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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第八章 魔界決戦

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第129話 影と竜人

 ガルスは、影魔将シャドーと対峙している。

 アンナとカルーナは、魔王によって連れていかれてしまった。

 そのため、ガルスとティリアでシャドーを倒さなければならない。


「ガルス、貴様では私に勝てないだろう……」

「何?」

「いや、私に勝てる者など、魔王様以外存在しない」


 そう言いながら、シャドーはガルスに迫ってきた。

 シャドーは腕を刃に変化させ、ガルスに斬りかかってくる。


「はっ!」


 ガルスはそれを躱し、シャドーに向かって拳を振るう。

 剣を振るった後のシャドーは、隙だらけだった。

 そのことに少し違和感を覚えながらも、ガルスは攻撃することにしたのだ。


竜人拳(リザード・ナックル)!」

「ふっ!」

「何!?」


 ガルスの拳は、確かにシャドーに突き刺さった。

 だが、ガルスの拳はシャドーの体を捕らえることはできない。

 なぜなら、シャドーは霧散し、辺り一面に散らばっていったからだ。


「これは!?」

「私は魔王様の影、故に実体を持たぬこともできるのだ」

「何!?」


 霧散したシャドーは、どんどんとガルスに迫ってくる。

 どうやら、シャドーは肉体を持たない魔族であるようだ。


「ならば!」


 それに対して、ガルスは大きく口を開く。


火炎の吐息(ヒート・ブレス)!」


 ガルスの口から炎が放たれた。

 その炎が、迫り来るシャドーに当たる。


「ふぐっ!」

「む!」


 シャドーは、ガルスの炎に怯んだのか、後退していく。

 実体は持たないが、攻撃が効かないという訳ではないようだ。

 だが、それでもガルスが不利であることは変わらない。物理攻撃主体のガルスにとって、体を自由に変化させられるシャドーは、かなり厄介だった。


「なるほど、広範囲もカバーできるのが、竜人の強みか……やはり、強力な男だ」

「……それは、褒めているのか?」

「もちろん、私は同じ魔将達には敬意を持っていた。裏切ったお前でも、それは変わらない……」

「……」


 シャドーは、そんなことを言ってきた。

 ガルスも、シャドーが演じていた魔王が、魔将のことを信頼し、そのように接していたというのはわかっている。


「……何故、裏切った?」


 そこで、シャドーがそんなことを口にした。

 その言葉は、ガルスを責めているというよりも、悲しんでいるかのようだ。


「お前程の男なら、あの行動がウォーレンスの独断であるとわかっていたはずだ。お前が戻ってくれば、私はウォーレンスを罰し、喜んでお前を魔将に迎え入れたたろう」

「そうかもしれんな……」

「ならば、何故だ。何故、勇者の側についた? 私達の元に、戻って来てくれなかった?」

「……」


 シャドーの言葉は、ガルスにとって、中々に刺さるものだった。

 自身のことを思い、悲しんでいる男に対して、申し訳ないという気持ちが湧き上がってくる。

 しかし、ガルスは自身の選択を後悔することはない。なぜなら、それこそが自身が歩むべき道であったことを、確信しているからだ。


「単純なことだ。俺は魔王軍が気に入らなかった」

「何……?」

「民を殺し、攻め立てる者達がいる側に、俺はついていたくなかった」

「……戦いだぞ? そんな感情を優先させるなど……」

「知ったことか。俺は今まで、虐げられる者のために戦ってきた」


 ガルスにとって、魔王軍は居心地のいい場所ではなかった。

 戦場において、ガルスの考え方は甘えであっただろう。ただ、それはガルスのポリシーであった。それを変えてまで、戦いたいとは思わなかったのだ。


「かつて俺が武勲をあげた戦いは、戦場で戦士と戦士による命のやり取りだった。だが、今の魔王軍が行っていたのは、虐殺に過ぎない……」

「そうかもしれない……だが、我らが負ければ、次は魔族が虐殺されるかもしれないのだぞ!?」

「そうはならんさ。アンナが、決してそうはさせない。それに、仮にそうなったとしたら、今度は魔族のために戦うまでだ」

「くっ! ガルス、お前の考え方自体は、尊敬に値する。だが、そんなのは理想に過ぎない!」


 霧散したシャドーが、再びガルスに迫ってきた。

 今度は、ガルスを囲むように、回転しながらの移動だ。

 確実に、ガルスに接近するつもりなのだろう。


「理想か……だが、そんな理想を追い求めようとする者が、もう一人いた」

「むっ!」


 それに対して、ガルスは大きく飛び上がった。

 そのまま空中で、体を回転させる。


「そして、それを支えようとする健気な者達のことを、俺は気に入ったのだ」

「くっ!」


 ガルスの口が開き、そこから炎が放たれた。

 回転していることで、それは周囲を焼き尽くす。

 当然、シャドーの体にもそれは当たる。


「ぐっ!」


 それに対して、シャドーは一つの場所に避難した。

 炎の唯一ある隙、ガルスの真下である。


「来たか!」


 しかし、それもガルスの狙い通りだった。

 シャドーがここに来ることを予想し、ガルスは次の技に移行する。


 体に炎を纏い、膝をしたにして、落下していく。


竜人火炎落とし(ドラゴン・メテオ)!」

「くっ!」


 集まったシャドーに、ガルスの膝が突き刺さる。

 炎を纏ったその一撃は、シャドーの体に大きなダメージを与えていく。


「ぐわあっ!」

「ふん……」


 シャドーは、体を霧散させ、それ以上のダメージを避けた。

 それに合わせて、ガルスはゆっくりと着地する。


「……流石は竜人、弱くなっても、その強さは顕在か……」

「……」


 ガルスとシャドーの戦いは、続いていくのだった。

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