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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第七章 海を統べる者

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第112話 海魔将の執念

 アンナが呼びだした聖竜によって、海魔将タイラーンは沈められた。


「やったね、お姉ちゃん! これで、海魔団も……」

「うん、降伏するかもしれないね」


 アンナとカルーナは、お互いに手を取り合う。

 将が倒れた今、海魔団の指揮はかなり下がっているはずだ。

 もしかしたら、降伏する可能性もある。

 何はともあれ、この戦いも人間側が勝利することになるだろう。


「……うん?」

「お姉ちゃん? どうしたの?」

「なんだか、波の様子が……」

「え?」


 これで、海魔団との戦いも、終了する。そう思ったアンナ達だったが、そこで異変が起こった。

 周りの様子が、おかしいのだ。

 空は雲が出ており、海はかなり揺れている。つまり、荒れ始めているのだ。


「こ、これは……」

「まずい……」


 海魔団の団員達も、そのことに困惑しているように見える。

 中には、波にさらわれているまでいるようだ。


「お前ら、船内に戻れ!」

「ボーデンさん!? 一体、何が?」


 甲板で様子を伺っていたアンナ達に、ボーデンがそう言ってきた。

 何やら、かなり焦っている様子だ。


「海が荒れていやがる! 嵐がくるぞ!」

「嵐……!?」


 ボーデンの言葉に、アンナは目を丸くする。


「でも、さっきまで雲一つなかったのに……」


 なぜなら、その天候の変化があまりにも急だったからだ。

 海の上であろうと、このような変化は驚きなのだ。


「もしかしたら、奴の呪かもしれんな……」


 そんなアンナに対して、ガルスが口を開いた。

 その言葉に、アンナはさらに驚いてしまう。


「ガルス? 呪いって、一体……?」

「タイラーンが、ただで死ぬとは思えん。奴が最期に残したのが、この嵐のように思えるのだ」

「そ、そんな……」


 ガルスの理論は、アンナにもなんとなく理解できた。

 死の前後、そのような力が働くことは、アンナも知っていることである。

 そのため、この嵐がタイラーンのものだということは納得できるのだ。


「そんなことはどうでもいい! さっさと船内に入れ!」


 アンナ達の思考は、ボーデンの一声によって遮られた。

 その言葉に従い、アンナ達は急いで船内に戻る。

 嵐は、さらに勢いを増す。





 アンナ達が船内に戻った後も、嵐は勢いを増していた。


「くそっ!」

「ボーデンさん、どうなっているんですか?」

「無理だ! 船が制御できねえ! このままじゃ、まずい!」


 アンナの問い掛けに、ボーデンは悲痛な面持ちだ。


「大丈夫、船は強化してあるから、沈むことはないはずだ」


 焦るボーデンに、教授がそう声をかけた。

 しかし、ボーデンの顔は変わらない。


「その心配じゃねえ! 恐らく、この船は、ある場所に流されているんだ!」

「ある場所? それは、どういうことだい?」

「アストリオン王国の反対側……魔の大陸と言われている、魔族の領域だ!」

「魔族の領域? なるほど、そういうことか……」


 ボーデンの言葉に、教授は頷いた。

 どうやら、この船は魔族の領域に向かっているようだ。


「魔族の領域……それって、どんな所なの?」


 その言葉を聞いて、アンナはガルスとツヴァイの方を向く。

 魔族関連のことは、この二人に聞くのが早いからだ。

 アンナの言葉を受けて、ガルスがゆっくりと口を開く。


「魔族の領域とは、魔界に繋がる唯一の場所だ……」

「魔界……確か、魔族が住んでいる所だったよね?」

「ああ、そこに行くための(ゲート)が、魔の大陸に存在するのだ」

「つまり……」

「魔族にとって、最も重要な拠点といえるだろう……」


 ガルスの言葉から、魔の大陸にはかなりの魔族がいることが予想できた。

 アンナ達以外の船が魔の大陸に辿り着く保証もないため、この船だけの戦力で、それの相手をすることになるかもしれない。


「それじゃあ、かなりの魔族が警護しているってことか……」

「ああ、そして、それを束ねているのが、闇魔将ドレイク……悪魔だ」

「悪魔……!」


 ガルスの口から、さらなる事実が告げられた。

 魔の大陸には、魔将までいるようだ。

 これらの事実は、アンナの顔を歪ませるのに、充分なものであった。


「……くっ! そんな奴らと戦わなければならないのか……」

「ああ、だが、やるしかない……」


 ガルスの言う通り、アンナ達に選択の余地はない。

 この船が魔の大陸に着けば、当然魔族は攻撃してくる。

 そのため、アンナ達は戦うしかないのだ。


「船長! 何か見えてきたようです!」

「何!?」


 そこで、船員の一人がボーデンに声をかけた。

 どうやら、何かが見えたらしい。


「なんだか、黒い地面の奇妙なものみたいなんですが……」

「……間違いないな。それは、魔の大陸だ」


 船員の言葉を聞き、ガルスがそう言い放った。

 やはり、目的地は魔の大陸だったようだ。


「……皆、戦闘の準備をしておこう。相手が、いつ仕掛けてくるのか、わからない」


 アンナの言葉に、周囲の仲間達は頷いた。

 そして、すぐに各々戦いの準備を進めていく。


 こうして、アンナ達は魔の大陸に近づいていくのだった。

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