30.4人の妻(不明)
あるお金持ちが死に臨んで、"ひとりで死ぬのは寂しい"と思い、4人の妻に言いました。
◆第一の妻
「なあ、お前、儂は何かにつけお前を大切にしてきた。暑いにつけ、寒いにつけ、心を配り、旅へも連れて行った。儂と一緒に、冥土へ行ってはくれまいか?」
「あなたには、とてもよくしていただきました。ですが、あの世までお供することは出来ません」
◆第二の妻
「儂はお前を得るため、人と争い、人に謗られ、後ろ指を指されながらも片時も離さず、お前を大切にしてきた。どうか儂と一緒に……」
「それはあなたが勝手に求めたこと。私が望んだ話ではありません。私はここで、お別れします」
◆第三の妻
「お前のため、時間と金を使って慈しんできた。儂と共にあの世に行ってはくれんかね?」
「あなたのご恩は感じております。お墓までお見送りし、お線香を供えましょう。でも、一緒には行けません」
◆第四の妻
「儂はお前を顧みることがなかった。そんなお前に頼めた義理ではないのだが……」
「私は、苦しい時も、楽しい時も、あなたのお傍におりました。もちろん、どこまでもご一緒いたしましょう」
(2008年9月絵)
◆◆◆
さて、この4人の妻の正体。それぞれお分かりになりましたでしょうか?
◆第一の妻は「体」
どんなに大切にしていても、あの世までは持っていけません。
◆第二の妻は「お金」
こちらも、あの世は無理です。置いていくしかありません。
◆第三の妻は「現世の家族」
確かにお線香やお参りはしてくれても、一緒にあの世へはいきません。
というか、連れていっちゃダメです。元気にのこってて欲しいです。
◆第四の妻は「心」
唯一ともに旅立ってくれるのは、普段省みることのない「心」だけ。
だから、"常日頃から心を豊かに、大切にしましょう"というお話。
こちら、昔読んだ仏教説話にありました。
はじめてこれを読んだとき、妻の正体なんてわからなかったので、(というよりも、正体があることすら、思いもしませんでしたから)「第四の妻、なんて人が好いんだ!」と思った私は、とんでもない俗物です(笑)。
でも聞くと「なるほどなぁ」と思ったのでした。
お読みいただき、ありがとうございました(^▽^)/
あ、別に仏教推しとか、宗教がどうこうというわけではありません。エピソードとして、お楽しみいただければ幸いです。
★感想返信が前後する非礼、お待たせしてしまっている方、お許しください。
「書ける時に書けるとこから」スタイルで、決して他意はなく、いつか遡って全返信を目指したいと思っています。
よそ様の御作品ですが、時々、「自分の感想が後回し、自分のだけ感想が無い」とお聞きすることがありましたので。あ、でも「自分のだけ無い」のは、単なる「抜け」の可能性があります。後回しも丁寧に返信しようと思ってのことかも。
もしウチでもありましたら、お気軽にお問合せください!! というか、教えてプリーズ!!;;; わかってて、ひとつだけ書いてないとか、有り得ませんから!! 絶対"ウッカリ"です、それ。




