第141話 久し振りの再会
アンナとカルーナは、シャドーに連れられて魔王城に来ていた。
アンナ達は、会議室のような場所まで来た。すると、そこには見知った顔がいる。
「アンナ、カルーナ、来たか……」
「ツヴァイ!」
「ツヴァイさん、お久し振りです」
それは、かつてアンナ達と戦い仲間になった鎧魔将ツヴァイだ。
ツヴァイは、人間と悪魔の混血であり、半人半魔と呼ばれる存在である。
人間と悪魔両方の特徴があるその姿を、ツヴァイはかつて隠していた。だが、今はその姿を隠すことはない。
「む、アンナ……髪が少し伸びたか?」
「そういうツヴァイは、髪を切った?」
「ああ、少々鬱陶しかったのでな……む、カルーナは少し背が伸びたか?」
「あ、はい。一応、成長期なので……」
アンナもカルーナも、ツヴァイとの再会を喜んだ。
二人とツヴァイは、久し振りの再会である。そのため、色々な感情が湧き出してきたのだ。
「いや、今はそんなことを言っている場合ではないか……」
「あ、そうだね。何か厄介なことがあったんだよね?」
「ああ、そうだ。申し訳ないが、お前達の力が必要になったのだ。魔界に、悪意のある何者かが現れたからな……」
しかし、すぐにお互いにそれどころではないと気づいた。
今は、魔界の危機なのだ。呑気に、懐かしんでいる場合ではないのである。
「ツヴァイ、後の説明は任せてもいいか? 私は、また客人を迎えなければならない」
「ああ、任せたぞ」
そこで、シャドーが部屋を退出していく。
どうやら、シャドーはまたアンナ達のように誰かを迎えるようだ。
「……まだ誰かを呼ぶんだね?」
「ああ、ガルスを呼ぶ」
「ガルスを?」
アンナの質問に、ツヴァイはそう答えた。
シャドーが迎えに行ったのは、ガルスであるらしい。
ガルスは、ツヴァイと同じく、アンナ達と戦った後仲間になったリザードマンだ。
彼は、竜魔将と呼ばれていた魔王軍幹部であり、実力者でもある。何かあった時、ガルス程頼もしい者はいないだろう。
「普段はよくわからない理由で隠居しているのだ。こういう時くらい、手伝ってもらわなければ困る」
「なんだか、怒っている?」
「当然だ。生き残った魔将の中で、魔王城に残ったのは、俺とシャドーだけだぞ。俺が、どれだけ仕事をしていることか……」
どうやらツヴァイは、隠居したガルスに少し怒っているようだ。
生き残った魔将は四人いるが、竜魔将ガルスは隠居し、闇魔将ドレイクは姿を消していた。
よって、残ったツヴァイとシャドーだけで、魔王城は動いている。その激務に、ツヴァイも疲れているのだろう。
「む……!?」
「うん? 嘘っ!?」
「ええっ!?」
そこで、三人はほぼ同時に声をあげた。
なぜなら、その場に驚くべき人物が現れたからだ。
「ま、魔王……」
「久し振りだな、勇者」
その人物とは、魔族を束ねる王、魔王である。
彼は、かつてアンナ達勇者一行と激闘を繰り広げた男だ。
その男の登場に、アンナもカルーナも驚きを隠せないのである。
「魔王様、何故こちらに?」
「ツヴァイ、強大なエネルギーが動き出したようなのだ」
「何ですって?」
「私の元に、連絡が入ったのでな……勇者達に会うついでに、報告に来たのだ」
魔王の発言に、三人に緊張が走った。
どうやら、魔界の上空に感じられていた強大なエネルギーが動き出したらしいのだ。
それは、明らかな非常事態である。アンナ達も、動かなければならないだろう。
「勇者よ、早速で悪いが、動いてもらえるか? 私の指揮の元で動くことに抵抗はあるかもしれないが……」
「問題ないよ。今は勇者も魔王も関係ないし」
魔王の言葉に、アンナは力強く答える。
アンナの思考には、魔王だから従わないというようなものはない。
むしろ、アンナは嬉しかった。かつての敵と、共闘できることに喜びを感じているのだ。
「それでは、行くとするか?」
「ああ、行こう」
アンナとカルーナ、ツヴァイの三人は魔王城から駆け出していく。
強大なエネルギーが、降り立つ場所に向かうのだ。




