40.火を伝えた獣(中南米)
~ ある時、高い岩壁に、少年が取り残されてしまった。
置き去りにされたその子が、餓死しそうになった時。
あらわれたジャガーが、彼を救い出し、連れ帰った。
そして、子どもを養子とし、焼いた肉を与え、暖をとる術を教えた。
こうして。
"火"は、ジャガーより人間に伝えられたのである。 ~
(絵 2008年 写真トレース+部分創作)
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中南米の神話です。"火"は神から盗んだ、というパターンが多い中、こちらは与えられる形式です。
「なんでジャガーが火を知ってて使えるの?」とかツッコんではいけません。
ジャガーは、人を越えた力を持つ存在なのです。
暗闇で光る眼を持つジャガーは、夜の太陽を表す象徴でした。(ちなみに昼の太陽のシンボルは、ワシ。夜にも太陽が認識されていた点がスゴイ)
皆既月食が起こるのも、ジャガーが月を食べちゃうからです。月が赤く染まるのは、ジャガーの攻撃に月が負傷し、血を流すから。
月を食べた後、ジャガーが地上に厄災をまきにくるのを防ぐため、インカの人々は、空に向かって雄たけび、槍を投げてジャガーを追い払おうとしました。
月を追う獣は、他の国にもいます。太陽と月、役割分担して追いかける狼も。
いずれ別途ご紹介したいものですが……。とりあえず中国では龍が食べちゃうということで、19世紀まで天に大砲を放って龍の撃退に勤めていたらしいです。……マジ?
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「中南米のお話がない」とご感想を賜ったので、引っ張ってきました!
インカ・マヤ・アステカ方面の神話。白地図広げて、世界の神話に興味を持ってくださったこと、とても嬉しいです。
あちらの国のお話。
私がどうにも馴染みにくいため、数少なめです。申し訳ない! 発掘された土器に可愛さを覚えないせいかも。
インカ文明は密林の中でしたから、暮らしやすく潤っていて、出土品の雰囲気も和やかなのですが、高地厳しいアステカとなると殺伐としてきて……。
たとえばペルーのこれ。顔がコワイよ?!
ギリ可愛いものもあるのです。「ギリ」。そこが問題。
以下、2008年の展覧会のレポートですが。くじら土器は可愛いかなぁ? と。
上記図・左下に「王と王妃が大変だった」と記載しています。
どんな風に大変だったか、おまけで説明しますと、"生贄確保のために他国に戦を仕掛けていた"。 これはまあ、アリとして。
怖いのは、自らの大事なところに錐を突き刺したり、舌に縄を通したりして、その痛みからトランス状態になり、神と交信したということ!!
ひぇぇ、それが王と王妃の仕事なら、王族になんてなりたくない!!
とはいえ、戦士だって血を流します。
あちらは"神様の自己犠牲で世界が成り立っている"、という神話が軸にあるので、人間だって皆自己犠牲しちゃうんです。
さらに太陽を輝かせるために、人間の心臓が必要、てなことで、生贄から抉っちゃったりするんです。
ダメだ、刺激が強すぎる。あまり書くと、また[R15]のタグが叫ばれる。
そんなわけで、本日は、このあたりで切り上げます。失礼しました~~。
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さて。もし学生の方がこれを読んでいらして、ピサロとコルテス、どっちがインカ帝国を滅ぼして、どっちがアステカだっけ? と迷ってましたら。
インカ = ピサロ
アステカ = コルテス です。それぞれ3文字、4文字で紐づけしちゃってください。テストばっちりです! って……いまはそんな問題出ないのかな? 私が子どもの頃は、テストに出たんだけどな……。
お読みいただき、ありがとうございました(^^)/
今日は別のお話の予定でしたが、急遽、中南米ぶっこみました。そのため手持ちのイラストをつぎはぎに貼り付けましたが、楽しんでいただけたら幸いです。




