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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第八章 魔界決戦

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第118話 再生デルゴラド

 アンナ達は魔王城に突入し、操魔将オーデットと対峙していた。

 操魔将オーデットは、前魔王であり、勇者も魔王も倒そうとしているようだ。


「ここは……」


 カルーナは、魔王城の一室に来ていた。

 これは、オーデットが操る魔将の屍、屍人形(デス・マリオネット)が放った筒によるものでと、カルーナは予測する。

 恐らく、筒は魔法の筒(マジック・ポット)という魔法を込めたものであり、その効果で移動したのだろう。カルーナは、鎧魔城で同じことをされたので、すぐに理解した。


「グルル……」

「あなたは……」


 カルーナの前には、ある魔将の屍人形(デス・マリオネット)がいる。

 その魔将は、剛魔将デルゴラド。アンナとカルーナが、最初に戦った魔将だ。


「ガアアア!」

「くっ!」


 デルゴラドは、その手に持つ棍棒を振り回し、カルーナに向かってきた。

 その一撃を受けたら、一たまりもないだろう。デルゴラドの剛力は、カルーナも知っているが、全力で受けたいものではないのだ。


「ゴラアッ!」


 デルゴラドの棍棒が、振るわれた。

 カルーナは後退することでそれを躱し、手を構える。カルーナが先程いた場所は砕け散り、抉り取られていた。

 カルーナは、手に魔力を集中させ、一気に解き放つ。


紅蓮の火球(ファイアー・ボール)!」

「グラアッ!」


 カルーナの手から、火球が放たれた。

 それに対して、デルゴラドは身を転がすことで回避してくる。

 しかし、カルーナもこれが躱されることは想定内だ。


双火(ツイン)!」

「ゴルッ!?」


 カルーナの火球が、二つに分かれる。

 その片方は、デルゴラドに向かっていく。

 回避行動をとっていたデルゴラドは、これを躱せない。


「ガアアッ!」


 そこで、デルゴラドは大きく口を開け、咆哮をあげる。

 すると、火球は弾け飛び、デルゴラドに当たることはなかった。


「ガアア!」

「くっ……!」


 さらに、デルゴラドはそのままカルーナに向かって来る。


「ゴアッ!?」


 そんなデルゴラドの動きが止まった。

 デルゴラドの背中で、小規模の爆発が起こったからである。


「よし……」


 それは、カルーナの狙っていたことだった。

 火球を二つに分けた時、片方をデルゴラドに向かわせて、もう片方を後ろに回していたのである。

 一撃目を防がれても、もう一撃目を入れられる。それが、カルーナの立てた作戦だったのだ。


「グルル……」


 ただ、火球は二つに分かれ、しばらく漂っていたため、そこまでの威力はなかった。そのため、デルゴラドがゆっくりと立ち上がる。


「まだまだか……」


 カルーナはデルゴラドから離れながら、次の作戦を考えていた。

 デルゴラドの剛腕はとても厄介なものなので、一度距離をとっておきたかったのだ。


「ゴルアア!」

「え!?」


 しかし、そんなカルーナは目を丸くしてしまう。

 デルゴラドが、その手に持つ棍棒を投げてきたからだ。

 それに対して、カルーナは咄嗟に、身を躱す。


「うっ……!」

「グラアッ!」


 棍棒をなんとか躱したカルーナに、デルゴラドが向かってきていた。

 無理に身を躱したカルーナは、それを躱すことができそうにない。


「ゴラアッ!」


 デルゴラドは、大きく腕を振るい、カルーナを狙ってくる。

 それに対して、カルーナは手に持つ杖に魔力を込めていく。


氷結呪文(アイス)!」

「ゴラッ!?」


 杖の魔石が反応し、魔法が放たれ、デルゴラドの腕が凍った。

 そのことで、デルゴラドの動きが少しだけ鈍る。

 突然の出来事に、デルゴラドも混乱したようだ。


「くっ……!」


 その隙に、カルーナは逃げ出す。

 一瞬の隙だったが、カルーナが動くのには充分な時間だったのだ。


「グラアッ!」

「なっ……!?」


 カルーナが逃げ出した時、デルゴラドは地面にあった棍棒を拾っていたようである。

 デルゴラドは棍棒を大きくあげながら、カルーナに向かってきた。

 魔法使いのカルーナでも、デルゴラドの棍棒に闘気が集中していくのがわかる。

 その感覚が、カルーナの記憶の底からあるものを引き出す。


「これは……」


 そして、カルーナは理解する。デルゴラドの放とうとしているのが、剛魔奥義・鬼神粉砕撃(オーガ・クラッシュ)であることを。

 それは、剛魔将デルゴラドが持つ、最大最強の技だ。それを喰らえば、カルーナは一撃で粉砕される恐れすらある。

 つまり、なんとしても躱す必要があるのだ。カルーナは、大きく後退し、攻撃から逃れようとする。


「はっ……!?」


 しかし、そこでカルーナは気づく。自身が、いつの間にか壁際まで追い込まれていることに。

 デルゴラドの度重なる攻撃に、そこまで来ていたのだ。恐らく、デルゴラドもそれを理解して奥義を放ってきたのだろう。


「くっ……!」


 カルーナは思考を加速させていく。

 先程と同じ手は、相手も理解しているだろう。つまり、それは使えない。


「それなら……!」

「ゴラアッ!?」


 そのため、カルーナは前に駆け出していた。

 デルゴラドの振り上げた腕の下に行き、魔力を解放する。


小さな(リトル)紅蓮の火球(ファイアー・ボール)!」

「ゴハアッ!」

「くっ……!」


 火球によって、デルゴラドの腕が少し上がった。

 その隙、カルーナはデルゴラドの後ろに回っていく。

 次の瞬間、デルゴラドの腕が振り落とされる。


「ゴラアアッ!?」


 当然、そこにカルーナはいないため、棍棒は床に当たった。

 その一撃により、床は粉々に砕け、跡形もなくなっていく。


「ゴルッ!」


 ただ、それが空振りであることは、デルゴラドも理解しているようだ。大きく体を回し、カルーナの方を向いてくる。


紅蓮の不死鳥ファイア・フェニックス!」

「ゴラアアアア!」


 そんなデルゴラドに対して、カルーナは炎の鳥を放っていた。

 それを躱せるはずもなく、炎の鳥がデルゴラドを包んでいく。

 消えることない炎は、デルゴラドの体を焼き尽くす。


「ガアアアアア!」


 大きく叫びをあげながら、デルゴラドは膝をつく。


『感謝するぞ……勇者の妹よ』

「え?」


 その瞬間、カルーナの耳に声が聞こえてきた。

 それは、剛魔将デルゴラドの声である。


『我が体を解放してくれたことに、礼を言おう。これで、やっと安心してボゼーズの元に向かえる……』

「デルゴラド……」


 デルゴラドの体が、倒れていく。

 その体には、力が宿っていていない。

 恐らく、オーデットの支配から、解放されたのだろう。


「……」


 カルーナは目を瞑り、黙祷する。

 卑劣な魔将によって操られた剛力の魔将が、安らかに眠れるようにという願いを込めて。

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