第143話 進撃する竜人
アンナ達は、突如現れた歴代の魔王達と対峙していた。
その中の一人である紅蓮の魔王ボルバーが放った攻撃を、一人のリザードマンが受け止めた。
竜魔将ガルスが、アンナ達の加勢にやって来たのだ。
「遅いぞ、ガルス……」
「安心しろ、遅れた分は今から取り返してやる」
ツヴァイの前に立ち、ガルスはゆっくりと構える。
その瞳が見据えるのは、目の前にいる一人の魔王だ。
「俺の炎を受け止めだと……ふざけやがって!」
「紅蓮の魔王ボルバーか……なるほど、どうやらややこしいことになっているようだな」
「ごちゃごちゃうるせぇ!」
攻撃を簡単に受け止められたことに激昂したのか、紅蓮の魔王ボルバーがガルスに向かって来る。
そんなボルバーの拳を、ガルスは軽く躱していく。
「竜人拳!」
「がはっ!」
ガルスは、そのままボルバーの腹部に拳を叩き込んだ。
その拳は、ボルバーの体を突き抜け、赤い血が周囲に舞っていく。
だが、ガルスは攻撃の手を緩めない。ボルバーの体から腕を抜き、足を振るう。
「竜人脚!」
「うぐあっ!」
ガルスの蹴りにより、ボルバーの体は宙に浮かび上がっていく。
それと同時に、ガルスも空へと飛び立つ。
ガルスは、頭が下になるように、空中でボルバーを捕まえた。
「ふん!」
「ぬがああ!」
そしてそのまま、落下していく。
ガルスの体にみなぎる闘気によって、ボルバーの体がどんどんと破壊されていくのが、アンナ達には見えていた。
「竜人落とし!」
「ぐあはっ!」
ボルバーが、頭から地面に激突する。
その衝撃と莫大な闘気によって、地面は大きく破壊されていく。
「ば、馬鹿な……」
破壊されたのは、地面だけではなかった。
ボルバーの体は、ボロボロに破壊されており、既に力が入っていなかった。
一瞬の攻防ではあったが、ガルスはボルバーに勝利したのだ。
「うがああ……」
「む?」
ボルバーの体はどんどんと形を崩し、塵となっていく。
やがて、ボルバーを形成した塵は風によって吹き飛んでいくのだった。
アンナ達は理解する。敗北した魔王は、そのように体を消滅させるのだと。
「……ガルス、流石だね」
「本当にすごいです。ガルスさんがいれば、百人力ですね」
「アンナにカルーナか、元気そうで何よりだ」
アンナ達は、四人で並び立つ。
ガルスの登場と、ボルバーが倒れたことによって、戦況はかなり変わった。四対四の図が、出来上がったのだ。
「勝手な行動をした魔王がやられたか……」
「だが、今ので相手の力量は理解した。どうやら、あまり舐めてはならないようだ」
「そのようだな……」
残る魔王達も、アンナ達の前に並び立つ。
それぞれの陣営が、構えていく。今、二つの陣営がぶつかり合おうとしていた。
「参る!」
「む……!」
まず動いたのは、閃鳥の魔王ファテルだった。
ファテルは、真っ直ぐにガルスの元へと向かってきた。
その超高速から放たれた拳に、ガルスの体はどんどんと後退していく。
「ガルス!」
「貴様の相手は、我だ!」
「何っ!?」
次に動いたのは、魔岩の魔王ガンディウスだ。
ガンディウスは、その拳を振るい、ツヴァイの体をガルスとは別の方向に弾き飛ばしていく。
「さて、あなたはあの赤髪でいいのかな?」
「ああ、よかろう」
「なら、僕はあの金髪だね……」
さらに、水華の魔王スロックとマントの魔王が動き始めた。
スロックがカルーナ、マントの魔王がアンナにそれぞれ狙いを定めている。
「カルーナ!」
「お姉ちゃん、こっちは任せて!」
アンナとカルーナは、それぞれの魔王に対応せざるを得なかった。
それにより、二人は別の方向へと逃れていく。
こうして、それぞれが一対一で戦わなければならない状況になるのだった。




