6.石のスープ(ポルトガル)
民話紹介です。
~ 空腹で耐えきれなかったオオカミは一計を案じ、
めんどり奥さんの家の扉を叩きます。
「奥さん、奥さん、ここを開けて下さい。
とびきり美味しい石のスープを作って差し上げましょう」
「石のスープですって? そんなの飲んだことないわ。
いったいどんな味がするんでしょう?」
相手が恐ろしいオオカミだということも忘れ、めんどり奥さんは扉を開けてしまいます。
「台所をお貸しするわ。さあ、めずらしい石のスープを作ってちょうだい」
(してやったり)
オオカミは舌なめずりしながら喜びます。
これで上手い鶏のスープが食べれるぞ。
でも奥さんをだますためには、美味しく石を煮込んでみせなくてはなりません。
ぐつぐつぐつ
石が煮えていく中。
トントントン!
再びめんどり奥さんの家の扉を叩くお客様がいるようです……。 ~
下心たっぷりのオオカミの口車に乗って
扉を開け、オオカミを招き入れてしまっためんどり奥さんの運命やいかに?
◆◆◆
→ このお話の続きは、
オオカミが石のスープを作っている間、次々にめんどりさんの知り合いである動物たちが訪れ、
「石のスープなんて飲んだことがない。私にも飲ませて。あっ、でもこれを入れればもっと美味しくなるんじゃないの?」
と様々な材料を持ってくることで展開していきます。
いつしかめんどり奥さんの家には村中の動物たちが集まり、皆が持ち寄ったたくさんの野菜に調味料でスープはどんどん美味しくなってきて、優しいめんどりをお鍋に入れることもなく、最終的にはたっぷり煮込んだ美味しいスープが出来あがり! 全員で舌鼓をうつという結末。
オオカミの当初の思惑とは外れましたが、オオカミもスープが飲めて満腹になった上、皆に感謝されてまんざらでもない様子。
ハッピーエンドを迎えます。お話の原形はイベリア半島、ポルトガルに伝わる民話。
もとのお話では、悪役のオオカミのかわりに3人の旅の兵隊ということになっています。
兵隊は度重なる戦争において悪役で信用されなかったためか、空腹でも誰も食べ物を分けてもらえず、「石のスープを村人にふるまいます」というカタチで物語が始まるそうです。
ちなみにこれを元にしたお話が日本でも絵本になっていて、
「しあわせの石のスープ」「オオカミと石のスープ」「せかい1おいしいスープ」等それぞれタイトルが異なっていますので、探せば他にもあるかも。
「しあわせ~」は中国を舞台にしているため3人の僧侶という設定。
「オオカミ~」は子供にわかりやすくオオカミが主人公になっています。(※ちょっと暗めな絵で、次の犠牲者が求められてるかも? と予感させる終わり方は、低年齢には難しいかもしれません)
「せかい1~」はフランスの民話として紹介されていますが、登場人物が3人の兵隊なので原型に近いものでしょう。
またこれによく似たお話はフィリピンやポーランドなど世界各地にあるようです。
「ストーンスープ(stone soup)」といえば、いまでも【協力を募る時に使う言い回し】なのだとか?
どうでもいいけど、この具沢山の石のスープってほんと美味しそう(笑)
え? 石? それは煮込み時間が足らず、まだまだ固かったようなので、オオカミが持ち帰ったようですよ?
※「オオカミと石のスープ」「365日のベッドタイムストーリー」参照 2006年頃
◆◆◆
とても好きなお話なので、主人と娘5歳に語ったところ……。
何の感銘も受けて貰えませんでした。
なんでだ!? ショックだ!!
挿絵のオオカミの足が、狼っぽくないことは誰よりも私が一番よく知っている!(だからツッコまないで(涙))
お読みいただき、ありがとうございます(^^)/
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