15.カエルの娘(クロアチア)
~ 「最も美しい花を持ってきた娘を妻にしている王子に、国を譲ることにする」
王様の言葉に、それぞれの王子妃は、美しい花を手にやってきました。
第1の王子の妃は薔薇の花。
第2の王子の妃はカーネーション。
そして最後の王子が見染めた娘は、麦の穂を1本。
「まさに麦の穂こそが人々にとって大切なもっとも美しい花と言えよう! 」
王様の決定で3番目の王子が国を継ぎ、カエルの娘と結婚して、末長く幸せに暮らすことになりました。 ~
(2008年絵)
◆◆◆
クロアチアの民話です。(同じ話がマケドニア発として知られているようです)
八百板洋子先生の著書『いちばんたいせつなもの バルカンの昔話』(世界傑作童話シリーズ)参照。
子供のいない老夫婦が「カエルでもいいから」と子供を願い(←なんでだ!)
本当にカエルが生まれちゃいます。
でも家族仲良く暮らしていて、カエルの娘はいつもおじいさんにお弁当を運んでは、木の上で歌を歌っていました。(カエルの歌……。なぜ木の上? 地上は危険だから?)
ある日、その美しい歌声に魅せられた第3王子が、「カエルでも良いから」と娘を妻にのぞみます。(思い切りいいよね?!)
カエルの娘は白い雄鶏を1羽、王子に頼みました。
さて、王様がそれぞれの王子に冒頭のお題を出して、「"最も美しい花を持ってきた娘"を妻に持つ王子を国の後継ぎにする」と発表します。
その品評会にカエルの娘は出席します。
このあたりが物語の嬉しいところで、王城の門をくぐると、白い雄鶏は見事な白馬に。カエルの娘は可愛らしい人間に娘になります。
そしてその手には1本の麦の穂。
彼女が捧げる花は、麦なのでした。
あとは"麦の穂が最も素晴らしい"と認められ、第3王子とカエルの娘が幸せになるというストーリー。
ちなみにマケドニア版では、第2王子の妻の花はカーネーションではなく、ナデシコになっているようです。どちらにしてもキザキザの花ですね(^^)
第3王子、お相手がカエルで良かったの? と心配しましたが、結果オーライで良かったです!
◆◆◆
麦の穂の価値が素晴らしいと認められる点。そしてカエルの娘が変身するシーンなどが好きで、セレクトしました。世継ぎ選びに、妻を重視する王様というのも珍しいですよね。
クロアチア、ネクタイ発祥の地。場所はココ↓
例によって例の如く、地図見ても一瞬で忘れ去る私。地理、無理。
イラスト描き直しを迷ったものの、そのまま使用しました。
◆◆◆
【追記】 感想欄に疑問をいただきまして。
「麦の穂って花?」なお言葉。確かに。それは私も思ったのですが(笑)
ここがまあ原書が読めない限界といいますか。
もしかしたら王様が要求したのは「植物」とかだったのかもなぁ、と解釈していた次第です。あとは「花」と「麦」の単語がなんか近いとか。それが訳の段階で、すり替わったのかな、的な。
ほら、よくあるじゃないですか。本当は「セミ」なのに、訳された先の現地に生息してないばかりに「キリギリス」に置き換えたとか。「ターキッシュディライト」が当時日本で知られてなかったから「プリン」にした、とか。流砂の妖怪・沙悟浄だって日本で河童にされちゃった。(←それぞれ"アリとキリギリス"、"ナルニア国物語"、"西遊記")
違い過ぎんだろ! と言いたいけど、童話の世界によくあることと黙認くださいませ♪(^▽^)/
現代でもさ、日本の「お好み焼き」が「ピザ(に似た食べ物)」に訳されてましたのよ? とある国で。違う~~(叫) 違うんだよ~~っっ。
お読みいただきありがとうございます(^▽^)/
有難いことに、なんだか毎日少しずつご評価いただいているようなので、嬉しくて更新しちゃいました。




