トレントと変身!
筆が乗ったので2話目投稿!
ギルドを出て南の大門に向かう。
主要道路を歩いていると後ろから先ほど別れたヘルミネの声が聞こえた。
「おーいフウガ!」
何かあったのだろうか?
「どうしたんだそんなに急いで」
「いや、今日朝報酬を受け取ったら渡そうと思っていた物があってたんだ。だがなんやかんやあって渡しそびれたからな。お前が依頼から帰ってきた後に渡そうかとも思ったんだが…トレントとは戦ったこと無いだろう?だから変身したときにスライムみたいに人間離れした姿だとすると今回は私が一緒に行くわけじゃ無いから王都に入り辛いだろうと思ってな」
そう言ってヘルミネは黒色のものを渡してきた。広げてみるとそれはフード付きのローブだった。
「これなら余程大きい姿で無ければ体を隠せるだろう?」
たしかに。これならだいたいの変身したままでも安心だ。ただ……
「ありがとう。でもなんで変身する前提なんだ!」
「そりゃ初めて戦闘する魔物に無傷で済むとは思わないしな。それにこれは私流の願掛けでもある」
「願掛け…?」
「そうだ、主にトランの新しい姿が見られるようにな」
「もう本音が出てるじゃないか…だが…ありがたく使わせて貰うよ」
「あぁ、頑張って一撃貰ってこい」
もはや隠してないし。
南の大門では今日はジンではなくカインがいた。こちらもエルさんリラさんと同じように交代でいてくれてるのだろうか?
「フウガか。今日も外で討伐依頼か?」
「はい。今日はトレントの討伐です」
「トレントか…あぁ、東南の森か?」
東南の森にトレントが出現したことを知っているみたいだ。
「そうです!知ってたんですね」
「まぁな。ここで門番してるといろんな情報が入ってくるからな。……お前、トレントと戦ったことあったか?」
「無いですね」
「そうか……ならもしかしたらがあるかもしれないか…」
「…そうなりますね」
「わかった。もう俺は驚かんぞ」
「そうしてくれると助かります」
「あぁ…じゃあ気を付けてな」
カインにも身構えられてしまった。変身すると決まったわけじゃ無いんだがな…
東南の森に着いた前来たときと変わった様子は無い。出てくるスライムをファイアーボールで倒しながら奥に進む。
しばらく進むと異変に気付いた。5分も歩けば1体は見かけたスライムが忽然と出なくなったのだ。
「明らかに怪しいな」
ここからはより慎重に行く必要がある。耳を澄ませながら奥に進むと前方からガサガサと音がする。
木の隙間から様子を窺うと木が動いているのが見えた。
「あれか…」
幹自体は動いていないものの枝や、枝に生えている蔓が蠢いているのだ。これまたザ・異世界な光景だな。
近づきたくは無いのでファイアーボールの射程範囲内に入ったら今作り出せる最大のファイアーボールを放って様子を見よう。
制御できる限り最大の魔力を手のひらに集め圧縮し一気に振りかぶり投げた。
狙い通りファイヤーボールは木の幹に直撃した。直撃した直後トレントは派手に暴れ出した。
だが火が消えることは無く枝や蔓に瞬く間に燃え移っていく。
「案外楽に倒せそうだな…」
と少し気を抜いたときだった。
トレントが今まで以上に暴れ出したのだ。その影響で振り回していた枝や蔓などが辺りに勢いを持って飛び始める。
「うわっ!?やば!?」
距離を取ろうと思い後ろを向いたときだった。ゴッという音と共に左手全体を大きな衝撃が襲った。その衝撃で向いている方向にもんどり打って倒れる。
「うがっ!?」
地面に体を強く打ちつけたので体全体、特に衝撃があった左手が痛いっ反射的に瞑った目を開けて音の方を見ると大きな枝が落ちているのが見えた。あ、あれがぶつかったのか…左手でよかった…
その左手を動かそうとすると激痛が走った。痛みがあるのに感覚が無い!折れてるんじゃ無いのか!?
…でも「魔物による攻撃」だからそろそろ………きたっ
予想通り、枝が当たったと思われる左手を中心に体全体が魔力に包まれる。すると徐々に体全体の痛みが引いていくのがわかった。
それと同時に頭がふわふわと…うぅ…またかぁ…
体のいたみがなくなって体をつつんでいた魔力がなくなり目の前がみえるよーになった。
きずがないのをたしかめるために左手を見る………みどり色!?えっ…えぇ!?でもいたみもきずもないからなおってる…
あっそうだ!トレントは…もうピクリとも動いてないしまっ黒だからたぶんもうだいじょうぶ…かな?
あんしんしたけど……えーっとこれは…いまボクはどうなって…
とりあえず立ってみる。うわっ背が今まででいちばん低い!しかも胸はないけどおなかが少しふくらんだようじたいけいだし!というか手どころか体がぜんぶみどり色!?
髪は…ぎん色でそんなのびてないけど…んん?なんかあたまの上に髪じゃないモノが…触ってみる。なんだ…これ…は、葉っぱ!?でもあたまの上で見えない!
そうだ!まほーで作った水をかがみにすれば……
手のひらに水を作ってそれにうつったあたまを見る。おさない顔立ちの上にあるのは………葉っぱと…花!?
そこにはぎん色のばらのような花が咲いていた。みどりの体に頭に咲いた花…これは…アルラウネ…なのかな?
ちっちゃくなった手で花にさわってみる。
「ひっ……!?」
とてもぞわわっとした!らんざつにいじられたらおかしくなってしまいそう…
と、とりあえずトレントはたおせたから石をさがしてかえろう!
つるやえだのさきっぽの方からだんだん消えていくトレントをながめながら少しまつとみきのぶぶんから石がおちてきたのでひろってポーチに入れる。
ポーチを見るとさっきヘルミネからもらったローブがおしこめられていた。
「うぅ…けっきょくおもわくどーりになっちゃった…」
しかたないからとりだしてあたまからすっぽりとかぶる。というか…なんだこのしたったらずなろりぼいすは…
これはもう女の子どころかよーじょじゃん…
これからおこるだろうやっかい事に頭をかかえつつローブのすそを引きずりながら王都にむけて歩きだした。




