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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第八章 魔界決戦

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第116話 それぞれの思い

 アンナ達は、魔王城の前で話をしていた。

 教授の話を発端に、各々話したかったことを話す流れになっていたのだ。


「さて、俺の話したかったことだが……」


 ガルスは、ゆっくりと話し始めた。

 彼が話しているのは、教授に振られたカルーナを庇ったためだ。

 故に、ガルスにはそこまで話したいことなどないのである。


「……俺は、炎に耐性があるんだが、ずっと思っていたことがある」

「そうなの? 何かな?」

「ああ、あれはそれなりに熱くてな。いつも、我慢しているのだ。熱に強い体を持っていても、熱いものは熱いからな……」

「ええ? そうだったの……」


 ガルスが放ったのは、自身の体質についてのことだった。

 ガルスは、熱い地帯で育ったリザードマンであるため、炎攻撃などに強いとされていたはずだ。

 だが、ガルス曰く、それでも熱いものは熱いらしい。


「……さて、これで俺は終わりだ」


 ガルスの言いたいことは、それで終わったようだ。


「あ、それじゃあ、私も言いたいことを言っておきたいと思います」


 次に言葉を放ったのは、ティリアだった。

 ティリアも、何か言いたことがあるようだ。


「私は、その……気になる人が、できたんです」

「ええ!?」

「なんだと!?」


 ティリアの放った言葉に驚いたのは、ネーレとツヴァイだった。

 ティリアと一緒によく一緒にいる者と、ティリアの兄の二人だ。

 二人は、ティリアとの距離を詰めていく。


「ティ、ティリアが好きな人って、だ、誰なの?」

「一体、どこのどいつだ。場合によっては、八つ裂きにしてやる……」

「あ、あの、二人とも、落ち着いてください……特に、兄さんは思い留まってください」


 詰め寄って来た二人に、ティリアは困惑していた。

 ネーレはともかく、ツヴァイは物騒すぎるので、それも仕方ないだろう。


「あ、ああ、ごめん、ティリア。俺、少し焦っちゃったよ……」

「ティリア、俺はお前のことを心配して……」

「兄さん、もう、やめてください……」


 そんな三人から少し離れ、カルーナはあることを考えていた。

 それは、教授に振られ、ガルスに庇ってもらった、カルーナの言わなければならないことについてである。


「……私も、言いたいことがあるんです」


 そして、カルーナはゆっくりと呟いた。

 それは、決意の呟きだ。

 その場にいる全員の意識が、カルーナに集中する。


「お姉ちゃん、いいかな?」

「え? 私? 何かな?」


 カルーナは、アンナの前に出た。

 そのことに、アンナは少し驚く。

 この流れであるため、カルーナが自分に何か言いたいことがあるとわかったからだ。

 それが何か、アンナは考えるのだった。


「私……最近、少しだけお姉ちゃんを避けていたよね」

「あ、うん……」

「それには、ある理由があるんだ……」

「理由? 何かな?」


 カルーナの言葉に、アンナは目を丸くする。

 そのことは、アンナがずっと気になっていたことではある。ただ、それにカルーナが触れてくるとは思っていなかったのだ。


「私、お姉ちゃんが……好き」

「え?」


 カルーナの口から、ゆっくりとその言葉が放たれた。

 その瞬間、アンナは固まってしまう。その言葉の持つ意味に、気づいてしまったからだ。

 カルーナの視線が、それを物語っていた。その言葉が、特別な意味だということを。


「少し避けていたのは、色々あってそのことに気づいたから。でも、本当はもっと前に気づいていたんだと思う。だから、お姉ちゃんと喧嘩しちゃったのも、それが原因なのかもしれない……」

「カルーナ……」

「姉妹だし、女の子同士だし、色々と思うところはあるよね。だから、答えは帰って来てからでいいよ」


 カルーナはそれだけ言って、話を終わらせようとした。

 それは、アンナのためか、カルーナ自身のためかはわからない。

 しかし、アンナの心境は違った。


「カルーナ、そんなに先延ばしにしなくてもいいよ」

「え?」

「私の答えは、決まっている。だから、今答えるよ」

「お、お姉ちゃん……」


 アンナの中で、答えは決まっていたのだ。


「カルーナに告白されて、びっくりしたけど、全然嫌ではなかった。むしろ、嬉しかったよ」

「えっ……」

「私、カルーナのことは大切だって思っている。ずっと一緒にいたいと思っている。それは、きっとそういう意味なんだって思うんだ」


 アンナは、ゆっくりとカルーナに近づき、その体を抱きしめる。


「で、でも、よく考えた方が、いいと思うよ? だって、これってかなり大変なことだし……」

「カルーナ、私が本気だって、わかっていないのかな?」

「わ、私があんなに悩んで結論を出したのに、お姉ちゃん、その場の勢いで決めているみたいなんだもん。そ、それが大丈夫なのかって、思って……」

「なるほど、それなら、わかりやすくしようか……」

「え?」


 このタイミングで、そんなことを言い出したカルーナに対して、アンナはあることを思いついた。

 それは、カルーナを納得させるのに、一番わかりやすい方法だ。


 アンナは、ゆっくりとその顔をカルーナに近づけていく。

 そして、そっとその唇を奪う。


「んんっ!?」

「ん……」


 それに対して、反射的に動こうとしたカルーナをアンナは押さえつけた。

 その時点で、カルーナは抵抗を止め、ゆっくりと目を瞑る。


「……ふう」

「あっ……」


 数秒後、アンナが離れていく。


「これで、わかってくれたかな?」

「……うん、とてもわかった。お姉ちゃんの気持ち……疑ってごめんなさい」

「いいんだよ。だって、それも仕方ないことだと思うし……」


 アンナは、カルーナの言い分も理解していた。

 アンナの思考は、この一瞬で切り替わったように見えるため、それを疑ってしまうのも、仕方ないだろう。


 ただ、アンナも恐らくは、自分もずっとカルーナのことが好きだったと予想していた。今までの自分を振り返ると、そう思えたのだ。

 そのため、アンナはカルーナの告白にすぐに答えられた。

 それが、この瞬間の答えである。


「……あっ!?」

「ああっ!?」


 そこで、アンナとカルーナは気づく。周りに、仲間達がいたことに。

 そのことで、赤かった二人の顔が、さらに赤くなる。


「……お二人とも、おめでとうございます」

「薄々そうかと思っていたが、まさか本当にそうだったとはな……」

「まあ、一応祝福しておこう」

「なんだか、俺までドキドキしちゃったよ」

「これで、憂いもないだろう。後は、決着をつけるだけだね」


 仲間達は、口々に二人に言葉をかけてきた。

 それは様々な言葉であるが、皆、祝福しているのは確かだろう。


「よし! 次! 私!」


 そこで、アンナは大きく手を叩く。

 場の空気を切り替えるためである。


 そして、アンナは言葉を放つ。

 それは、アンナが一番言いたかったことだ。


「皆に言いたいことは、ただ一つ! 生きて帰ろう!」


 その言葉に、仲間達はゆっくりと頷く。

 さらに、口々に言葉を放つ。


「もちろん! 私の望みは、お姉ちゃんと平和に暮らすことだもん!」

「はい! 例え、どんな傷を負っても、私が治してみせます!」

「ここまできたのだ、お前達……いや、俺達なら必ず勝てるだろう」

「ティリアは、俺が守る。そして、お前達も俺が守ってみせよう!」

「こんな所まで来て、死んでたまるかってな!」

「さて、君達が生きて帰られるよう、教えを授け続けようか……」


 アンナ達は、ゆっくりと歩き始まる。

 この戦いは、最後の戦い。決戦の地は、魔王城だ。

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― 新着の感想 ―
[一言] きゃー!!!おめでとうです!!! てぇてぇ(☝ ˘ω˘)☝ふぅー!!最高!!!
2020/05/17 20:38 退会済み
管理
[良い点] 「……さて、これで俺は終わりだ」 [一言] 口火を切るガルスほんと優しい。
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