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手を繋いで一緒に行こう  作者: 那由他
イーリン 心の再構築

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35/35

メタ糞 不味いっ!!

戦争のような 昼食の後片付けを終えてイーリンとマリー はぐったりと椅子に腰掛けていた。


「若い娘がだらしのない!」と怒る人はもちろんここにはいない。


ふと気づくとコリンとナタリーが お茶とお茶菓子を持ってきたところだった。


爽やかな香りが漂ってくる。

「元気になる香りね」


「ふふっ、そうでしょ。

虫が嫌いなのに菜っぱ洗いは大変だったね」

慰めるようにナタリーが言う。


「きゃあー!もう言わないで」

イーリンが情けない声を上げる。


「皿にチーズがこびりつくとなかなか落ちないんだよね。 疲れたでしょ」

わかるわかるとうなずきながらコリンが言う。


「綺麗に洗ったつもりなのにまだまだ汚れがこびりついてるから がっかりしたわ」

マリーも情けない声を上げる。


「疲れた時は甘いものよ。 お茶を入れてきたから少しつまみましょ。厨房長から お茶とクッキーをいただいたの」

ナタリーが素早く 4人分のお茶を入れた。


「美味しいわ」

「体が甘さを求めてるのね」

「ナタリーはこんなに美味しい お茶を煎れられるのね」

「おじいちゃんの為に煎れて、よく2人で飲んでいたのよ」


周囲が静まって皆痛ましそうにナタリーを見つめた。


「大丈夫よ 私は大丈夫。 今度みんなにおじいちゃんの話を聞いてもらったら嬉しいわ」

「ええ。もちろんよ」

「お話聞きたいわ」

「じゃあ今度にして今はお菓子を食べちゃおう!」


きつね色に焼けたクッキーは、ほんわりと甘く素朴な味がした。


皆が疲れた顔を見合わせて ふふっと笑う。


「なんだかちょっと元気になったわね」

「お茶とお菓子のせいかしら?」

「みんなの笑顔を見てるからよ」

「じゃあ、もっと飲んでもっと喋れば元気いっぱいだね!」

「「「…うふふ」」」

小さく始まった微笑みはやがて 満面の笑みになるのであった。




1時間ほど休憩を取ってから3人は礼拝堂で祈った。


日々の糧、友とあることの楽しさ、この生活の幸せに感謝を捧げるために。




「夕食も頑張らなくちゃね」

イーリンが元気な声をあげるとナタリーが クスクス笑った。マリーは小さく頷いている。


「初めてのことばかりだけれど 知るって事は楽しいわ。夕食作りも 頑張らなくちゃ!」



「今日の夕食のメニューはポトフ です!」


「ポトフとは ソーセージとじゃがいも 玉ねぎ 人参の具だくさんスープです。ツーボールがとっても美味しく作るからみんなで手伝おうね!」

「「「はいっ!!」」」

コリンの言葉に3人は元気よく返事をした。


4人の割り当ては じゃがいもと人参の皮むきである。


「皮を剥くっていうのは昔は大変だったけど今はスライサーってものが発明されたので とっても簡単になったの!!これがスライサー。 下の方を手で握ります。 人参を片手に持ってスライサーの刃を上に当てて 下までスーと剥きます!そしてスー、スー……はい、剥けました!!」

「「「おおぉっ〜」」」

盛大な拍手が入る。


「このように簡単なので皆さんもやってみましょう! ただし、この上の方が歯になっているので そこに触らないようにしてくださいね。 だいたい 剥けたら 私のザルの中に入れてください。私が チェックして 仕分けします」


シュッシュッ スースー


みんな 手を切らないように熱中しているので しばらく 皮を剥く 音だけが響いた。


バケツ 一つ分ずつあったじゃがいも も 人参 も、少しずつ 量を減らし 1時間ほど頑張れば皆空になった。


「はい 終了! じゃがいもだけ軽く洗ったら、この後はそれぞれ 切る 係の人に渡します。もう、まな板と包丁を用意してますね」


「4人いるから渡す係と受け取る係ね。受け取ったらボールに入れてね」


「ポトフって玉ねぎが入ってるんじゃなかった?」

「お昼にだいぶ 剥いたからそっちを使ってもう 切って終わったのよ」


鮮やかな 包丁捌きでじゃがいも も 人参 もすぐ終わって炒め物をしている人のところに全て持っていく。


「ここからはお手伝いできないから私たちはゴミを捨てしましょう」


調理後の後片付けをしているとシャアーと油で野菜を炒める音ががする。美味しそうな香りがしてきた。


「炒めた後 煮込むのだけれど その間に食堂の準備をしましょ!」


どうしても料理しているところが気になって イーリンは チラチラ見ながら 準備をしていた。大きなお鍋から上の方だけ おたまですくっているのが見えた。



「さて 皆さん達。 お腹が空いたでしょ? もう出来上がってるから4人とも先に食べておきなさい」

「「「「はいっ!」」」」

全員が元気よく 炎上した(笑)


イーリンはお腹が空いていた。

(さっき見ていたようにやればいいのかな)

一生懸命 おたまで上澄みをすくってスープ皿によそった。

自分はちゃんとできたという 満足感でいっぱいだった。


だが4人掛けの先に着くとみんなと違う。

コリンの皿には ベーコンとソーセージ お野菜もゴロゴロしている。

ナタリー はそれまで 具だくさんではないけれどちゃんと具が入ってる。

マリーは人参と玉ねぎが多いような。

イーリンの皿にはドロドロした脂がいっぱい 乗っている。


「「「「いただきます!」」」」


みんなと一緒に食べ始めたのだけれど ぬるい。 油っぽい。食べにくい。 まずい。そしてどんどん 脂が固まってゆく。 白くなっちゃったよ。わずかに入ってた小さな具も油まみれになっちゃった。ネチャネチャするよ~(泣)


(あんなにおいしそうだったのに(泣))

仕方なく小鳥のように パンをついばんでいた。


「どうしたの イーリン?食べてないようだけど?」


「(´;ω;`)ウッ…

私のポトフだけ冷たくて 油っこくて具がないの」

「もしかして 上澄みだけすくった?料理してるところを見たのか? 上澄みには たくさん アクと油が出るからすくって捨ててるんだよ。 具は 下に沈むから食べる時には下から すくい上げなくちゃ!!ちょっと頼んでもういっぱいもらってくる!」

「ありがとう コリン (泣)」

コリンはイーリンのお皿を持って 厨房へ向かった。少し中で話していてすぐに具がたくさん入った美味しそうなポトフを持って帰ってきた。


「はい 熱々だよ!!」

「ありがとうコリン(泣)」


そのポトフを イーリンは絶対忘れないと思った。

一番最初に食べた 白くて冷たくて 油っこい何かと、 熱々のソーセージや ジャガイモの美味しかったポトフを(笑)

厨房編に入ってきたのはメタ糞まずいものを3人娘に食べてもらおうという悪い計画を立てていたからです。その素晴らしい言葉はあちこちで聞かれますが やはり 方言 らしいです。


しんけんうっせー←大分弁

何を言ってるかわからないですね(笑)


メタ糞不味いシリーズ

①上澄みだけすくったスープをかけたラーメン←最後は白い脂塗れ

②炒めないでじっくり煮込んだ野菜のかた焼きそば←5ミリの豚肉とエビ 合わせて3個ぐらい発見 キャベツともやしは ぐちゃぐちゃ

③カエシが入ってないので味がない 太麺 なのに全然 茹でてない硬いラーメン


口に合わないとすぐ終了にするんですが、そういうゲテモノ に限ってなぜか最後まで食べてしまう癖があります(笑)



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