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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第八章 魔界決戦

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第134話 邪なる竜

 アンナとカルーナは、魔王と対峙していた。

 魔王は、邪なる闇という聖なる光と対となる力によって、アンナ達を苦しめてくる。

 その実力は、アンナ以上といっても過言ではない。


「お姉ちゃん……それで、次はどうするの?」

「うん、私に一つ考えがある……」

「それって、まさか……」


 カルーナの言葉に、アンナは手についている指輪を見据える。

 その視線により、カルーナも気づく。アンナが聖なる指輪(セイント・リング)を使って、聖竜を呼びだそうとしていることに。


「でも、天井が……」

「大丈夫……聖竜の力で、天井は突き破る!」


 言葉とともに、アンナは指輪を天に差す。

 すると、指輪が輝き始める。


「む!?」


 アンナの指輪から放たれた光は、この階の天井を破壊していく。

 ここが最上階であるため、魔界の空が皆の目に入ってくる。


「……フルル」


 そして、そこに一体の竜が現れた。

 聖なる光の輝きを纏う美しき竜。

 その竜の名前は、聖竜。アンナが従える最強の生物である。


「なるほど……ならば!」

「なっ……!」


 魔王はアンナの呼び出した竜に少し驚いていた。

 しかし、すぐに自身の手にはめている指輪を天に突き刺す。

 すると、その指輪から黒い光が放たれる。


「これは……」

「俺とお前は、対となる存在……故に、俺も竜を従える」

「ガルル……」


 聖竜の前に、黒い竜が現れた。

 その体の色は、邪なる闇の色とそっくりだ。


「ガルル……」

「フルル……」


 二体の竜は、お互いを睨みつける。

 竜達も、目の前にいるのが、宿命の相手であると理解しているようだ。


「カルーナ、行くよ!」

「うん!」

「ふん!」


 アンナはカルーナを抱え、飛び上がった。

 それと同時に、魔王も飛び上がる。

 お互いに、目指す場所は竜の頭だ。


「任せたよ、聖竜」

「うん、お願い……」

「フルル……」


 アンナとカルーナの呼びかけに、聖竜はゆっくりと応える。


「行くぞ、邪竜」

「ガルル!」


 一方、魔王の言葉に、邪竜は喉を鳴らす。

 それぞれの竜は、再び相手を見据える。


「聖竜! 聖なる吐息(セイント・ブレス)!」

「邪竜! 邪なる吐息(イービル・ブレス)!」


 二体の竜がそれぞれ口を開き、そこから衝撃波を放つ、

 二つの攻撃が、ぶつかり合い、爆発する。

 竜達の力は、ほとんど互角であるようだ。


「なるほど、それなら……」


 そこで、魔王が邪剣を構えた。

 それと同時に、邪竜が再び口を開く。


「魔王技・邪なる衝撃(イービル・ブラスト)!」

「ガルアッ!」


 魔王の攻撃と、邪竜の吐息が混ざり合い、一つの大きな衝撃波となった。

 先程、アンナとカルーナがしたように、二つの力を融合させたのだ。


「カルーナ、お願いできる?」

「うん、もちろん」

「聖竜?」

「フルル」


 それに対して、アンナは聖なる光を構える。

 さらに、カルーナが魔力を練っていく。

 そして、聖竜が口を開き、全員が一気に技を放つ。


聖なる(セイント・)紅蓮の火球(ファイアー・ボール)!」

「フルル!」


 三つの力が混ざり合い、魔王側の攻撃とぶつかり合う。

 あちらは二つだが、こちらは三つだ。魔王は、アンナよりも強い力を持っているが、カルーナが加わることで、その力関係は崩れる。


「むっ!?」


 アンナ達の攻撃が、魔王の攻撃を突き破っていく。

 三つの力が、魔王の攻撃に打ち勝ったのだ。


「邪なる闇よ! 俺達を守れ!」


 魔王はその攻撃に対して、闇を展開して防ごうとする。

 それでも、アンナ達の攻撃は防ぎきれない。

 アンナ達の力が、魔王の防御をも突き破ったのだ。


「ガルル……」

「ぐううっ……」


 魔王と邪竜が、どんどんと後退していく。

 アンナ達の攻撃が、かなり効いているようだ。


「やるな……流石は、勇者だ」

「ガルル……」

「ここは、奥の手を使わせてもらおう」

「何?」


 そこで、魔王はそんなことを言ってきた。

 魔王は邪竜の頭に手を置き、ゆっくりと口を開く。


「邪竜一体……真竜装甲(ドラゴン・アームド)!」

「ガルル!」

「なっ! これは……」


 すると、邪竜の体が変化し、闇へと変わる。

 その闇は、魔王の周りに纏わりついていく。

 そして、その闇は鎧のように変化する。その姿は、竜を人のように変化させた姿だ。


「な、なんだ? これは!?」

「があっ!」


 魔王は飛び上がり、アンナ達の元へと向かってきた。

 アンナ達は、聖竜とともに構える。


「フルル!」

「ふん!」


 聖竜が口を開け、そこから吐息を吐き出す。

 それに対して、魔王は邪なる闇を展開する。

 その力により、聖竜の吐息を防いでいく。


聖なる(セイント・)紅蓮の火球(ファイアー・ボール)!」

「かっ!」


 アンナとカルーナも、追撃を仕掛けるが、それも魔王には通じない。

 先程までより、その闇の力が強力になっているようだ。


「ふん!」

「フルッ!」

「聖竜!」

「きゃあ!」


 魔王の蹴りが、聖竜の頭に突き刺さった。

 その衝撃で、聖竜は落下していく。

 もちろん、その頭に乗っていたアンナ達も振り落とされる。


「フルル!」


 その衝撃で、力を使い果たしたのか、聖竜が指輪に戻っていく。

 アンナとカルーナは、なんとか着地し、体勢を立て直す。


「どうやら、形勢は逆転のようだな……」


 そんな二人に向かって、魔王がそう呟いてきた。

 確かに、竜の対決では優勢だったはずのアンナ達が、今は劣勢に立たされている。

 それだけ、魔王の鎧化が、強力だったということだ。


「カルーナ、大丈夫?」

「うん、お姉ちゃんは?」

「かなり厳しいけど、まだいける」


 アンナとカルーナは、かなり疲弊していた。

 だが、まだ余力は充分残っている。


「カルーナ、魔王を倒すには、あの魔法が必要だ」

「あの魔法?」

「うん、カルーナが使える最強の魔法……消滅呪文(フレア)が」

消滅呪文(フレア)……」


 そこで、アンナは思いついた。

 カルーナが使える最強の魔法、消滅呪文(フレア)なら今の魔王に対抗できると。

 そのため、アンナは一つの作戦を提示する。


「私が時間を稼ぐから、消滅呪文(フレア)をお願い。それで、あの鎧を突き破ろう」

「うん、わかった……」


 アンナは、カルーナを後ろに下がらせ、魔王を睨む。

 すると、魔王はゆっくりと言葉を放ってくる。


「作戦会議は終わったのか?」

「……待っていてくれるとは、意外と優しいね?」

「無論、ただ待っていた訳ではない……」


 アンナ達と魔王の戦いは、続いていく。

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