27.木の魚(中国)
~ 大変な美食家で知られた西太后も、加齢とともに料理への興味をなくし
その御膳はいつも、ほぼ手付かずで戻ってくるようになっていました
これを嘆いた料理人は、ひとつの賭けに出ます
木の魚で料理を作り、彼女が気付くかどうか、試してみようとしたのです
もちろん気付かれれば命はありません
命は惜しい
けれど気付いて欲しい!
料理をみて欲しい!!
複雑な願いと共に供された料理は、しかしそのまま下げられ
料理人に何のお咎めもありませんでした
そう。西太后は木で作られた魚の料理に箸をつけることもなく
まったく気付きもしなかったのです
命は助かったものの料理人の失意は深く
彼はいずれ宮廷を去ったといわれています ~
(絵 2006年)
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何もわざわざ、命がけでニセの魚料理を出さなくても……。
と、思うのですが、これが職人魂と心の叫びだったのでしょう。
過去に見たTVで紹介されたエピソードだったので、詳細を忘れてしまいましたが、この時再現された"木の魚"料理には、餡や野菜がかかっていて、本物そっくりに見えました。
実物もそうだったとしたら、うまく作り過ぎたのでは?
ちなみに"餡かけ料理"。
芝居を見ながら食事をするのが好きな西太后のために、料理が冷めないよう考案された料理だったようです。
西太后は歴史にも料理界にも大きな影響を与えたようで、いまの有名料理の数々も、彼女のために開発された品が多いそうです。
へぇ……!
餡かけ、好物です、私。
西太后の御前に、テーブル所狭しと並べられる豪華料理。
観劇しながら箸をとるスタイル。
それは……料理ひとつひとつなんて、そんなに見てないから、木の魚も気づかれなくて仕方ないんじゃ……とは思います。いかがなものか。
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ところでこの話聞くと、中国のお抱え料理人の漫画(『沈夫人の料理人』)を思い出します。料理人の主人に対する忠義が熱い! そして料理への熱意が高い。すんごいなぁ、職人さんて。
お読みいただきありがとうございました(^^)/
中国ネタ、書いてるつもりで、まさかの初出でした。




