第24話 戦闘力開示の術
さっさと結論から言うと、南の町の司祭は完全に陥落した。
無条件降伏して俺たちに従属することとなったのだ。
人質は教会の幹部一人に対してすくなくとも一人の家族を魔族の居城に住まわせている。
心配しなさんな、ちゃんと衣食住満ち足りた個室で、娯楽も用意してやってるし、あとは、洗濯とか掃除とか縫い物とか軽い作業やらせてる。
人権には十分配慮しているぜ。
もちろん、アメとムチのうち、アメだって与えてやった。
毎年魔族におさめさせていた税金を少し軽くしてやって、それに女性を魔族に献上するという習わし(まあ実際は売買だったけど)も完全に廃止してやった。
さらには人間たちの象徴として、唯一の人間の王族の生き残りであるマチルダにもなにか肩書を与えてやろう。
とは言ってもさ、王女としての地位を確立してやるってのはちょっとまずい。
ぶっちゃけ、俺の立場はどうなるんねん! という問題が出てくる。
武力は魔族(というか俺)、宗教は偽聖女カルアがまとめるとして、統治者としての権威をもたせすぎるのも厄介だ。
マチルダ王女の名の下に! とか言って反乱おこされても超困るからな。
「うーん、どうしようかなー」
魔族の居城の謁見室。
そこにいるのは俺と魔族少将アルティーナ、それに偽聖女カルアと新人くノ一リチェラッテ。ちなみにリチェラッテの忍術の才能は抜群で、俺にははるかに及ばないにせよ、。かなりの忍術を使えるようになっている。
さらには、まだ十歳の王女マチルダも同席させている。
マチルダはブラウンのショートボブ、目鼻立ちがくっきりしていて、なんだか西洋の彫刻みたいに整った顔立ちをしている。
まだ十歳だから、女性っぽさはそんな感じないけど、さすが王女、それなりのオーラっぽいのは感じるぜ。
さて、現状のこいつらってどうなってるかな。
俺は印を結んで叫んだ。
「忍忍! 戦闘力開示の術!」
こいつは素体垂素開示の術に比べて、使っても俺の疲労度はそんなでもないし、連発できるので便利なやつ。
正直、素体垂素開示の術はめっちゃ疲れてクタクタになるから、これからはこっちを中心に使っていこう。
結局、この世は暴力でなんとかすればいいんだからな。
さて、戦闘力開示の術によって、ここにいるメンバーの戦闘力が頭上に表示された。
もちろん、これは俺にしか見えないやつだ。
ふむふむ、なるほどー。
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