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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第八章 魔界決戦

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第139話 旅の終わり

 アンナと魔王の戦いが終わり、しばらく経った。

 その間、魔王と各国王との話し合いや、式典など、アンナ達は様々なことに参加していた。


 人間と魔族との戦いが、和平という形で起こった反応は様々だ。それを受け入れている者もいれば、反発するものもいる。

 だが、アンナは信じていた。いつか、全ての人間と魔族がわかり合うということを。


 そんなアンナは、現在アストリオン王国にいた。

 そこには、ともに旅した仲間達も一緒である。


「さて、僕は自分の家に帰るよ」


 最初に口を開いたのは、教授だった。

 それに対して、アンナはある一つのことを思い出す。


「教授、王族なんですよね? いいんですか?」

「ああ、王族は僕の性にあっていないからね。それに、優秀な義弟が王になっているんだ。何も問題はないよ」


 教授は、アストリオン王国の王族だが、そこには戻らないらしい。

 確かに、教授に王族などは似合っていないだろう。

 故に、その決断は、アンナにも理解できるものだ。


「教授には、色々なことを教えてもらいましたね……」

「また僕の知識が必要になったら、頼ってくれ」

「はい……」


 教授の言葉に、アンナはゆっくりと頷く。

 教授の知識は、とても頼りになるものだ。アンナも、また頼ることがあるだろう。


「俺は、実家に帰ろうと思うよ」


 次に言葉を放ったのは、ネーレだった。

 彼女は、実家に帰るようだ。


「ネーレさん」

「ティリア……」

「お別れなんですね……」

「またすぐに会えるさ。俺は海賊の娘だぜ。ティリアの所くらい、船ですぐに行けるさ」


 寂しそうな顔をするティリアに、ネーレはそんな言葉をかけた。

 その言葉に、ティリアの表情は少しだけ明るくなる。

 アンナは、二人の間に只ならぬ空気が流れるのを感じていた。


「俺は、魔界に行く」

「兄さん……」


 そんな二人の空気を断ち切ったのは、ツヴァイの言葉だ。

 彼は、ティリアと歩まず、魔界に帰ることを選ぶらしい。


「人間と魔族の架け橋に、俺程相応しいものはいないからな。それに、魔王様直々の命令だ。無下にすることもできん……」

「それなら、私も……」

「いや、ティリア。お前は、故郷に帰れ。村に帰りたいんだろう?」

「そ、それは……」


 半人半魔(ハーフ)であるツヴァイは、魔王から直々に人間と魔族の架け橋になることを頼まれていた。

 当然、ティリアもその条件は同じである。だが、ツヴァイはティリアを帰したかった。


「ネーレの言う通り、会おうと思えば、いつでも会えるのだ。何も問題はない」

「兄さん……」

「この俺のことを心配する必要などないのだ」


 なぜなら、ティリアが気を遣っているのだと、ツヴァイは理解していたからだ。

 本当は村に帰りたいのに、ツヴァイを一人にしないために、付いて来ようとしている。そう思うと、ティリアを連れて行きたいとは、思えなかったのだ。


「でも、兄さんにだけ使命を背負わせるのは……」

「お前には別の使命があるだろう? 戦いで傷ついた人々は、聖女の噂を聞きつけ、あの村に行く。そこに、お前がいなければどうなる?」

「……はい、そうですよね」


 ツヴァイの言葉を、ティリアは受け入れた。

 ティリアは、レミレアやウィンダルス王から、聖女を求めて、カルモの村に訪れる人がまだいると聞いている。

 その人達のためにも、ティリアは村に戻らなければならないのだ。そして、それは、ティリアの望みでもある。


「……それに、ともに魔界に帰る奴がいるからな」


 そこで、ツヴァイは自身の後ろにいる者へと目を向けた。

 目を向けられて、ガルスはゆっくりと口を開く。


「まあ、そうだが、俺はいつまでも魔界にいるつもりはないぞ」

「え? ガルス、どこかに行くの?」


 ガルスの言葉に、アンナは疑問を口にする。

 てっきり、ガルスは魔界で暮らすと思っていたからだ。


「ああ、実は魔族が人間の町へと住む文化交流というものがあってな。それに参加しようと思っているのだ」

「ああ、そういえば、そんなのがあるんだってね」

「この戦いで、俺もかなり衰えたからな。これ以上、厳しい仕事をするつもりはない。辺境の町で、若い者でも見ながら、ゆっくりとさせてもらうさ」

「そうなんだ。それは、よさそうだね」


 ガルスは、人間の町で暮らすことになるらしい。

 アンナは、ガルスの選択を少し嬉しく思った。

 ガルスのような魔族がいれば、人間と魔族の文化交流も上手くいくと感じたからだ。


「只でさえ、生き残った魔将は少ないのに隠居みたいなことを言うな。魔王様も、お前を側に置きたいと言っているのだぞ」

「お前に、シャドー、それにドレイクがいれば、充分だろう。それに、他にも誰かいるだろう?」

「まったく……」


 ガルスに対して、ツヴァイは苦言を放った。

 だが、ガルスの決断は変わらないようだ。


「それより、お前達はどうするんだ?」

「私とお姉ちゃんは、家に帰ります」

「そこで、しばらくはゆっくりとしようかなって……」

「そうか、お前達には、それが一番の褒美か……」


 ガルスに言葉に、アンナとカルーナは笑う。

 二人は故郷に帰り、しばらくはそこで過ごすことに決めた。

 そこれこそが、二人が真に望んだことである。


 それからしばらく、皆は色々な言葉を交わし合った。

 その後、各々の帰路に進んで行く。涙も笑いもあったが、皆迷いはない。

 次の再会を信じて、皆歩き出すのだ。





 アンナとカルーナは、ウィンダルス王国のとある町から少し離れた場所に来ていた。

 そこには、二人の家がある。アンナの叔母であるソテアと叔父であるグラインには、事前に伝えてあるので、二人を待っていてくれているはずだ。

 ただ、ここで一つ問題があった。


「……どうしよう? 私達、そういう関係になった訳だけど……」

「それは、素直に言うしかないんじゃない?」

「で、でも……」


 アンナとカルーナは色々あって、恋人になった。

 それを二人に伝えるのが、アンナには恐怖でしかない。


「それに、お父さんは私がお姉ちゃんのこと、そういう意味で好きだって、気づいていたと思うから、喜んでくれると思うよ」

「え? そうだったの?」

「うん。お母さんも、多分大丈夫。なんだかんだで、受け入れるだろうし、いざとなったら、お父さんに説得してもらえばいいよ」


 そんなアンナに対して、カルーナははっきりしていた。

 その頼もしさに、アンナは少し勇気が湧いてくる。


「そうだよね。それなら、行かないと……」

「うん。これから、お姉ちゃんと仲良くできなかった分の年数、全部取り返すくらいイチャイチャしたいから、こういうことは早くはっきりとさせときたいしね」

「カルーナ……」


 カルーナの笑顔に、アンナも笑顔になった。

 アンナは、その笑顔のために戦ってきたのだ。

 ゆっくりと、アンナはカルーナの顔に近づいていく。


「ん……」

「んん」


 アンナとカルーナは、唇を重ねた。

 それは、少しの間続き、やがて離れる。


「よし、勇気はもらった」

「うん。これで、大丈夫だね?」


 二人は、ゆっくりと歩き始めた。

 それは、二人の未来への歩みだ。




 おわり。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 完結おめでとうございます! みんなキャラが立っているし、百合にバトルに少年漫画のような王道展開と、楽しく読まさせてもらいました。 アンナとカルーナだけでなく他の人達の今後も気になってきます…
[一言] 完結おめでとうございます、お疲れ様でした。 楽しく拝読させて頂きました。 しかし、ガルスあれでも衰えてるとか…(汗)
[一言] 完結お疲れ様です!!!! 面白かったです!
2020/06/09 19:19 退会済み
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