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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第六章 獣人達の王

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第103話 勇者と獣王

 アンナは、狼魔団との戦いを終わらせ、カルーナ達の側に来ていた。

 そこで目に飛び込んできた光景は、獣王がカルーナに腕を振り上げている場面だ。

 そのため、アンナは闘気を集中させ、獣王を威嚇したのである。


「お姉ちゃん……!」

「カルーナ……!」


 アンナはゆっくりとカルーナの元へと近づいていく。


「何故、動けん?」


 獣王の動きは、アンナの放った闘気によって封じられていた。

 その手を振り上げたまま、動かないのである。

 獣王は、そのことに驚いているようだ。


「行くぞ……!」

「むっ!?」

「はああああっ!」

「ぐううっ!」


 そんな獣王に、アンナの剣が振るわれる。

 その攻撃によって、獣王の体は大きく吹き飛ぶ。


「お姉ちゃん、気をつけて。獣王は、普通に攻撃しても、再生してしまうの」

「再生? だけど、あいつの体はボロボロだよ?」

「あれは、消滅呪文(フレア)の効果。それでも再生されるから、なんとかして消滅呪文(フレア)を当て続けなきゃダメなの」

「なるほど……つまり、止めはカルーナか教授ってことか……」


 カルーナの言葉で、アンナは獣王の力を理解する。

 そして、自身にできることが、カルーナや教授が魔力を溜めるための時間稼ぎということもわかった。


「カルーナは、魔力はどう?」

「それが、私は駄目そう。体の魔力を、ほとんど使い果たしちゃったみたい……」

「それなら、なんでここにいるかわからないけど、教授に頼らせてもらおう」


 カルーナの魔力は、もうほとんど残っていないようだ。

 そのため、アンナは遠くにいる教授に頼ることにする。

 恐らく、教授も状況を理解しているはずだ。


「それじゃあ、カルーナ、行ってくる」

「うん、頑張って、お姉ちゃん」


 その言葉を合図に、アンナは歩いて行く。

 目線の先には、獣王がいる。


「勇者アンナか。面白い!」


 獣王は、既に体勢を立て直していた。

 その顔は笑っており、嬉しそうだ。


「貴様がこちらに来たということは、ウォーレンス達は失敗したということか!?」


 獣王は、アンナに向かって話しかけきた。

 どうやら、アンナが狼魔団と戦っていたことを理解しているようである。

 アンナは、特に隠す必要も感じなかったため、獣王に狼魔団の壊滅を話すことにした。


「そうだ。ウォーレンスには逃げられたが、獣王親衛隊とやらは、もう倒してきた」

「なるほど、ウォーレンスは逃げたか! 相変わらず、卑劣な奴だ!」


 味方が敗北したというのに、獣王の顔は崩れておらず、むしろ楽しそうなくらいだ。


「味方がやられたというのに、嬉しそうだな……お前は、圧倒的に不利だぞ」

「不利? それは違うな。俺一人いれば、国の一つくらいは潰せる。故に、何も悲観することはない。むしろ、奴らを倒した圧倒的強者と戦えることが楽しみなくらいだ」


 アンナの疑問に対して、獣王はそう語る。

 その考え方は、アンナにはまったく理解できないものだった。

 それを嬉々として話す獣王に、アンナは恐怖さえ覚えてしまう。


「さて、そろそろ始めるか!」

「くっ!」


 そこで、獣王が一気に体を動かす。

 どうやら、話は終わりのようだ。

 アンナもそれを認識し、一気に獣王に近づいていく。


「喰らえ! 獣王波(ビースト・バースト)!」


 獣王の体から、闘気が放たれた。

 その闘気に対して、アンナも聖闘気を放出して対抗する。


「はああああっ!」

「むうううっ!?」


 二つの闘気がぶつかり合い、大きな衝撃と化す。

 だが、二人ともその闘気をものともせず、お互いに向かっていく。


十字斬り(クロス・スラッシュ)!」

「ふん!」


 獣王の爪と、アンナの聖剣が重なり合う。


「ぬううっ!?」


 打ち勝ったのは、アンナの方だった。

 獣王の爪が、崩れていく。

 しかし、すぐにその爪は再生する。


「これが、再生能力か……!」


 アンナは獣王の再生能力を認識した。

 恐ろしい程の再生速度に、アンナは思わず驚いてしまう。


「だけど!」


 だが、アンナはすぐに思考を切り替える。


「はあああっ!」

「ぬううっ!」


 アンナの一閃が、獣王の体を切り裂く。

 その衝撃で、獣王の体が動きを止める。


「まだまだ!」


 アンナは、さらに攻撃を加えていく。

 獣王が再生しても、何度も切り裂き、その体を動かせない。


「中々やるな! 勇者!」


 しかし、獣王もただやられるだけではなかった。


獣王波(ビースト・バースト)!」

「くっ!」


 獣王は、アンナの隙を突き、闘気を解放してくる。

 その衝撃で、アンナは少し後退してしまう。

 すると、獣王の体がどんどんと再生していく。


「ふん! 残念だったな!」


 獣王の体は、消滅呪文(フレア)によって削られていた部分まで再生していた。

 このままでは、完全に回復されてしまうだろう。


「くっ! やはり、手強いか……」


 アンナは、獣王の強さに驚きながらも体勢を立て直す。

 アンナ達と獣王の戦いは、続く。

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