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昇級依頼

食事しているところを大勢に見られた事を除けば素晴らしく満足し眠りにつき翌日になった。


いつものように目を覚まし朝食を食べ、食堂で合流したヘルミネと一緒に昨日買い取って貰った2体のお金を受け取りにギルドに向かう。

解体の窓口の昨日と同じ係の人に用件を伝える。


「昨日のウルフとガウルフの買い取り金額ってもう出てます?」


「えーっとフウガさんとヘルミネさんですね。はい、できてますよ。ではこちらウルフは10000イム、ガウルフの方は110000イムで合計120000イムです。2等分にします?」


「はい、お願いします」


60000イムを受け取った。昨日だけで手取り100000を超えた……!これが冒険者ドリームってやつか!なんて思っていると隣の窓口からエルさんが声をかけてきた。


「フウガさん。昨日リラがお話しした冒険者階級についてお話が」


「おぉぉ、昇格ですか!」


興奮して少し大きな声を出してしまった。


「はい。2段階上の赤級に昇級、なんですが…1つ条件が追加されまして」


「条件…ですか?」


「えぇ。ガウルフを討伐したことで赤級冒険者程の実力は有ると判断されました。ただ、1回だけですので実績が少し足りないと言われてしまいまして…そこでとある依頼の達成で赤級冒険者の認定が降りることになりました」


実績…か。たしかに、上位種だとしてもヘルミネがいた状態での討伐だしたった1回だから実力の証明が不十分なのか。


「そうですか…それでとある依頼というのは?」


「それは…トレントの討伐です」


トレント…?木の魔物か何かだろうか。


「トレント…ですか?」


「はい。トレントは木の魔物で、元は普通の樹木だったものが過剰な魔力を浴びて魔物化した魔物です」


木の魔物で合ってるみたいだ。


「木の魔物ですか…でも元が木ならそんな危険性が無さそうなんですけど、なんで討伐するんです?」


「近づいたら攻撃してくるのも討伐理由の1つで、知らずに近づいた商隊や一般の人が被害を受けるのもそうなんですけど。もう一つ理由がありまして。それはトレントを放っておくと無限に増殖するからなんです…」


「無限に…?」


「はい。トレントになった樹木は種を飛ばしたり落としたりして増えるんじゃ無くて根から新しいトレントを生やすんです。だから放っておくとどんどん増えて行ってしまって周りの木すら栄養にして生態系を大きく壊してしまうんです。過去には1つの森が気付いたら全てトレントになっていた。なんてこともあったみたいです」


なるほど…だから討伐するのか…増殖原理はタケノコのようなものか。


「結構重要な依頼だと思うんですが…それを僕にやらせて大丈夫なんですか?」


「大丈夫です。フウガさんは火の魔法が一番使えましたよね。ですので燃やせると判断しての依頼になります」


「なるほど。でも万が一燃やせなかった場合は?」


「その時はこの魔道具を使ってください」


エルさんは受付の台の下から赤く光る玉を渡してきた。


「これは…?」


「これは焼却の魔道具です。これを使えばすぐトレントくらいなら燃やし尽くせるでしょう。ただ1回しか使えない上に結構値段が高いんのが難点です」


「最悪これを投げて討伐をすればいいって事ですね」


「そういうことです。ただ、それを使った場合自力で討伐はできなかったと見なされて、お金はある程度貰えますが昇級依頼自体は失敗となります」


「わかりました。失敗した場合は級はどうなるんですか?」


「その場合は1段階だけ昇級の黄級への昇級となります。…言い忘れてましたがこの昇級依頼を断っても黄級には昇級できます」


「どっちにしろ黄級以上にはなれるって事ですね」


「そういうことです。では改めて昇級依頼は受けますか?」


「はい!もちろん受けます!」


「わかりました。まずトレントが出現した場所は王都東南の森です。目撃情報があったのは少し奥ですがおそらくそう苦労はしないはずです」


スライムを討伐をしに行った森か、迷わず行けそうだ。


「王都東南の森ですか。わかりました。行ってきます!何か注意点とかは…」


「そうですね…トレントは見付けるのが難しいです。なので十分気を付けてください。では無事をお祈りしています」


「ありがとうございます。がんばります!」


「頑張れフウガ、応援しているぞ!」


エルさんとヘルミネに見送られながらギルドを出て王都東南の森に歩き出した。




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