第148話 それぞれの力
アンナ達は、初代の魔王であるバオウガと対峙していた。
バオウガの邪なる闇に締め付けられていたアンナだったが、ガルスのサポートにより、なんとか抜け出すことができた。
そして、その隙にアンナはバオウガの元に踏み込んでいく。
「聖なる十字斬り!」
「うぐっ!」
アンナの十字の斬撃が、バオウガの体を斬り裂いた。
ガルスの蹴りで怯んでいたこともあり、バオウガはまともに攻撃を喰らっている。
その衝撃で、バオウガは後退していく。しかし、その隙をアンナもガルスも見逃すつもりはない。
「おおお!」
「ふん!」
「邪なる闇よ!」
アンナもガルスも、それぞれ剣と拳を振るう。
このまま、バオウガを倒しきるつもりだったからだ。
だが、バオウガは自身の周りに邪なる闇を展開する。その邪なる闇によって、アンナとガルスの攻撃は防がれてしまう。
「まだだ! この私をこの程度で倒せると思うな!」
「くっ!」
「ぬうっ!」
さらに、バオウガはその邪なる闇で二人を振り払っていく。
その攻撃で、アンナとガルスは後退してしまう。まだバオウガには、力が残されているようだ。
「このバオウガを……むっ!?」
しかし、そこでバオウガはゆっくりと動きを止めた。
その体には、一本の槍が突き刺さっている。
「お、お前は……」
「俺を忘れていた訳ではあるまい」
「な、何……」
バオウガを貫いたのは、ツヴァイだった。
ツヴァイは、バオウガの攻撃で吹き飛ばされていた。そのダメージは、それなりのものだったはずである。
だが、今のツヴァイはそのようなダメージを感じさせない。そのことに、バオウガは驚いているようだ。
「馬鹿な……どうして、これ程の闘気が? お前は、俺の攻撃で倒れたはず……」
「残念だが、そのダメージは回復させてもらった。そこにいる魔術師は、回復もできるのだ……」
「回復魔法……?」
ツヴァイは、カルーナの補助により回復していたのである。
カルーナは、かつては攻撃魔法しか使えなかった。だが、旅を続けていく中で進化していた。仲間の一人が回復魔法の達人であったため、カルーナもその魔法を覚えていたのだ。
「カルーナ、流石だね」
「うん、回復魔法を覚えておいてよかったよ」
そんなカルーナは、ゆっくりとバオウガの元に近づいていた。
その手には、橙色の魔力が集中されている。
「ぐっ、まさか、その魔法は……」
「ふん、お前はかなりの実力者らしいが、それでもあの魔法は防げまい。全てを消し去る究極の魔法を精々味わうがいい」
「ぬぐっ!」
ツヴァイは、バオウガの体から一気に槍を引き抜く。
そのダメージに、バオウガは少し怯んだ。
その隙に、カルーナは魔法を構える。全てを消滅させる魔法を、バオウガに放つのだ。
「消滅呪文!」
「ぬうっ!」
カルーナの魔法から、橙色の魔法が放たれる。
その攻撃は、バオウガの体を包んでいく。
数々の攻撃により、バオウガは疲労していた。そのため、その攻撃を躱すことができなかったのだ。
「ぐああああっ!」
橙色の魔法が、バオウガの体を消滅させていく。
膨大な闘気を持つバオウガでも、究極の魔法を防ぎきることはできなかったのである。
「勝った……」
その様子に、アンナはゆっくりと呟いた。
カルーナの魔法が消えた後、その場には何も残っていない。バオウガの肉体が、完全に消滅したからだろう。
「カルーナ、やったね。見事な魔法だったよ」
「うん、お姉ちゃんやガルスさんが時間を稼いで、ツヴァイさんが動きを止めてくれたおかげだよ」
アンナとカルーナは、手を取り合って勝利を喜んだ。
戦いが無事に終わったという安堵感に、二人は包まれているのである。
「かなりの強敵だったな……四人いなければ、危なかったかもしれない」
「ああ、本当にお前が間に合って良かった。俺達三人だけでは、ここまで無事に済むことはなかっただろう」
ガルスとツヴァイは、バオウガが消滅した位置を見ながらそのように話した。
四人の力がなければ、バオウガはここまで無事に倒せなかった。それは、アンナもカルーナもわかっていることである。
「とりあえず、これで戦いは終わりだね?」
「うん、そうだね」
「ああ、久し振りに暴れて、少々疲れたな……」
「ふん、何を隠居したつもりでいるのだ」
四人が協力したことで、バオウガを倒すことができた。
こうして、アンナ達の新たなる戦いは終わるのだった。




