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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第八章 魔界決戦

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第114話 魔界へ

 アンナ達は、魔界への突入を決めていた。


「よし、連絡はついたよ。それと、ヴィクティスやレミレア達にも通信が通じたみたいだ。二人とも、嵐によってアストリオン王国に戻されていたらしい」

「そうですか、とりあえず無事ならよかったです。それで、王様達はなんと?」

「ああ、僕達の進行に、反対はないらしい」

「それなら、大丈夫そうですね……」


 一つ心配だった王達からの許可も出たようだ。

 つまり、これで魔界に行くのに問題はなくなった。


「どうやら、タイラーンの作り出した嵐は相当強力らしく、自然に止むのを待つか、打開策を見つけるか、どちらにせよそれなりの時間がかかるそうだ。その隙に、魔族に体勢を立て直されるのはまずいらしい。だから、魔族に何かあった今攻められるなら、そうしれほしいそうだ」

「なるほど……」

「ただ、危険そうなら引くことも考えて欲しいとも言っていた。勇者を失うのは、かなり厳しいらしいからね」

「はい、それは心得ています……」


 教授の言葉に、アンナはゆっくりと頷く。

 当然、アンナも今から死ぬつもりも死なせるつもりも毛頭ない。

 皆で生きて帰れるなら、引くことも考えるつもりだ。


「それなら、問題はないね……」

「はい、それじゃあ、皆、行こう!」


 アンナの合図で、一同は(ゲート)へと入っていく。

 いよいよ、魔界へと突入だ。





 アンナ達は、真っ黒な道を歩き続け、開けた所に出てきた。

 その光景に、人の世界しか見ていなかった者達が、声をあげる。


「こ、これが……」

「魔界……?」

「なんだか、暗い……?」

「ああ、なんというか、あっちと全然違うな……」

「なるほど、興味深いね……」


 紫の空に赤い月、大地にも緑はなく、全体的に暗い色。それが、魔界の光景だ。


「……暗いか、その感想も当然だろう」

「ああ、人間達の世界に比べたら、そうだろうな……」


 ガルスとツヴァイは、アンナ達の感想にそう呟いた。

 二人から見ても、魔界は人間の世界に比べて、暗いようだ。


「ガルス、ツヴァイ、あれって一体……?」


 そこで、アンナは魔界を知る二人に話しかけた。

 周りを見渡した時、遠くの方に町のようなものが見えたからである。

 それが、なんなのか、聞いておきたいのだ。


「あれは、魔族達が暮らし町だ。人間達と変わらない、戦いを知らぬ民達が暮らす場所だ」

「ああ、あそこは丁度、魔王の膝元ということもあり、中々大きな町だったな……」

「魔族の民達が……」


 アンナの言葉に、二人はそう答えてくれた。

 その答えに、アンナは驚いてしまう。


「……魔族も、そんな風に暮らしているんだね……」

「ああ、もちろんだ。ただ、ここで暮らしている者達の半分くらいは、人間と争っている自覚など持っていないだろうがな……」

「え?」

「人間は魔族からの侵攻を受けている。魔族は人間の侵攻を受けていない。それにより、民の意識にも差があるのだ」

「そっか……」


 アンナの呟きに、ガルスが続いた。

 ガルスの言ったことが、いいことなのか悪いことなのか、アンナにはわからない。


「……もし、私達が魔王を倒したら、どうなるんだろう? 人間が勝ったら、魔族の領域に侵攻するのかな?」

「お姉ちゃん……?」


 アンナは思った。

 確かに、魔族は人間側に侵攻してきたが、あの町で暮らす人々は関係ないはずだ。

 そのため、人間側が勝利した後、あそこにいる人々の暮らしは、脅かされるのは嫌だった。

 アンナは平和に暮らす人々のために戦うことを決めたのだ。その思考は魔族にも適用されるのである。

 なぜなら、魔族も人間とさほど変わらないとアンナは知っているからだ。


「アンナ、お前の考えは、俺にとってありがたいことだ。ただ、今はそれを気にする必要はない」

「ガルス……」

「お前が考えるべきは、魔王を倒すことだ。後のことは後で考える。それでいいだろう」


 色々と考えていたアンナだったが、ガルスの言葉でそれをやめる。

 ガルスの言う通り、今それを考えても無駄だと思ったからだ。


「わかった……それじゃあ、魔王のいる場所に向かおう。それで、戦いを終わらせるんだ……」

「ああ、それでいい。魔王がいるのは、魔王城という場所だ。ここからも、近い」


 ガルスとツヴァイの案内で、アンナ達は進んで行く。

 いよいよ、魔王との戦いが始まるのだ。

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