表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
番外編 竜人伝

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

149/160

第1話 魔王軍の問題

 魔界、それは人間とは異なる魔族と呼ばれる種族が住まう地である。

 紫の空に赤い月、大地にも緑はないその世界は、人間の世界とはまったく違う世界だ。


 そんな魔界を統べているのは、魔王と呼ばれている男である。

 魔王とは、邪なる闇と呼ばれる特別な力を持つ魔族だ。代々、魔族を束ねて人間と戦うそんな魔王は、魔界の住民から畏敬の念を送られている。


「魔王様、少しよろしいでしょうか?」

「シャドーか……どうかしたのか?」


 現在の魔王は、部屋に現れた人物に少し表情を変えた。

 彼が魔王の元に現れたということは、何か厄介なことがあったということに他ならないからである。

 魔王軍の幹部である影魔将シャドーは、魔王が最も信頼している部下だ。影の存在である彼は、本来はある人物を欺くために、魔王として活動している。通常、魔王は影魔将シャドーとして活動し、シャドーは魔王として活動しているのだ。

 そんな彼が、影魔将として魔王の前に現れるのは、珍しいことである。つまり、何か重要な話があるということなのだ。


「実は、魔王軍の編成にあたって、少し相談したいことがあるのです」

「魔王軍の編成か……」


 シャドーの言葉に、魔王は少しだけ彼が現れた理由を察した。

 現在、魔王軍は半壊滅状態にある。前魔王が、人間の勇者に敗北したことで、その体勢が瓦解してしまったからだ。

 厄介なことに、前魔王は褒められた人格ではなかった。部下を切り捨て、自身の欲望のままに権力を振りかざした彼は、お世辞にも褒められた指導者ではなかったのである。

 そんな前魔王のせいで、現魔王が魔王と呼ばれるようになっても、魔王軍は簡単に再編成できなかった。魔王に従うことに疑問を示すものが、多かったのだ。

 そういう事情もあって、魔王もシャドーも魔王軍の編成については頭を悩ませていた。恐らく、シャドーはその話をしに来たのだろう。


「先日、リザードマン達が魔王軍に参加することを決めました。かなりの数のリザードマンがいるため、竜魔団を作り、竜魔将を立てることが最適であると、魔王様も私も判断しました」

「ああ、それはわかっている」

「そこで、リザードマン同士で腕試しをさせて、一番腕が立つリザードマンを見出しました。ザルドスというリザードマンが、最も強いリザードマンです」

「ほう」


 シャドーが話し始めたのは、リザードマンのことだった。

 つい先日、リザードマンが魔王軍に参加することを決めたのだ。

 そんなリザードマンを取りまとめる魔王軍幹部、竜魔将を決める腕試しをシャドーは開催し、そこでザルドスという者が見いだされたようである。

 だが、その結果をシャドーは快く思っていないのだろう。その結果が問題ないなら、シャドーがこのように魔王の前に現れることはないからだ。


「そいつに何か問題があるのか?」

「少々、素行が悪く、リザードマン達を取りまとめるのには適切ではないと思います。ただ、腕は立つのは確か。つまり、彼以上のリザードマンがいなければ、他の者を魔将にするのは難しいかと思います」

「そうか」


 どうやら、ザルドスという者は素行に問題があるらしい。

 だから、シャドーは彼を魔将に任命したくないのだ。

 だが、彼以上のリザードマンがいなければ、それは認められない。そのようなことをすれば、ザルドスや様々な者から反感を買うからだ。


「……誰か、推薦したい者がいるのか?」

「……はい」


 魔王は、シャドーの考えを見抜いていた。

 シャドーは、なんの解決策もなく、魔王の元に来るようなものではない。それを、魔王は理解している。

 シャドーがここに来たのは、あくまで確認のためなのだ。


「リザードマンからも意見は出ていたのですが、ガルスという男を魔将にしたいのです」

「ガルス……聞いたことがあるな」

「ええ、傭兵をしている男です。その実力は、かなりのものだと聞いています」


 シャドーから放たれた名前を、魔王は聞いたことがあった。

 ガルスとは、有名な傭兵の名前だ。その実力は、かなりのものであるとされている。

 確かに、その者なら魔将に相応しいと魔王も思う。しかし、それに問題があることも同時にわかっていた。


「確か、そいつには魔王軍に入る要請をはねられたと聞いたが?」

「ええ、そんなものに興味はないと言われたそうです」


 ガルスは、かつて魔王軍に入るように声をかけたが断っていた。

 そのことがあるため、彼を魔王軍に入れることが簡単ではないと、魔王は理解している。

 だが、それはシャドーも理解していることだ。つまり、何か考えがあって、シャドーはこう言っているのである。


「何をするつもりだ?」

「私に、ガルスと接触させてください」

「影魔将シャドーとして、活動したいということか」

「はい」


 シャドーは、自らガルスと接触したいようだ。

 そこで、説得するということなのだろう。

 しかし、それはシャドーを影魔将シャドーとして活動させるということである。ある者を欺くための影武者の役割を、シャドーは一時離れようとしているのだ。

 それは、危険が伴うことだ。影武者がいなくなれば、魔王自身が魔王として活動することになる。その時、ある者が行動を起こせば、魔王自身が危険に晒されるのだ。


「良かろう。お前がそこまで言うのだ。それだけの価値があるものなのだと、俺も思うことにしよう」

「ありがとうございます」


 だが、魔王はその危険を晒すことを許容した。

 それだけの価値が、シャドーの行動にあると思ったからだ。

 こうして、影魔将シャドーは行動を開始するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] まさかのガルス外伝!?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ