46.命なき後の歩み(北ドイツ)
~ 歩け! 歩け!! 歩け!!!
仲間の命を、取りこぼすことなく助けるために!! ~
ハンザ船軍団に捕らわれた大海賊シュテルテベッカーは、「俺は首を刎ねられた後も歩く。だから、その歩数の人数分、仲間を釈放するよう頼む」と願い、ハンブルク市長は、それを"承諾"した。
◆◆◆
クラウス・シュテルテベッカーは首を落とされた後、首なしの身体を突き動かし、列に並んだ部下たちの前を、よろめきつつも歩いたそうです。
73人の仲間を助けるために。
事実、歩いた数は11歩。
しかし、約束したはずが、ハンブルク市長はあっさりと、シュテルテベッカーの部下全員を打ち首にしてしまいます。
シュテルテベッカーに心動かされていた他の市議会議員たちは、市長の行為を責め、彼に詰め寄りました。
「どうして海賊との約束を守る必要がある? 儂は、お前たち全員の首だって、いつだって刎ねてやるぞ」
この横暴で横柄な市長の言葉を聞いた市議会のメンバーは怒り、ハンブルクの市長を処刑したそうです。
◆◆◆
市長……。人柄に問題有り過ぎでは?!
ところで"シュテルテベッカー"とは渾名で、“一飲みでマグカップ(4ℓのビール)を飲み干す”という意味だそうです。
低地ザクセン語はわかりませんが(←そもそも日本語以外はわからない)、シュテルテベッカーという単語の、どのあたりが"マグカップ"で、どの部分が"一飲み"なのでしょう?
つまりは"大酒飲み"。
そんな呼び名で伝説になった大海賊。ハンブルクには彼の銅像もあるそうです。ビールの商標にもなっているとか。なんか納得。
シュテルテベッカーの海賊船を解体した際、帆柱からは、金・銀・銅の棒が出てきたらしく、この宝物は、市の教会の先端に使われたとのことです。
帆柱に財宝を仕込むとか、浪漫ですね!
「うぉぉぉ、嵐だ! マストが折れるぞ、補強しろ!! 何? お宝しかない?? それでもいい。金属類、仕込んどけ――」
あれ? 浪漫とは? あれぇ??
……航海って、大変そう……。
◆◆◆
※ 参照図書「北ドイツ=海の街の物語」他。ハンブルクはハンザ同盟の中心都市
お読みいただき、ありがとうございました(^^)/
「みてみん」に画像アップした際、「好き」とコメントいただいた足元部分の絵。す、すみません、首から上がアレで……。そんなわけで、今回の内容をお読みいただいた後のご反応が、めちゃ心配なのでした。




