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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第八章 魔界決戦

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第117話 操魔将オーデット

 アンナ達は、魔王がいる魔王城に突入していた。

 アンナは周囲を見ながら、ゆっくりと呟く。


「これが……魔王城」

「ああ、俺も来るのはかなり久し振りだ……」

「ここも変わらんようだな……」


 ガルスとツヴァイも、アンナに続いてそう言葉を放つ。

 二人にとっては、元本拠地だ。色々と思うことがあるだろう。


「……ガルス、ツヴァイ、案内を頼めるかな?」

「ああ、もちろんだ」

「恐らく、魔王は最上階にいるだろう。だが、そこまで行くには、かならずいくつかの部屋を通る必要がある」

「つまり、誰かが待ち構えているとしたら、そこということか……」


 ガルスとツヴァイが先導して、アンナ達は歩き始める。

 魔王城の中にも、魔族はいない。そのため、一行の進行は特に問題なかった。

 そのまま進んで行くと、階段が見えてくる。


「あの階段を上れば、次の階にいける。ただ、次の階は、大部屋に出ることになるだろう。魔将達が健在なら、必ずここで待ち受けているはず……」

「わかった。それなら、皆覚悟しておこう」


 アンナ達は警戒を高めつつ、階段を上っていく。





 アンナ達は、魔王城の二階に来ていた。

 そんなアンナ達の目に、一人の魔族が入ってくる。その男は、黒いローブに仮面という、不気味な格好をしていた。

 それを認識し、ガルスとツヴァイが声をあげる。


「操魔将……オーデット!」

「魔王の側近が、こんな所にいるとはな……」


 その男は、操魔将オーデット。

 魔王の左腕ともいわれる特別な魔将である。


「……竜魔将ガルスに、鎧魔将ツヴァイ、それに勇者一行。ついにここまで来たようだな。それ自体は、称賛に値する」


 二人の言葉を受けて、オーデットはそんなことを呟いた。

 仮面によって、表情は見えないが、その声色には歓喜の感情があると、アンナには感じられる。


 だが、攻められているのに歓喜するのは、少しおかしい。

 そもそも、魔王軍は普通の状態でないはずなのに、オーデットの態度はそれを感じさないものである。

 それらを加味し、アンナの心に一つの考えが浮かぶ。


「オーデット、お前は一体、何者なんだ?」

「ほう? 勇者? 一体、何が言いたい?」

「魔王軍の現状と、お前の態度は噛み合っていない。この状況で、歓喜しているなんて、普通じゃない」

「なるほど、そうか。それで、結論は?」

「お前が、この状況を作り出した本人なんじゃないか?」


 アンナの出した考えは、そのようなものだった。

 それは、根拠などほとんどないものである。ただ、かまをかけるだけならただなので、言ってみたのだ。


「ふ、ふ、ふ……」


 アンナの言葉に、オーデットは笑う。


「ふははははははははは!」


 その態度は、ガルスやツヴァイも見たことがなかったものだった。

 このように笑うような者では、ないはずなのだ。


「いい読みだ……それに敬意を表してやろう。最早、姿を隠す必要も、ないからなあ……」


 そう言いながら、オーデットはローブを投げ放つ。

 さらに、その仮面が割れていき、その中身が見えてくる。


「これがわしの……真の姿!」

「何……?」


 オーデットは、老人のような姿だった。

 人間によく似ているが、その角や真っ赤な目などが、彼を魔族だと表している。

 ただ、それがなんの魔族なのか、アンナにはわからなかった。


「馬鹿な……」

「あれは……」


 そこで、ガルスと教授が声をあげる。

 二人は、オーデットの中身に、何かを感じているようだ。


「ガルス、一体、オーデットは……」

「あれは、魔王……」

「魔王!?」

「正確には、前魔王だね……」

「前魔王……!?」


 二人の口から出た言葉に、アンナは目を丸くした。

 前魔王は、前勇者によって討伐されたはずである。その魔王が、ここにいるはずがないのだ。


「ふふふ、その通り、わしは前魔王……最も、それで終わるつもりなどないがな」


 そこで、オーデットが指を鳴らす。

 すると、その頭上から何かが降ってくる。


「……なっ!」


 その降ってきたものに、アンナ達は驚いた。

 それは、アンナ達もよく知っている者達だったからだ。


「驚いたか……これが、わしの作った屍人形(デス・マリオネット)

屍人形(デス・マリオネット)……!?」


 アンナ達の前に現れたのは、かつて戦った魔将達だった。

 剛魔将デルゴラド、毒魔将ラミアナ、水魔将フロウ、狼魔将ウォーレンス、一人を除いて、アンナが止めを刺したはずの魔族達である。


「どうして、魔将達が……」

「全員、遺体を回収しておいたのだ。全ては、わしの兵を作るため……何人かは直接手を下したがな……」

「なんだって……?」


 オーデットは笑みを浮かべながら、そう言い出した。

 その顔は、邪悪に満ちている。


「竜魔将を手に入れるために、狼魔将を使ったりもしたが、これは上手くいなかった。使えん奴だったが、その肉体だけは評価できたので、こうしてわしの人形にしてやったわ……」

「……ウォーレンスに入れ知恵したのも、お前だったという訳か……」


 オーデットはさらに言葉を続けた。

 どうやら、ウォーレンスがガルスを襲ったのも、彼の影響があったようだ。


「ただ、こいつらの調整に少し手間取ってな。そのため、魔王軍の兵どもを使い、調整させてもらった……それで、魔王軍は少し傾いたようだが、それも問題ない」

「やはり、そうだったのか……」

「お前達も殺し、わしの人形にし、残った魔王も魔将も殺す。それで、わしの軍団は完成する。そして、全てを支配するのだ!」


 そこで、オーデットが再び指を鳴らす。

 すると、魔将達が動き始めた。よく見ると、魔将はそれぞれ筒のようなものをもっている。


「皆!」


 魔将達は、その筒をアンナの仲間にそれぞれ投げ放った。

 筒は光りを放ち、仲間と魔将を包んでいく。

 どうやら、オーデットはアンナ達を分散させるつもりのようだ。


「くっ!」


 一瞬の閃光が止み、アンナの視界が戻ってくる。

 周りの仲間達は、ほとんど消えていた。

 残っているのは、アンナ、教授、オーデットだけである。


「二人外したか、ならば、わしが直々に相手するとしよう……」

「くっ……!」

「アンナ、落ち着こう。他の皆も、魔将を倒してくるはずだ……」

「……ええ、教授、行きましょう!」


 アンナ達とオーデットの戦いが、始まろうとしていた。

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