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事故に遭う

 わりと事故って、身近にあるものです。

 初めて事故を起こしてしまったとき、野田は小学生でした。


 自転車で走行中。

 道の両脇に園児たちが列をなしていたのです。

 統率している先生が足を止めていてくれました。


 何となく嫌な予感はしたのですが。

「早く通り抜けたい」と、野田は思ってしまったのです。


 ぐっ、と自転車のペダルを踏み込んだ瞬間。

 男の子が飛び出してきました。


 ナチュラルに轢いてしまいましてね。

 自転車の前輪が男の子の足の上にあったことを、今でもよく覚えています。


 しかしながら。

 誰からも責められることはなく、連絡先を聞かれることさえありませんでした。


 ひたすら、男の子が先生に叱られていて恐縮でした。

 飛び出してきた理由は、明らかに冒険心でしたけどね。


 ギリギリで自転車を避けて道を横切ってみせたい! という意欲が伝わってきてました。

 しばしば、人間は目測を誤るものなのです。


 幼い頃の野田にも、経験があります。

 横断歩道がない道路の向こう側に行きたくて、車の来ない隙を狙って走ったとき。


 だいぶ、車とは距離があるように思ったのですが。

 間に合いませんでした。


 右足が軽く車のバンパーに当たってしまいましてね。

 ひたすら、運転手さんは慌てておりました。


 自分が悪いのに……、と野田は申し訳なく思って、「大丈夫です」と言い続けた記憶があります。

 結果、大丈夫だったのですが。


「何かあったときのために必ず連絡先は聞いておくこと」を、両親に約束させられました。


 世知辛い世の中であります。

 全く落ち度がなくても、事故には責任が伴うのです。


 そして。

 子どもだけでなく、大人もよく目測を誤ります。


 家の近くに開かずの踏切があるのですが。

 遮断機が下りているのに、侵入していく若いお兄さんを見かけたことがあります。


「あっ、やばいな」と思ったのですが。

 ちょっと怖そうな金髪のお兄さんだったので、見て見ぬふりをしてしまいました。


 そしたら、電車に轢かれてしまったのです。

 道路に転がった靴と、地面に残った血痕は今でも忘れられません。


 電車は怖いですよ。

 こんなに待っている時間があるなら通れたんじゃね? と思う気持ちもわかるのですが。


 本当に、電車だけはダメです。

「来た」って思った瞬間には、もう轢かれています。

 スピード感が全く違うのです。


 アクション映画の主人公みたく、ギリギリで通り抜けられるなんてことはありませんから。

 人間が目測を誤ってしまうときは、本当に恐ろしいなと感じます。

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