ガウルフ
昨日忙しくて更新できませんでした…すみません!
その後も順調にウルフ討伐を続けた。
そういえば熊娘の[怪力]を実戦で使ったことは無かったな。試してみよう。
変身、熊娘!と念じ変身する。完全な思いつきだったためヘルミネが一瞬ギョッとしたがすぐニヤけた顔になった。
「最近は随分と変身するのに抵抗がなくなったんじゃないか?」
認めたくは無いが…たしかに…最近忌避感が薄くなっているのだ。しかも変身を解除できる時間になっても思い出すこと無く変身したままでいてしまう。
変身の能力の効果が上がってすぐの頃は解除していたのだが…何度も変身しているうちに気付いたら時間が来ても気にならなくなっていた…。
いつか女の子のままがいいと思う日が来るのだろうか。
「そうかもしれないな…」
「なんだ、そんなに嫌か」
そんなにわかるほど嫌そうな顔をしていただろうか…?でも…。
「嫌…なのかな…最近一概に嫌だとは思えなくなってきたんだよな…」
「そうか…まぁ私は女の子でいてくれた方が嬉しいぞ」
「…お前は変わらないな」」
「変わらないし変わりたいとも思わないさ。トランも自分の思うとおりに行動すればいい」
「そんな事言っておいて名前はソレなんだな」
「ふっ…当たり前だろう」
と小声で話しながら索敵していく。またウルフが見えた。今度は3体だ。
だが1体だけ先程までとは違う固体がいる。通常のウルフより毛皮の艶や牙が鋭いのが見えた。
「あれは…ガウルフだな。ウルフの上位互換だ。こんな王都に近い場所に出現するのは珍しいな」
「上位種か…じゃあ先のガウルフを魔法で倒そう」
「あぁ、頼む」
先程と同じく圧縮したファイアーボールをガウルフに放つ。
放ったファイアーボールはガウルフに着弾した。だが煙の中からは毛は多少焦げてはいるもののほぼ無傷な姿で姿を現した。
ヘルミネがぼやいた。
「ほぼ無傷か…さすが上位種だ。これは倒すのには苦労しそうだ」
突然の不意打ちに怒ったのかボクの方に向かってきた。素早く剣を抜き臨戦態勢を取る。
「…早い!?」
ウルフより一回り大きいのに二回りほど素早い!あっという間に目の前まで迫ってきた。
右前脚の爪を剥き出しにして突っ込んできた。もう回避は間に合わない!なら剣で受け流すしか無い。
ガウルフの爪に合わせるように構える。剣と爪が衝突した。
「ッ…!」
重い!ウルフとは比べられないほど力が強い!…だがヘルミネの大剣より軽いし熊娘の[怪力]があるからいける!
攻撃を受け、勢いを自分の斜め後ろ方向にずらしその勢いのままガウルフの方を向く。
しかし完全には受け流しきれなかったようで剣を持っていた方の手にそれほど深くは無いが切れ傷が刻まれていた。
多少傷は負ったが一瞬だけ周りを見ると後ろと前からもう2体のウルフが挟撃してくるのが見えた。だが
同時にヘルミネも動き出した。
「私もいるぞ!」
後ろの1体は処理してくれることを信じ、前を通り過ぎようとしているガウルフの尻尾を剣を持っていない手で掴み勢いを付けて一回転しながら前にいるウルフに叩きつける。
「ギャウァ!?」
2体はお互いの頭部を激しく打ち付け飛んでいった先の木に激突した。
ウルフはそのまま動かなかったがガウルフは立ち上がりまた襲ってきたが頭を打ったのが原因だろう。その動きは先程のとは精彩に欠けていたので今度は余裕を持って避けることができた。
ガウルフを避けその脇腹に渾身の力で蹴りつけヘルミネがいる方向に飛ばす。
それをヘルミネが大剣で斬り付ける。さすがのガウルフも大剣の一撃には耐えれなかったようで首をバッサリと両断されて動かなくなった。
「ふぅ…なんとか倒せたね」
「あぁ、そうだな……今日はこれぐらいにして帰るとするか」
「そうだね。そろそろ集中力が切れそうだ」
「この状態で戦闘をしたら隙ができていらぬ怪我を受けてしまいそうだ」
その後ガウルフとウルフ1体の頭と胴体を切り離してなるべく腐らないように血抜きをした後、2人で1体ずつ担いで王都への帰路に着いた。




