第25話 守備範囲外
アルティーナ:戦闘力42127
ふーん。
もうちょい上かとおもったけど、この程度で魔族少将になれるのか。
まー相手にするのが戦闘力120程度の人間なら余裕か。
カルア:戦闘力8
たったの8かあ。
ただの一般小娘だからな。
っていうか平均より弱い。
今後もなんの戦力にもならないだろう。
でも、聖女ってことにしちゃったから、今後も危険な目にいっぱいあうんだろうなー。
俺はカルアの顔を見て言った。
「かわいそうに」
言われたカルアは、ちょっと泣きそうな顔をして、
「ひぇえ!? ま、まだなにかあるんですか、もう嫌ですよ、こないだすっごく怖かったんだから!」
「まあまあ、ほら、人間、慣れるってこともあるから」
「慣れません! っていうか真夜中に襲われた上にその襲ってきた人の返り血を! どばぁって全身に浴びて! 慣れる人なんていません!」
「そうかなあ? 俺はすぐに慣れたが……」
「一緒にしないでください! 最近は怖くてずっとリチェと一緒に寝てるんだから! 毎日悪夢見るし……」
「あの程度でPTSDになりかけてるのか、弱いなあ、カルアは。これから聖女としてもっとすごい修羅場があるかもしれんぞ」
「カズヤ様が私を勝手に聖女にしたんじゃないですか!」
「でも聖女の衣装着たときはあんなに嬉しそうにしていたじゃないか」
「こんなことになるなんてあのときは思っていなかったんです! もういやだぁぁ」
あーあ、ベソかきはじめちゃったぞ。
戦闘力8じゃあしょうがないか。
この戦闘力ってのは身体能力だけじゃなくて精神力も合わせた数値だからなあ。
8はちょっと低すぎるな、いつか機会があったら鍛え直してやらないとな。
で。
リチェラッテ:戦闘力6821
「おいおい、リチェ、逆にお前は俺が引くほど成長が早いな……どうなってるんだ」
このくらいの戦闘力があれば、S級ダンジョンくらいならバーティ組めば攻略できちゃいそうだな。
「へ? カズヤ、あんた何見てそれ言ってんの?」
不思議そうな顔をするリチェラッテ。
「いや、いまお前らの戦闘力をチェックしてたんだよ。カルアが8で、お前は6821。ちなみにアルティーナは42127」
「おー。あたし、結構いけてる?」
「ああ。修行して三ヶ月でこれなら、かなりの素質がある。百万人に一人レベルの才能だと思うぞ。あとは、ええと……」
この部屋にはもうひとりいた。
王族の血をひくマチルダだ。
マチルダ:戦闘力282
俺はマチルダの顔を見て言った。
「まだ十歳だろ? やるじゃん。カルアとは大違いだ」
「……?」
不思議そうな顔で俺を見るマチルダ。
そのへんの騎士の戦闘力が500そこそこだと思うから、十歳の少女としては破格の強さだ。
もしかしたらこいつも鍛え方次第ではおもしろくなるかもしれんなー。
「ねーねー、カズヤー! カズヤばっかり人の戦闘力見てずるいー! カズヤ自身の戦闘力ってどのくらいなの?」
リチェラッテが聞いてくる。
「うーん、そうだなー。実はこの忍術、自分の数値は見えないんだよな。でもさ、最低でも戦闘力53万……」
「ひぇっ!?」
「のモンスターをソロで倒したことがある」
「……カズヤ、まじで桁が違う強さなんだね……」
尊敬のまなざしで俺を見る新米くノ一リチェラッテ。
うんうん。
もっと俺のことを褒めてくれてもいいぞ。
そしていつの日か、イチャイチャ授乳プレイを……。
いやしかし、リチェラッテはそんなに大きくないもんな。
授乳ならば……。
俺はカルアの胸のあたりをチラッと見た。
その視線にすぐに気づいたカルアは、
「今、なんか悪いこと考えてました?」
「いや、いいこと考えてた」「
「やっぱり悪いこと考えてたんですね……軽蔑です」
くそ、こいつ戦闘力低いくせに読心術使えるのか!?
「いやー男のそういう視線って女の子はすぐに気づくからねー」
のんびりとした声でリチェラッテがそう言った。
「私のことは見もしないのじゃな……」
アルティーナはそう言うけど、いやだってお前は体型がロリだもん……。
守備範囲外だよ。
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