がし、その場から離れた。

 その直後、アンナのいた場所に、デルゴラドの一撃が振り落とされた。


「ほう、躱したか……」

「はあ、はあ」


 アンナは、息を切らしながら立ち上がり、態勢を立て直した。

 デルゴラドの力は、とても凶悪なものだった。

 正面から、力勝負を挑んでも、そもそも敵うはずはない。

 それは、元々わかっていたことだが、改めて実感することができた。


「どうした? 来ないのか?」


 様子を見ていたアンナに対して、デルゴラドは口の端を歪めながら、言い放った。


「ならば、こちらから行くぞ!」


 デルゴラドが、アンナに向かってきた。

 アンナは、それから逃げるように、後ろに下がる。


「逃げる? それでも、勇者かあっ!」


 しかし、デルゴラドは、アンナを追いかけ、さらに足を進めてきた。


「くっ!」


 アンナの後ろには、木があった。

 方向を変えると、デルゴラドに攻撃する隙を、与えてしまう。

 つまり、逃げ場がなかった。


「ふん! 終わりだああ!」


 デルゴラドは、大きく棍棒を振りかぶり、そのまま振り下ろしてきた。

 アンナは、剣を構えた。だが、その攻撃を受け止めることは、アンナの力ではできない。

 そのため、他の方法でこの攻撃を受けなければならなかった。


「ソテア流剣技……」

「むっ!?」

受け流し(パリィ)!」


 アンナは、相手の力の流れを利用し、その攻撃を受け流した。


「ほう! なるほど」

「くうっ!」


 デルゴラドは、自身の攻撃の失敗を悟り、一気に飛び退き、後退した。

 そのまま、カウンター攻撃に移ろうとしていたカルーナは、対象を失い、剣を空ぶった。

 流石に、魔王軍幹部は、一筋縄ではいかないらしい。


「ぶはははは、侮れんな、やはり勇者か。認識を改めなければならんな」

「侮ってくれた方が、私としてはありがたいんだけどね……」


 アンナとデルゴラドは、互いに睨み合いながら、静止する。

 一定の距離を取り、喋りながらも、お互いに相手の隙を探ろうとしている。


「そう言うな……認めてやっているのだぞ? お前を俺の敵であるとなあ」

「……そりゃあ、どうも」


 どうやら、デルゴラドは、アンナのことを今の今まで、敵とすら思っていなかったらしい。

 その態度に、アンナは多少のイラつきを覚えたが、それくらいで突っ込んで行ったりはしなかった。

 

「しかし、このままでは、何も始まらんなあ」

「何……?」

「勇者よ、知っているか? 闘気とは、時に飛び道具になるのだ」

「……まさか!」


 デルゴラドは、棍棒を構えた。

 その体から、アンナは強い闘気を感じた。

 そして、デルゴラドの言葉で、アンナは理解した。

 闘気とは、時にその力を飛ばして攻撃することも可能だ。

 デルゴラドは、その闘気を使って攻撃してくるのだと。


(いや、待て! どうして、奴がそれを言う必要がある?)


 そこでアンナは、違和感に気づき、思考を転換した。

 デルゴラドが、敵であるアンナに、わざわざそれを言う必要などないはずである。

 だが、その時点で遅かった。


「ぶははは!」

「くっ!」


 デルゴラドは、アンナとの距離を一気に詰めてきた。

 闘気による遠距離攻撃が来ると思っていたアンナの思考は、追い付いていなかった。


「くっ!」


 かろうじて、アンナは、体を後ろに下がらせることができた。

 そこで、デルゴラドは、棍棒を振るった。


「甘いぞ! 勇者! 鬼の砲弾(オーガ・ブラスト)

「な……!」


 デルゴラドの棍棒から、エネルギーの弾が放たれた。

 遠距離攻撃を、このタイミングまで、とっていたのである。


「ぐああっ!」


 その攻撃が、アンナに直撃し、痛みに声をあげる。

 アンナは、なんとか、地に足をつけたが、その体が後ろに下がるのは、避けられなかった。


「まだ、まだ!」


 そんなアンナに、デルゴラドが近づいてくる。

 追撃がくるのだ。アンナとしては、確実に回避しなければならない。

 しかし、後ろに下がっても、左右に行っても、すぐに距離を詰められてしまう。


「はああああ!」

「何っ!?」


 そのため、アンナは、敢えて前に出た。

 その行動に、デルゴラドは目を見開いた。

 逃げると思っていたデルゴラドにとって、その行動は意外だった。

 そのため、逆にデルゴラドの判断を遅らせることになった。


「やああああ!」


 痛みを堪えながら、アンナは闘気を込めて、剣を振るった。


「ぬうっ!」


 呆気にとられたデルゴラドは、その攻撃に吹き飛ばされて後退した。

 カウンター気味の一撃であったため、デルゴラドは、バランスを崩し、片膝を地面についた。

 そして、その瞬間、一つのことに気づいた。


「馬鹿な……」


 デルゴラドの鎧にひびが入っているのだ。

 あの状態から、ここまでの攻撃を受けたことに、デルゴラドは驚愕していた。 


「……はあ、はあ」


 アンナは、息を切らしながら、自分が助かったことを実感していた。

 一か八か、アンナは賭けるしかなかった。

 デルゴラドは、自信家であると、予想することができた。

 そのため、自分の行動は、予測でないと思った。

 結果的に、油断させることができたので、作戦は成功だった。


「ぶははは、やるなあ。こんな戦いは、いつ以来だろうか……」


 アンナがそんなことを考えていると、デルゴラドが笑いながらそう言った。

 アンナが様子を伺うと、何を思ったか、自身の鎧のひびに手を入れていた。


「な、何を……?」

「ふん!」


 デルゴラドが力を入れると、その鎧が内側から砕け、辺りに破片が飛び散った。

 一瞬の出来事に、アンナは驚愕していた。


「何故、自分の鎧を……?」


 身を守っている物を、自らの手で砕く意図が、アンナには読むことができなかった。

 身軽になるのはわかるが、今までの戦いから、その必要があるようには思えなかった。


「ふん! 元々、俺の肉体の方が、鎧よりも固いわ」

「な、そんな……」

「鎧を着てないと、不格好だったからなあ。ぶははは、これでやっと、身軽になったわ」

「鎧よりも……固いだって……」


 アンナは、思わず口を開いていた。

 鎧よりも固い肉体など、アンナ側からしたら、恐怖以外の何物でもない。


「さて……」


 そこで、一度、デルゴラドは言葉を止めて、表情を変えた。

 そして、アンナを指さし、言い放った。


「ここからは、本気の中の本気だ……確実に仕留めてやろう」


 アンナは、デルゴラドから、大きな闘気を感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ