026-親切な旅商人
デラー星系に到着したので、俺はジュディに連絡を取る。
あまりゲート前に長居は出来ないので、急いで返答を待つ。
『Judy:今から送信する座標にワープしてください、そこにある輸送艦と連絡を取っていただければ』
『Lily:ありがとうございます』
急いでワープをかける。
船は何もない方向へ回頭し、一挙に光速へと突入する。
「あの....どこに向かってるんですか?」
「危険な任務には....協力者が必須、でしょ?」
「は....はい」
アルベルトにそう答えたものの、信頼できるかは分からない。
拳を握り締めてワープ先に辿り着くと――――
そこには、ジュディの言った通り輸送艦が待機していた。
急いで連絡を取ると、
『Holax:よう、依頼を受けて来たぜ。積み荷をちょっと高めの値段で売るように言われてな』
『Lily:そうですか、何がありますか?』
『Holax:リストを送るぜ』
どうやら、SELL所属の商人に依頼をしたようだ。
リストを見たが、ステーションで買うより1.5倍くらい高い。
でもまぁ、買えないよりはいいか。
「食料品と、生活用品....それから.....嗜好品も買っておこうかな...アルベルト」
「...はい!」
「何か欲しいものはある? リストにあれば買っておくけれど」
「えっ? ........」
アルベルトはしばらく悩んで、
「.....お、お菓子がいいです」
「お菓子? 飴玉とかでもいい?」
「...はい」
実に子供らしい答えを出した。
俺はリストの中にあった、飴を二種チェックリストに入れておく。
代金を口座に直接振り込む形で支払い、Holaxがカーゴコンテナを射出するのを見守る。
「作業用ドローンに回収させてっと」
作業用ドローンを射出し、カーゴコンテナを回収する。
メッセンジャーを見れば、
『Holax:じゃ、詮索はなしって事で。俺は失礼する』
『Lily:はい、ありがとうございました』
既に回頭を始めていた輸送艦に向けてメッセージを送ると、数十秒後に輸送艦はワープしていった。
俺もオリオンをワープに移行させる。
カーゴコンテナは回収されると同時に、格納庫内部で作業用ドローンによって中身が取り出され、然るべき場所に輸送されていく。
俺はブリッジを出て、食糧庫に向かう。
「よし、これで数週間はなんとかなるな」
嗜好品エリアには、菓子類やジュース、アイスなどが置かれていた。
俺はそこから飴の袋を手に取り、食糧庫を後にする。
ブリッジでまた外を見ていたアルベルトの肩を叩き、飴の袋を渡した。
「あ、ありがとうございます...」
「食べすぎないようにね」
「はい」
俺はブリッジの艦長席に腰掛ける。
余裕を継ぎ足すような生活には辟易するが、それもこれも彼を送り届ければ終わることだ。
「次か.....」
次がリユール星系、そこからハイアット星系に繋がるゲートは封鎖されており、仕方ないのでロー・セキュリティ宙域に繋がるゲートを利用するほかない。
物資はあるが、護衛艦の居ない状態でゲートを通過するのは避けたい。
だが、ステーションに寄港すると、それはそれで危なさそうだ。
少なくとも、敵は――――殺人を犯し、惑星軌道上で民間船に発砲、ゲートを封鎖。
それだけの事をしても事件にもさせない権力を持っているのだから。
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