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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第六章 獣人達の王

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第104話 消滅する肉体

 アンナは、狼魔団との戦いを終わらせ、獣王と戦っていた。

 連続攻撃によって、戦いを有利に進めていたアンナだったが、獣王の一撃でそれも中断してしまう。


「ふふ! さあ、どうする? どんどんと回復していくぞ!」


 アンナが攻撃をやめたことによって、獣王の体の修復が進む。

 消滅呪文(フレア)によって消滅した左腕は、手首近くまで再生しており、左足の先は完全に回復している。カルーナが開けた腹部の穴も、ほとんど治ってきていた。


「……それなら、これで」


 そこで、アンナは聖闘気を集中させる。


聖なる十字斬り(セイント・クロス)

「むっ!?」


 アンナの聖闘気が、獣王の体を傷つけていく。

 しかし、その傷はすぐに回復してしまう。


「無駄だ! その攻撃でも、この俺の体を傷つけることはできん!」

「……聖なる光よ!」

「何!?」


 アンナはそれを気にも止めず、振り抜いた聖剣の形を変える。


「拘束しろ!」

「ぐっ!?」


 聖なる光は、獣王の体に巻き付いてく。

 それは獣王の腕を封じ、体の動きを止める。


「まだだ!」

「これは!?」


 アンナは、獣王に聖闘気を流し込んでいく。

 それは、獣王の体を破壊するためのものである。

 獣王の体が、内部から破壊され、体中から鮮血が噴き出す。


「ぐっ!?」

「はあああああっ!」

「がああああっ!」


 アンナは止まることなく、獣王の体に聖闘気を流し続ける。

 獣王は、その激しい痛みに声をあげ、それに耐えているようだ。


獣王波(ビースト・バースト)!」


 そこで、獣王は体から闘気を放出しようとする。


「聖なる光よ! 私を守れ!」


 だが、アンナもその行動にでることを予測していた。

 そのため、体に聖闘気を張り巡らせることで、獣王の攻撃を防御したのだ。


「くっ!」


 アンナに防御されたことを悟ったのか、獣王の顔に焦りが見える。

 その様子を見て、アンナは今こそが攻める時であると、思うのだった。


「教授!」

「ああ!」


 アンナの言葉に、教授が反応する。

 教授はアンナが現れてから、ずっと魔力を集中させて、待機していたのだ。

 全ては、獣王との戦いに決着をつけるためである。


「ぐうううっ!」

「はああああ!」


 教授の手に、大量の魔力が放出されていく。

 その魔力は、橙色の球体となって、多大なエネルギーを放出する。

 獣王は、自身にこれから訪れる攻撃に声をあげるが、アンナの聖闘気によって動くことができない。


消滅呪文(フレア)!」


 教授の手から、獣王に向けて魔法が放たれた。

 その球体は、獣王の体に一直線に飛んでいく。


「ガオオオオン!」


 獣王が雄叫びをあげるが、消滅呪文(フレア)は消滅しない。


「があああああ!」


 獣王の体に、消滅呪文(フレア)が着弾する。

 橙色の球体が破裂し、獣王の体を消滅させていく。


消滅呪文(フレア)!」


 そんな獣王に、教授はもう一発の消滅呪文(フレア)を放つ。

 当然、獣王はそれを躱すことができず、二発目が着弾する。

 獣王の体が、どんどんと消滅していく。


「ふはははは!」

「何!?」


 そこで、獣王が突然笑い出した。

 絶体絶命の状況であるというのに、その顔はとても嬉しそうである。

 その様子に、アンナは思わず目を丸めてしまう。


「見事な戦いだった! 今回は、吾輩の負けだ!」


 獣王の消滅は、止まらない。

 その中でも、獣王は大きく声をあげ続ける。

 それは、これから消滅するとは思えない程の声色だ。


「去らばだ! 勇者達よ!」


 その言葉を最後に、獣王の体は全て消滅していった。

 そこには、獣王の一部も残されていない。


「これは……」


 だというのに、アンナはまったく勝った気がしていなかった。

 なぜなら、アンナは感じてしまっていたのだ。獣王の気配を。

 そこにいないはずの獣王が、何故かそこにいるように、感じてしまうのである。


「一体……なんなんだ?」

「恐らく、獣王は死んだ訳ではない」

「教授!?」


 アンナの疑問に答えてくれたのは、教授だった。

 教授は獣王のいた場所に、ゆっくりと近づいていく。


「ここに、獣王はまだいるんだ」

「ここに……? でも、どこにもいませんよ?」

「……彼の再生能力は、それ程に強力なのだろう。例え肉体がなくても……ね」

「そんな……」


 教授の見立てでは、獣王は未だに再生を続けているようだ。

 つまり、獣王は完全に倒せたわけではないのである。

 その事実に、アンナの体は震えてしまう。

 あれでも倒せないなど、本当に恐ろしいと思ったからだ。


「といっても、再生にはかなりの時間がかかると思うよ。何しろ、闘気だけで肉体を再生するのだからね。恐らく、五年はかかるとみていいだろう」

「五年ですか……それなら、なんとか……」


 だが、教授が言ったことで、アンナは一先ず安堵する。

 五年後に再生なら、なんとかなるはずだからだ。


「何はともあれ、これでここでの戦いは終わりだ。王の元へ向かおう」

「はい……」


 教授がそう言い、アンナも頷く。

 こうして、勇者一行と獣王との戦いは終わるのだった。

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