17.ヘドレイのべこっこ(イギリス)
※"べこ"とは"牛"のことです。
~ おばあさんがうちに着くと、一生懸命運んできた"石"に、急に足が生えました。
あっと驚く間もなく、"石"は"牛に似た化け物"に変わります。
そして、"化け物"は笑いながら去って行きました。
「あんれ、まあ! 驚いたよ。ありゃ"ヘドレイのべこっこ"じゃないかい?
おら、ヘドレイのべこっこと一緒に過ごしただよ。あのべこっこを独り占めしてたなんて、おら、なんてツイてたんだろう!! ~
これは、めちゃくちゃポジティブ・シンキングのおばあさんと、いたずら好きの妖精のお話です。
◆◆◆
気の良いおばあさんが歩いていると、道にツボが落ちています。
おばあさんは"穴が開いて捨てられたツボ"だと思い、花を飾るため拾おうとすると、ずしりと重い。
中を覗き込んでみると、ツボにはいっぱいの黄金が詰まっていました。
驚きつつ、重いツボを持ち帰るおばあさん。
家への道の途中でツボの中身を確認すると、なんと黄金は銀に変わっています。
おばあさん、「さっきは見間違えたねぇ? でも銀の方がありがたい。あんなに多い金を持っていたら、ずっと気が休ませないからねぇ」と、再びツボを運びます。
道中、またまたツボをのぞくと、今度は鉄に。
「銀だと思っ鉄だったよ。そりゃあ鉄が一番さ。どんな形にもなるし、何と言っても売りやすいさね」
銀よりずっといい、おばあさんはご機嫌で家に向かいます。
いよいよ家に近づいて、ツボを見ると……。鉄が石になっていました。
「ありゃあ、おらが重い石を欲しがってるってなんで分かったんだろ! 玄関の置石にちょうどこのくらいの石が欲しかったところだよ」
おばあさんが喜んだ途端――。
石は牛に似た化け物に変わって、笑いながら去っていきました。
◆◆◆
まさに骨折り損のくたびれ儲け。
で、あるのに、おばあさんはそのことさえも、貴重な体験が出来たと喜びます。
この素直さ、前向きさ、受け止め方。見習うことが出来たらきっと幸せな人生を過ごせますね!
イギリスのヘドレイ村(ヘッドリー村とも)に出た妖精のお話で、「イギリスとアイルランドの物語」参照。
この妖精の正体は"ボギー"らしいのですが、"ボギー"って牛に似てたっけ?
もっと違ったような気がしますけども。"ボギー"がさらに牛に化けて逃げたのか、そのあたりはよくわかりませんが、明るいお話なので大好きなのでした。
お読みいただきありがとうございました。前回の更新から10日経ってた。あれぇ?
ご評価・ご感想良かったらよろしくお願いいたします(^^)/




