45.底見えぬ鉢(スコットランド)
~ 「決して底を見せるな」
娘が息を吹きかけ命じた鉢は、その後どんなに中の小麦を使っても、底が見えることは決してなかった。 ~
(絵 2005年)
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ある若い娘が、小麦を粉にひき、ふるいにかけていた時。
見たことのない美しい女性が、小麦粉を貸りに来た。
娘は快く頼みに応じ、彼女の持ってきた古風な鉢に小麦を貸し与えた。
一週間後、小麦を返しに来た女性は、鉢を下に置き、「決して底を見せるな」と息を吹きかけて立ち去った。
その後。
小麦を貸した娘は大変な長生きをしたが、鉢の中の小麦はいくら使っても尽きることなく、生涯、鉢の底を見ることはなかったという。
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このシンプルなお話が、なぜかとても好きです。
持続魔法!
いまガンガンオンラインで連載されている『「もう‥‥働きたくないんです」冒険者なんか辞めてやる。今更、待遇を変えるからとお願いされてもお断りです。僕はぜーったい働きません。』
"なろう"に小説ありますが。(https://book1.adouzi.eu.org/n1258gp/)
そちらを思い出します。
主人公エクスの魔法で、えんえんと水が湧き続ける水瓶とか、出てくるんですよ。
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軽視しがちだけど、身近にある大切な価値のもの。
それがずっと続く、効力。良いですよね!
妖精の贈り物は、大抵主人公がポカをやらかして、その効力を失ってしまうものが多いけど、今回の鉢は、力を持ち続けます。小麦ひきの娘の心根が、変わらず善良だったことの証かも知れません。
参照図書は、「妖精の誕生―フェアリー神話学」。
他には、アイルランドの説話で、妖精から貰った"なんでも出てくる魔法の瓶"が、持ち主が亡くなった途端、ゴタゴタがあって失われるといったパターンのものもあったと思います。
そんな失われたマジック・アイテムがひょっこり出てくるお話、書いてみたいなぁ。
最近、妖精率高いですが。妖精モノ、好きなんです。編集順に頓着せずに出してて、失礼してます(苦笑)。楽しんで貰えてたら、嬉しいです。
お読みいただき、ありがとうございました(^^)/
いただいたご感想は、いつも嬉しく何度も読み返しています♪ 作品より読み返してるかも!




