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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第八章 魔界決戦

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第121話 再生ウォーレンス

 ガルスは、魔王城の一室に来ていた。

 これは、オーデットが操る魔将の屍、屍人形(デス・マリオネット)が放った魔法の筒(マジック・ポット)によって、部屋を移動したからである。


「ガルル……」

「なるほどな……」


 ガルスの前には、ある魔将の屍人形(デス・マリオネット)がいた。

 その魔将は、狼魔将ウォーレンス。ガルスを罠に嵌めた後、アストリオン王国でアンナに負けて逃げ出した魔将だ。


「ガルル!」

「来るか!」


 ガルスに向かって、ウォーレンスが駆けて来た。

 その速度は、凄まじい。ガルスでも、咄嗟に防御するので精一杯だ。


「ガル!」

「くっ……!」


 ウォーレンスの一撃によって、ガルスの体が後退した。

 その爪による攻撃の威力も、かなりのものである。


「これは……」


 ガルスは、その攻撃力に驚いていた。

 なぜなら、以前までのウォーレンスは、これ程の戦闘能力を持っていなかったからだ。


 ウォーレンスは、魔将になってから、己の保身を考えるあまり、卑劣な戦術に頼るような男だった。


 だが、単純に自身の体だけで戦っている今の方が、ガルスにとってはかなり厄介だ。

 魔将一と呼ばれる速度と、獣人故の身体能力、それが噛み合い、驚異的な力となっているのである。


「その力を普通に振るっていれば、お前もこのような姿にならなかっただろうな……」

「ガル!」

「……無駄なことか」


 後退したガルスに、ウォーレンスが飛び掛かって来た。

 それに対して、ガルスは足を振るう。


竜人脚(リザード・レッグ)!」

「ガルル!?」


 飛び掛かって来たウォーレンスに、ガルスの足が突き刺さる。

 その衝撃により、ウォーレンスの体が大きく吹き飛ぶ。

 ガルスは、それを追って駆け出していく。


竜人拳(リザード・ナックル)!」

「ガル!?」


 ガルスの拳が、ウォーレンスに振るわれた。

 その一撃によって、ウォーレンスの体が大きな音をあげる。


「ふん!」


 ガルスは拳を大きく回し、ウォーレンスの体を上へとあげた。

 さらに、自身もそれを追って、飛び上がっていく。

 一瞬の連撃に、ウォーレンスは何も抵抗してこない。


「ガル!?」

「さあ、いくぞ!」


 ガルスは、空中でウォーレンスの体を捕らえ、そのまま上へと向かう。

 行き先は、天井である。


(ラバーサル・)竜人落とし(ドラゴン・ドロップ)!」

「ガルル!?」


 ウォーレンスの頭が、天井に叩きつけられた。

 大きな音ともに、ウォーレンスの体が破壊される。

 ガルスの攻撃は、さらに続く。


「ふん!」

「ガル!?」


 ガルスは、空中でウォーレンスの体を回転させ、その頭を地面に向ける。

 さらに、その体を捕らえて、落下していく。


竜人落とし(ドラゴン・ドロップ)!」

「ガルル!?」

「ふん!」


 ウォーレンスの頭が、床にぶつかり、大きな音をあげた。

 ガルスは、ウォーレンスの拘束を解き、一度距離をとる。


「ガルル……」


 ウォーレンスは、なんとか態勢を立て直したようだ。

 以前までのウォーレンスなら、この攻撃で勝利することができたはずである。

 それでも立ち上がってくるのは、既に屍であるからだろう。


「ガルッ!」


 ウォーレンスは、床を大きく蹴り、ガルスに向かってきた。

 その爪を構え、大きく振るってくる。


「これは……!?」


 ガルスは理解した。

 それが、狼魔奥義狼重連撃(ウルフ・ラッシュ)であるということを。

 これこそが、ウォーレンスの持つ最強の技である。


「くっ!」

「ガル!」

「ぐっ!」

「ガル!」


 ウォーレンスの連撃を、ガルスはなんとか防いでいく。

 その攻撃は、ガルスでも追い付くのが難しい。


「ガル!」

「ふん!」


 しかし、それでもガルスは全てを防ぎ切った。

 かなり危険だったが、それでもガルスには届かなかったのだ。


「哀れな奴だ……傀儡になってからの方が、真価を発揮できるとは……」

「ガル……」

「そこまで鍛え上げられた体を信じられなかったのが、お前の駄目な所だったのだろうな……」


 ガルスは、悲しみを覚えていた。

 かつてのウォーレンスが、その力を信じて、正々堂々戦っていたなら、いい戦士になっていたと思ったからだ。

 そして、オーデットの傀儡となって、初めてその力を振るえるなど、哀れでならなかった。


「この技は、魔族を捨ててから使わんと決めていたが、お前のせめてもの手向けだ……」

「ガル!」

「俺の持つ最強の闘気で、お前を冥府に追い返してやる……」


 ガルスは、ウォーレンスを弾き飛ばし、右腕を大きく回転させる。

 すると、ガルスの持つ闘気が渦巻となって、放たれていく。

 その技は、ガルスが捨てたはずの魔将としての技であった。


「竜魔奥義! 竜人旋風撃(ドラゴン・サイクロン)!」

「ガルル!?」


 ウォーレンスの体が、闘気の渦によって引き裂かれていく。

 さらに、その回転によって、ウォーレンスは床に押さえつけられる。

 そのまま、闘気の回転により、背中がどんどんと切り裂かれていく。


「ガルルルルル!」


 ウォーレンスの体から、鮮血が迸る。

 闘気の回転によって、ウォーレンスはその場から逃げることもできない。

 一度当たれば、相手の動きを封じて破壊する。それが、ガルスの持つ奥義の力なのだ。


「ガルル……」


 闘気の渦が、だんだんと弱まっていく。

 ウォーレンスの体は、かなり引き裂かれており、その体からは力が抜けていた。

 恐らく、もう動くことはないだろう。


『俺が、お前に……』

「む?」


 その時、ガルスの耳に声が聞こえてきた。

 それは、狼魔将ウォーレンスの声だ。


『くそっ! 死んでも哀れだ……』

「ふん……」


 ウォーレンスの言葉は、それだけだった。

 ガルスは、ゆっくりと歩き始める。

 未だ、他の仲間は戦っているはずだ。故に、ガルスはそこに向かわなければならない。

 こうして、ガルスとウォーレンスの戦いは終わるのだった。

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