涙もろさ
涙もろくなりました。
夜な夜な枕を濡らす日々。
昨夜も『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を見て、泣きました。
幼い子どもやペットが出てくる物語に、異常に弱いのです。
「簡単に感動してはいけないよ。自己批評能力が育たず、良い小説が書けるようにならないから」と。
恩師は言っておりましたが。
幼い子どもとペットだけは、本当に無理です。
何を見てもダメなのですよ……。
その分野における自己批評能力もザル。
登場させることさえ、諦めるレベルです。
幼い子どもやペットが泣いているだけで、もらい泣きしてしまうのです。
純粋で素直で豊かな感情表現が原因なのかもしれません。
全力の悲しみが、全力で伝わってきてしまいます。
そして、忖度しない部分が痛みを伴って刺さります。
「無条件で愛されているのは、子供ではなく親の方」という名言もありますが。
「母親の代わりはいない」という事実も衝撃的です。
幼い子どもやペットは、愛情が深すぎますよ。
世界を知らなさすぎるがゆえかもしれませんが。
それにしたって、健気です。
愛する主人が帰宅するのを待つためだけに、10年間も渋谷駅に通い続ける犬がいるほどです。
どのような想いで待ち続けるのでしょうか。
月日が経てば、想いも薄れても良さそうなものですが。
生きている時間の総量が少ないからこその鮮明さであるのかもしれません。
色褪せない景色を見せられてしまいますとね……。
人というものの儚さとのギャップに、切なさを感じてしまうのですよ。
翌朝、目が腫れます。
最近は、ペットショップのケージのなかの犬や猫を見るだけで気分が落ち込みます。
幸せな未来もあるのだとは思いますが。
可哀想な気がしてしまうのです。
さすがに、情緒不安定すぎます。
歳のせいかしら、と思っていたのですが。
マタニティブルーなのかもしれません。
思い返してみれば。
産後1週間は泣いてばかりでした。
あのときの情緒不安定さ。
自分でも恐ろしくなるほどです。
「こんな自分のもとに、生まれてきてくれてありがとう」と心のなかで何度も言いながら。
毎日、泣いていました。
自信家なのに自信がなかったのです。
二面性が激しかったです。
1年間、娘を育ててみたら。
やっぱり、野田は平凡だったのですけどね。
すごい優秀な母親でもなければ、すごい毒親でもありませんでした。
どこにでもいる30代の母親なのです。
それでも、娘は幸せそうに笑ってくれることがあります。
とても不思議で幸せなことです。




