36.ミダス王の金の指(ギリシャ)
~ ミダス王の"願い"は神によって叶えられ、
王が触れる全てのものは、黄金に変わるようになりました。 ~
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神から特別な力を授かり、喜んだ王は、ありとあらゆるものを固く煌く金に変えていきます。
姫の大好きな庭のバラまでも金に変えてしまい、嘆く姫をなぐさめようと彼女を抱くと、なんと大切な姫までもが黄金に変じてしまいました。
食事をしようとしても食べ物全てが金になり、また、水さえも喉の中では金となって、王はあやうく死にかけます。
やっと自分の願いの過ちに気づいた王は、願いを取り下げ、元に戻す方法を神に尋ねました。
「パクトロス川で身を清めるように」
王が教えに従うと、王の力は消え去り、金になった全てのものが元に戻りました。
そして、王の願いの欠片が流れ落ちたその川では、その後、砂金がとれるようになったそうです。
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イソップ寓話でも紹介されているギリシャのお話。「知ってる!」という方も多いのでは。
なので、以下、おまけ情報です。
物語の主人公、ミダス王はフリギュアの王様です。(フリギア、プリギュアとも表記)
ギリシャと書きましたが、土地的には現トルコ。アナトリア中西部にその国はありました。
金がとれる川の名前は、パクトロス(PAKTOLOS)川。
一説では、トロイ戦争の真の理由(パリス王子の目的は、美女ヘレンではなく川(で、とれる金))と言われているくらい金が有名。この川の金で鋳造されたリディア人のコインが、ヨーロッパ・コインの源流となったとされています。(金と銀の自然合金だったらしい)
さて、このミダス王。
実は「王様の耳は、ロバの耳」の王様です。
牧神パンと太陽神アポロンの音楽勝負の審判のひとりで、彼だけが頑なにアポロン神を勝ちとしなかったがために、アポロン神により、耳をロバにされました。
黄金事件は、ロバの耳事件よりも前の話で、アポロン神に対し「金色の光を撒き散らすしか能がない」と馬鹿にしたため、やられちゃったみたいです。
いずれの事件も、最後はミダス王が学んだあと、元に戻してもらっています。が。ミダス王~~。懲りない王様。
更に彼は海に憧れていて、海のない内陸部の土地に対し、「錨」と名前をつけたのですが。これが現在のトルコの首都、「アンカラ」の名前の起源です。
なんて自由奔放な王様。たくさんの伝説になり、たびたび困っているその姿は人間味に溢れていて、「おいおい」と呆れながらも、憎めない人物なのでした。
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黄金事件は、罰ではなく、褒美という説もあります。
そちらでは、アポロン神ではなく、森の神シレノス&彼の弟子・酒の神ディオニソスがお相手です。酔いつぶれたシレノスを礼儀正しく介抱し、歓待したことから授かった能力とされています。
詳しく知りたい方は、ぜひいろいろと単語を組み替えてご検索ください。
伝説なので、正解は不明ですが、いろんなパターンがあって楽しめます。
ミダス王が、『ゴルディオンの結び目』(←26話部分で紹介)の王様の養子、とか、同名の王様が大勢いたんだ、という話もね!
2005年の過去絵 ↓ 迷ったけど、王様描いてたから、こちらも披露。
お読みいただき、ありがとうございました(^^)/
たくさん読んでいただけて嬉しいので、連日張りきっちゃいました♪
でも集中更新をしたので、またそろそろペースを落とそうかなと考えております。
こっちを書いていると、他が書けない不器用さなのです(苦笑)




