騎獣舎
昨日は散々走ったため早めに寝たがよく眠れたためすっきりした寝覚めだ。
今日は何の依頼を受けようかな?経験のためにもまだやったことの無い依頼がいいかな。
そんなことを考えながら今日も受付に向かう。昨日の受付はリラさんだったから今日はエルさんかな?そういえば魔法は火以外にも種類があるようだからエルさんに近々教えていただきたいものだ。もちろんエルさんの都合のいい日になのでいつになるかは分からないけど。
受付に着くと予想通りエルさんが受付担当だった。
「おはようございます。エルさん」
「あぁ、フウガさん。おはようございます。今日も依頼をお受けになりますか?」
「はい!できれば昨日や一昨日とは違ったのがいいんですけど…」
「なら、そうですね…。騎獣の世話なんてどうでしょう?」
「騎獣の世話…ですか?餌やりとかなら本職の人がいるんじゃ?」
「もちろん、専門的なことはテイムなどの[特技]を持った人がするんですけど。この依頼は特に獣舎の掃除ですね。数100頭もいる騎獣の獣舎を掃除するのはさすがに手が回らないので時々冒険者ギルドの方に派遣の依頼が来るんですよ」
「なるほど…ではまじまじと騎獣を見たことはまだ無いし知るいい機会だしそれにしようと思います」
「わかりました。では場所ですが…」
とエルさんが獣舎の場所を話そうとしたとき、後ろから見知った声がした。
「おっフウガじゃないか!今日も依頼か?」
いつの間にか来ていたのかヘルミネが後ろに立っていた。
「おっと取り込み中だったかすまない」
「僕は別に」
エルさんを見たが特に気にした風は無いので続きをお願いする。
「改めて騎獣舎場所ですが、南の大門から城壁沿いに西に向かうと城壁に沿うように騎獣舎があります」
「へぇーそこにあるんですね」
「なんだ、騎獣舎って事は受ける依頼は掃除か。それなら私も一緒に受けよう。力仕事は得意だからな」
「ヘルミネさんも受けるんですね。では依頼書に追加で書き足しておきます」
「あぁ、頼む。そうだ、フウガは2人以上で依頼を受けるのは初めてだったな。でもまぁこの依頼は一人につき6000イムだから分配に関しては気にしなくていいな。
魔物の討伐依頼だと報酬の内訳に揉めることがあるんだ。だから2人以上討伐依頼を受けるときは前もって取り分を決めておくと後腐れが無いぞ」
そうかパーティーを組むとそういった揉め事もあるのか。ただ魔物の討伐依頼にしてもヘルミネと組むことが多くなる気がするからまだあんまり気にしなくていか。
「わかった。憶えておくよ。じゃあ早速行こうか」
「あぁ」
ギルドを出るときエルさんがこちらを見ていたのでなんとなしに手を振ってみたらなんと少し笑いながら振り返してくれた。これには少し驚いた。
エルさんはもっと硬い人だと思ってしまっていたが思ったより茶目っ気があるみたいだ。
そんなことを考えつつヘルミネと一緒に騎獣舎に向けて歩き出した。
南の大門を尻目に城壁沿いに西に向かうと獣舎らしき建物が見えてきた。
「あれが騎獣舎だ。思ったより綺麗だろう?」
合っていたようだ。確かに思っていたよりずっと綺麗だ。木造で城壁沿いにずらーーっと立ち並んでいる。
獣舎の中には所々小さめの平屋があるのでそこが詰め所になっているのだろう。
ヘルミネによるとそのうちの1つ、他の建物より大きめの建物が本部だそうなのでそこへ向かう。
本部に入ると数人の人が作業をしていた。こちらに気付いたのかそのうちの一人が近寄ってきた。
「この時期に来るって事は冒険者ギルドから派遣されてきた人たちかい?」
「えぇ、そうです」
「やっぱりそうか。助かるよ。じゃあこれから騎獣舎の掃除をして貰うんだけど、俺はここの担当なんだよね…だから掃除の担当の人を呼んでくるからちょっと待ってて」
「わかった」
しばらくすると先程の男と一緒に15~6歳くらいに見える男の子を連れてきた。
「こちら、今日掃除を担当しているルイ君。仕事の内容は彼に聞いてね。じゃ、俺はこれで」
男は作業に戻っていった。
「えーっと、担当のルイです!今日はよろしくお願いしますね!」
「うん。よろしくね」
「あぁ、よろしく」
「と言ってもやることは知っての通り騎獣舎の掃除ってだけですから軽く内容を説明しますね。この城壁沿いにずらーーっと連なる騎獣舎の騎獣の寝床を端からできるだけ綺麗にしていくだけです。では早速始めましょう!
担当のルイが少しやっているため本当に端からではないもののそれでも終わりが見えないくらいある。
この掃除の作業を苦とも思っていなさそうなルイに続いて本部から騎獣舎に近づいていった。




