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令嬢勇者  ~断罪された侯爵令嬢に転移してしまった俺は、生き返った本人と身体を共有することになったので、わたくしたち最強を目指します~  作者: くまひこ
第1章 わたくし令嬢ですが最強勇者を目指します

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第20話 闇魔法クラスの授業開始

 次の朝、魔法アカデミーにほど近い学生寮に部屋を借りた俺たちは、制服に着替えて通学の準備を整えていた。アンリエットに着替えさせてもらった俺は、鏡に映った自分の姿を確認する。


 アカデミーの制服は魔導師っぽいデザインになっていて、黒系統のブレザーに茶系のチェックのミニスカート、足には黒のブーツとニーソックスをはいている。そして頭には黒い大きなとんがり帽子、背中には紫色のマントをつけて、手には闇属性の汎用タイプの魔法の杖を持っている。


 アンリエットも同じ制服だが、マントの色は赤で火属性用の魔法の杖を持っているところが違う。そして髪型がいつものポニーテールではなく、黒いとんがり帽子から長い緑の髪がさらりと流れていた。


 アンリエットは何を着ても似合う美少女だな。俺が感心して見ていると、ローレシアが俺に話しかけてきた。


(この制服可愛いわね。わたくし気に入りました)


(俺はいつもの修道服の方がいいかな。この制服はどうもスカートが短すぎる。朝から心が折れそうだよ)


(ナツ、とても可愛いですよ)


(・・・くっ)


(ふふっ、そんなことより早く学校に行きましょう。わたくしずっと家庭教師に教わっていたので、実は学校に通うのが初めてなのです)


(そうだったのか。俺はこの世界に来るまではずっと学生だったので、学園生活はたぶん俺の方が慣れてるかもしれないな)


(じゃあ安心して学校に通えますね。頼りにしてますよ、ナツ)




 そして通学の準備も整い部屋を出ようとしたところでアンリエットが立ち止まり、俺の方を振り向いた。


「ナツ、昨日は取り乱してしまってごめんなさいね。叔母様の部屋で2つの魂が同居していると聞いた時、ついお嬢様のことが心配になって・・・ナツに強く当たったり、柄にもなく泣いてしまいました」


 実は昨日、この学生寮への入居が決まってからは、荷物の整理などでバタバタと忙しく、夜寝る前になってようやく俺の名前とこの2ヶ月間俺とローレシアがどうやって過ごしてきたかを、アンリエットに話すことができたのだった。


「昨夜も申し上げたとおり、アンリエットが心配するのは当然のことと存じます。わたくしは気にしておりませんので、早く学校に参りましょう」


「ありがとう、ナツ。そう言って貰えると私も少しは気が楽になりました」


「いいえ、礼には及びません。それに「チェンジ」の魔法が使えるようになれば、いつでもローレシアと交代できるのです。アンリエットはいつもどおりわたくしに接してくださいませ」


「はい、ではそうさせていただきます。それにしてもお嬢様は何を着てもお綺麗ですね。いつものシスター姿も素敵ですが、黒魔導師スタイルも本当に素敵です」


「そ、そうでしょうか? ・・・ありがとうございます」


 いつもどおりのアンリエットに戻ったとたん、この制服姿をほめられてしまった。たが俺は当然うれしくない。


 まずこのスカートがひらひらしていて足元がスースーする。もし風が吹いたら、このスカートはどうなるんだよ。


 その点修道服は風が吹いても安心だし、なんとなく安定感があったな。できれば学校にも制服ではなく、いつもの修道服で通いたかった。


 だがそんな俺の気持ちも知らずに、アンリエットは楽しそうに俺の手を引いて学校への道を急いだ。


「アンリエット、急ぐと転びます。ゆっくり歩いてくださいませ!」






「今日からみんなの仲間になる編入生を紹介する」


 先生に案内された俺は、教壇の横に立ってみんなに簡単な自己紹介をした。


「皆様初めまして。わたくしはローラと申します。なるべく早くこの学校に馴染んでいきたいと思いますので、仲良くしていただければ嬉しく存じます」


 さして特徴のない自己紹介をして、俺はさっさと教室の一番後ろの空いている席に座った。あいさつではああ言ったものの、俺は魔法の習得に集中したいので、クラスではあまり目立たずにボッチキャラで通すつもりなのだ。


 だがクラスはすでに大騒ぎになっていた。


「おいおい、なんかメチャクチャ可愛い子が編入してきたじゃないか。ここ本当に闇魔法クラスか?」


「ちょっとこれは信じられないレベルだよな。闇魔法クラスって陰キャ女ばかりだったから、ローラちゃんがまるで女神に見えるよ。ほら身体全体から七色のオーラが輝いてるし」


「ふん何よ! こっちこそ陰キャ男の集団にうんざりしてるんだから。それにあんたたちなんか、ローラ様に相手にもされないわよ」


「なんだよローラ様って、なんでいきなり様付けなんだよ」


「だって見るからに普通の女の子じゃないでしょ。あの容姿にあの言葉遣い、きっとどこかの国の姫様がお忍びで入学してきたのよ。絶対に間違いないわ」


「・・・あの短い自己紹介に感じられた育ちの良さ、確かにただものではなさそうだな」


 授業が始まってからも、みんながチラチラと俺の様子を見てくる。これじゃあ、落ち着いて魔法の授業が受けられないよ。


 しかしみんなの観察眼もバカにできないな。確かにこの身体の持ち主のローレシアは王族の元婚約者、紛れもない他国の姫だ。それに七色のオーラってあの水晶玉に映ってた光だろ。


 え、まさか本当に俺の身体から七色のオーラが出ちゃってるのか?


 思わず俺は自分の周りをキョロキョロと見回してみたが・・・特に何も光ってはいなかった。





 さて、授業の始めに先生から教科書をもらったが、それをパラパラとめくっていると、どうやらこの闇魔法クラスで習得する魔法は次のようなものだった。


・ブラインド・・・周囲の光を消失させて、一時的に敵の視力を奪う


・ドレイン・・・敵の魔力を吸収し自分のものにする


・ワームホール・・・2地点の場所をつなげて空間移動する


・ブラックホール・・・超重力を発生させる


 光属性魔法と違って、強そうな魔法ばかりだ。他の属性にどんなのがあるのか知らないが、闇魔法を選んで正解だったかも知れないぞ。


 俺は初夏からの転入生なのでみんなよりも2か月ほど遅れている。だが魔法の演習時間や休み時間にクラスメイト達が集まってきて、俺にいろいろと教えてくれた。


 男子生徒の目がニヤついて鼻の下が伸びていることを我慢すれば、みんな親切で正直助かったと思う。





 食事にも誘われて、みんなと共に昼食を終えると、午後は魔法以外の選択授業があるようで、全員がそこで解散した。


 俺はクラスメイトたちと別れて今度はアンリエットと合流し、マリエットの研究室へと向かった。

次回は、マリエット叔母様から無属性魔法チェンジを習得します。それによって生じる変化とは


是非ご期待ください

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