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変身効果アップ!

ギルドに帰ってきた。

やはり周りの視線が気になる。小声で「あんな子いたっけ?」、「どっかで見たような…」と言った声が聞こえる。


「エルさん。依頼無事達成してきましたよ」


受付のエルさんに話しかけると一瞬目を丸くさせたが、すぐに分かったようだ。


「お疲れ様です。フ…いえ、トランさんとヘルミネさん」


「言い換えなくていいんですよ…?」


「ふふっこっちの方が可愛いのでこっちがいいです」


と笑顔で言われてしまった。そんな笑顔で言われたら拒否はできそうに無い…


「では、依頼の達成を確認しましたので報酬をお渡しします」


大銅貨6枚、6000イムを貰った。やはりあれだけ働いてこれだけとなると魔物討伐の方が人気な理由がよく分かるな。

もう夕方だが、熊娘の能力の確認はしておこう。


「ヘルミネはこれからどうするんだ?」


「特にもうやることは無いから宿に戻るかな。フウガはその姿の確認はしなくていいのか」


「もちろんするつもりだ。だから手伝ってくれるか?」


「あぁもちろんだ。その代わり…触らせてくれるよな?」


やっぱりそうなるよな……しょうがない。


「……わかった」


受付を離れ地下訓練場に向かう。今日も地下訓練場には誰もいない


「今度はどんな能力なんだ?」


「この姿でできることは、[怪力]みたいだ。その名の通り重い物を持てたりできる。少し試してみよう」


何か重い物は…あった。ヘルミネが持ち歩いてる大剣があるじゃないか。


「ちょっとその大剣を持ってみていいか?」


「あぁ。だが相当重いぞ?」


「多分大丈夫だと思う」


ヘルミネから大剣を受け取る。するとどうだろう、元の姿では持ち上げる事もできなかったが熊娘だと軽々持てる。

もはや軽いぐらいだ。これなら荷物の乗った荷車を軽々と運べるぐらいはありそうだ。

ヘルミネが離れているのを確認して振り回してみる。すると難なく振り回せた。


「すごいな…大剣の[特技]を持つ私もある程度重量を感じるくらいなのに」


自分でも驚いた。さすが元の赤熊が荷車を引けるだけの力があるだけある。

これならヘルミネの大剣と今持ってる剣で剣を打ち合っても力だけでも互角以上に渡り合えるだろうが…剣の方が保たなそうなので止めておこう。


「ただ、この姿は[怪力]だけみたいだ。これだけだが…付き合ってくれてありがとうな」


「…じゃあ…触らせてくるな?」


「………わかったよ。でもここじゃなくて部屋にしてくれ…」


言うやいなや手を握られ部屋に連れて行かれた。



部屋に戻るとまず椅子に座ってヘルミネの膝に乗せられた。そしてそのまま耳を触られる。


「ひやっ!?」


耳を触られることで無意識に出てしまった声に赤くなる。それを見たヘルミネは昼間見せたようにニヤリと笑う。


「ふっ…そんな声出して可愛いなぁトランは…」


揉むような耳の感触を我慢しながら上を向いて精一杯ヘルミネをにらみつける。だがいる場所がいる場所なだけに上目遣いになってしまう。


「あぁ~可愛いぃ!」


(かえ)って逆効果だったようで強く抱きしめられてしまった。スライムとは違い思考がはっきりしているためヘルミネの柔らかい匂いを意識してしまい更に赤くなる。

背中に当たる2つの柔らかい感触でヘルミネの胸の大きさが分かる。ボクだってスライムの時だったら負けてないんだから…!と考え、いや、またボクは何を考えてるんだ!?とはっとなる。

まずい…最近変身している時間が長くなっているせいかたまにこういう女の子っぽい思考になることがある…気を付けないと染まってしまいそうだ…


そういえば変身できる姿が3つになったしなんか[変身]の効果が上がってたりしないのだろうか?そう思い、意識する。

するとなんと変身の効果が上がっていることが分かった!内容は…1回の変身でで変身できる時間が増えた。これはまぁ予想はできていた。

次は…おぉ!変身後一定時間経てば変身を自分で解除できるようになる!やった!感覚からして…解除できるようになる時間は10分くらいだろうか?

じゃあ今すぐ変身解除できるんじゃ…?解除してみようと試みるもできなかった…何故だ…


ヘルミネに可愛がられている間にいろいろ判明したが変身を解除できなかったのでその後も変身時間が切れるまで存分に可愛がられた。



あれから1時間半くらい経ち変身が解除された。元の姿に戻った僕を見たヘルミネは首を傾げた。


「お前、なんか顔が柔和になってないか?」


「いやそんなわけ…」


そんなはずないと思いつつ鏡を覗き込んでみる。……たしかになんとなく顔の輪郭がふっくらとして柔和になった印象を受ける。

だがそんなことあり得るのか?少し前まで変身していたから変身後の印象に引っ張られているのだと思うのだが…


「たしかにそんな気もするけど…変身したときの印象が残ってるんじゃないのか?」


「いや…でも確かに…」


「元の姿にも影響出てたまるか!気のせいだ気のせい!……あっ」


ヘルミネは聞き逃さなかったらしくまたニヤリと笑った。


「も……?じゃあ精神的には何か変わってきてるのか?」


やはり聞き逃していなかった…


「そ、そんなわけないだろ!」


「図星か?体は魂の入れ物と聞いたことがあるが…どうなんだろうな。まぁ、私としては常時可愛くなってくれた方が嬉しいが…」


そんなこと、あるわけ…でも魔法があるし自分自身が[変身]なんてしているわけだしあり得なくもない…のか…?


「ふふっ冗談だ。じゃあ私はそろそろ帰ることにするよ。じゃあな」


「あぁ、じゃあな…」


ヘルミネは僕の少しくぐもった挨拶を聞くと部屋から出て帰って行った。



そして、日々依頼を受け、ヘルミネから剣を鍛えられ、エルさんからも他の魔法を教えて貰いつつ1ヶ月が過ぎた。

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