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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第八章 魔界決戦

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第122話 復讐する人形劇

 アンナと教授は、操魔将オーデットと対峙している。

 オーデットが操る魔将の屍、屍人形(デス・マリオネット)が放った魔法の筒(マジック・ポット)によって、仲間達は部屋を移動してしまった。

 そのため、二人でオーデットの相手をしなければならないのだ。


「アンナ、気をつけた方がいい。前魔王は、知略に長けた男だったと聞いている。何をしてくるか、わからない」

「ええ、わかっています」


 アンナと教授は、それぞれ構える。

 オーデットは、前魔王であることがわかっていた。

 かつて魔王軍を率いていた最強の魔族だ。

 二人は気を引き締めて、戦いに臨むことを決意する。


「ふん……!」


 そんな二人に対して、オーデットは指を向けてくる。


「……はっ! アンナ、躱すんだ!」

「え? ……はっ!」


 その行為に、まず教授、次にアンナが気づいた。

 オーデットの指先から、細い糸のようなものが放たれているのだ。

 アンナと教授は、右と左に体を動かす。


「ほう? 外したか……」


 二人の間には、一本の糸が張っていた。

 糸は、壁に突き刺さっており、その威力が普通でないことを表している。


「だが、この糸はお前達に当てるためという訳ではない」


 そこで、オーデットが糸を引く。

 すると、壁の中から、何かが現れた。

 それは、木でできた人形である。


「これは……」

「人形……一体、なんだ?」

「アンナ、気をつけるんだ。当然、普通の人形ではないだろう」

「ええ、そうでしょうね……」


 アンナと教授は、その人形から少し距離をとりながら、観察していく。

 なんの変哲のない、木の人形に見えるが、操魔将オーデットが操るものなので、何かがあるはずなのだ。


「カカッ!」

「はっ!」

「アンナ!」


 そこで、突然人形が動き出した。

 その標的は、アンナである。

 人形は、片手に刃を生やし、アンナに斬りかかって来たのだ。


「カッ!」

「くっ!」


 人形の攻撃を、アンナは受け止める。

 その攻撃は、非常に遅く、対処も容易いものであった。

 しかし、アンナは、人形の動きが不気味に思えて仕方ない。


「はあああ!」


 ただ、アンナもやられてばかりではいられなかった。このまま攻撃を受け続けるだけでは、勝利は掴めないからだ。

 そのため、人形に斬りかかったのである。


「カッ!」


 アンナの一撃は、簡単に当たり、人形の体を切り裂いた。

 だが、アンナはそこで奇妙な感覚に襲われる。

 人形を確かに斬ったはずなのに、目の前にいる人形には傷一つついていないのだ。

 斬った感触と、事実との間に齟齬が生まれ、アンナは思わず動きを止めてしまう。


「かかったな! 復讐する人形劇(リベンジ・ドール)!」

「何っ!?」


 そこで、オーデットが大きく声をあげる。

 それに合わせて、木の人形に変化が起こった。


「カカカッ!」


 人形の体に、鎧のようなものが纏われる。

 さらに、両腕から刃が生えており、目に見えて、強化されていた。

 その様子に、アンナは目を丸くする。


「カカッ!」

「くっ!」


 人形は、アンナに斬りかかってきた。

 その攻撃は、先程よりも早くなっている。

 ただ、それでもアンナにとっては容易く防げるものだった。

 しかし、そこでアンナの心に疑念が生まれる。もしここで反撃すれば、人形はさらに強力になるのではないかという疑念だ。


「カカッ!」

「うっ!」


 アンナがそんなことを考えている内に、人形がもう片方の手で斬りかかってきた。

 アンナは、一度後退しながら、その攻撃を受け止めようとする。


「カッ!」

「何!?」


 だが、人形はそこで動きを変えた。

 受け止めようとしてアンナが動かしていた剣の軌道に、乗るように体を動かしたのだ。

 それにより、アンナの剣で人形は切り裂かれる。すると、オーデットが声を出す。


復讐する人形劇(リベンジ・ドール)!」

「カカカカカッ!」


 その言葉とともに、人形がさらに強化されていく。

 先程よりもさらに鎧で体が覆われ、全身に鋭利な刃のようなものが生えてきていた。


「カッ!」

「うっ!」


 次の瞬間、人形がアンナに斬りかかってくる。

 その一撃は、さらに早くなっていた。


「カカッ!」

「やはり……」


 アンナの予想通り、人形は攻撃を受ければ受ける程、強くなるようだ。

 ただ、例えアンナが攻撃しなくても、相手から攻撃を受けようとしてくる。それでは、この人形の進化を止めることができない。


「アンナ! 退くんだ!」


 そう考えていたアンナの耳に、教授の声が響いた。

 その声を受けて、アンナは大きく後退する。

 後退しながら見てみると、教授が手を構え、人形に狙いを定めていた。


消滅呪文(フレア)!」


 教授の手から、橙色の球体が放たれる。

 それは、究極の攻撃魔法である消滅呪文(フレア)だ。


「カカッ!?」


 消滅呪文(フレア)は、人形に着弾し、その体を消滅させていく。

 流石の人形も、この攻撃は防げなかったようだ。

 人形の体は跡形もなく消滅し、その場には何も残っていなかった。


「むう!? 厄介な魔法使いめ……!」

「アンナがやられている間、僕が何もしていないとでも思ったのかい? 君が何もしてこないから、ゆっくりと魔力を練ることができたよ」

「ふん! すぐに、その口を開かんようにしてやるわ!」


 どうやら、教授は、アンナがやられている間に、魔力を練っていたようだ。

 そのおかげで、アンナは助かったという訳だ。

 もちろん、アンナも教授が何もしていないとは思っていなかったので、この結果はある程度は予想できていた。


「アンナ、形勢を立て直そう!」

「ええ、もちろんです!」

「ふん!」


 アンナと教授は構え直しながら、オーデットを見据える。

 教授の魔法により、オーデットの人形は消滅されられた。

 しかし、オーデットの策略がこれで終わるはずはない。

 アンナと教授の戦いは、まだ続くのだった。

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