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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第六章 獣人達の王

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第105話 次なる戦いのために

 アンナ達は、獣王との戦いを終え、アストリオン王ヴィクティスの元に来ていた。


「皆さん、お疲れさまでした。皆さんのおかげで、この国の危機は去りました。ありがとうございます」

「い、いえ……」


 ヴィクティスのお礼に、アンナは困惑してしまう。

 前のアストリオン王に比べ、ヴィクティスはかなり丁寧で穏やかな王である。兄弟でありながら、ここまで違うことに、アンナは驚いてしまったのだ。


「教授も、急な要請に答えて頂き、本当にありがとうございます」

「構わないよ。国の危機だからね」


 ヴィクティスはさらに、教授に礼を重ねる。


「教授、一体どういう関係なんですか?」


 そこで、アンナはそんなことを聞いてみた。

 教授が、アストリオン王達とどのような関係があったのか、気になったのだ。


「ああ、僕は元々、王国軍に所属していたんだ」

「あ、そうなんですか」

「そこで、色々やりすぎてしまって、王都を追放されてしまったんだ」

「ええ……」


 アンナの質問に、教授はそう答えてくれた。

 どうやら、色々と無理をしていたようである。

 しかし、それだけでは王族とここまで対等に話せる理由はわからない。


「でも、どうして、ここまで親しく?」

「さて、それも色々あるのさ」


 それをアンナが質問したが、教授は答えてくれなかった。

 恐らく、言いたくないことなのだろうと、アンナは推測する。

 そのため、これ以上の追及はしなかった。


「さて、皆さん、これで我ら人間側に侵攻してきた魔王軍は、全て退けたことになります」


 そこで、ヴィクティスがそう言って仕切り直す。

 狼魔団を退けたことで、人間側に侵攻している魔王軍は、全て退けたことになったのだ。

 しかし、それでも戦いは終わらない。なぜなら、それで魔王軍が滅びた訳ではないからだ。 


「これで、人間側の安全は確保できました。そのため、次はこちらから行きます」

「こちらから……」

「はい。人間が、魔族の領域に侵攻するのです」


 ヴィクティスから放たれた言葉に、アンナは顔を歪める。

 魔王軍を退けても、戦いが終わらないことなど、アンナもわかっていた。結局、魔王を討ちとらなければ、人間の勝利とは言えないのである。


「目的は、魔王の討伐です。その要は、もちろんアンナさんになるでしょう」

「はい……」


 だが、アンナは思っていた。

 魔王を倒して、それで本当に戦いが終わるのかと。


 長い歴史の中で、勇者と魔王は何度もぶつかってきた。

 魔王が倒されれば、新たな魔王が生まれる。その逆も同じだ。

 つまり、今の魔王を倒しても、また新たなる魔王が生まれるだけのかもしれない。

 そのことが、アンナの胸に引っかかってしまうのだ。


「それで、一体どのように魔族の領域に?」


 しかし、アンナはすぐに思考を切り替える。

 次の魔王が現れるとしても、今の魔王をどうにかしなければ、戦いは終わらないのだ。そのため、今はそちらをなんとかすることにしたのである。


「魔族の領域に侵攻するには、まず海を支配している海魔団を片付けなければいけません」

「海魔団を……」

「はい。彼らがいる限り、魔族の領域への侵攻は難しいですから……」


 魔族の領域に侵攻するには、まず海魔団を倒さなければならないようだ。

 海魔団は、現在北の海を占拠している。つまり、次の戦いは海であるということだ。


「海魔団は、水棲魔族を中心として構成されています。それに対して、私達は船で戦うしかありません。故に、とても不利であるといえます」


 ヴィクティスは、淡々と戦況を話す。

 海での戦いになる以上、人間よりも海で活動できる魔族の方が有利になるのは必然だ。

 アンナは、次の戦いが厳しいものになることを予測する。


「そこで、教授をお呼びしたのです」

「ああ、そうだね」

「え?」


 そう思っていたアンナは、ヴィクティスの言葉に驚く。

 何やら、教授が海での戦いに関係しているようだ。


「僕の持つ技術で、船を強化するのさ」

「船を?」

「ああ、そうすれば、海魔団と対等以上に戦えるようになる」


 どうやら、教授の技術を使って船を強化するらしい。

 教授が呼びだされたのは、そういう理由もあったようだ。


「さて、この計画にはもう一人必要な人物がいます。ネーレさん、それはあなたに関係する人です」

「え? ネーレが?」


 次にヴィクティスが放った言葉に、アンナは再び驚いた。


「やっぱり、私か……」


 呼ばれたネーレは、そのことを予測していたのか、ため息をつく。


「ネーレ、一体、どういうことなの?」

「私の家は、船を作っているんだ。この国でも、かなり有名な所だから、もしかしたらと思っていてさ……」

「そうだったんだ……」


 ネーレが呼ばれたのは、実家が造船業をしているかららしい。

 この国でも有名な所であるため、船の強化に協力してもらうということだろう。


「それじゃあ、ネーレの実家が、次の目的地ということでしょうか?」

「はい、教授とともにネーレさんの実家に行って、協力してくれるように頼み、船を強化して欲しいのです」

「やっぱり……そうなるよなあ……」


 アンナとヴィクティスのやり取りで、ネーレは少し落ち込む。

 家出してきたので、帰り辛いのだろう。

 しかし、今はそんなことを気にしている場合ではない。


「それじゃあ、ネーレの実家に行こう」

「まあ、仕方ないよなあ……」


 こうして、アンナ達はネーレの実家に向かうことになった。

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