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~世界の民話・伝承集~最奥の森、最果ての海。  作者: みこと。@ゆるゆる活動中*´꒳`ฅ


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13.黄金の繭(ウイグル)

国名を迷いました。中国の新疆ウイグル自治区が舞台です。

~ あの方の不実な心のように 偽りの金を(まと)うより

私は真実、白を望む

蚕よ、蚕、金の繭よ

私の心が分かるなら、その身を真白に変じておくれ ~

挿絵(By みてみん)

(2004年絵)


◆◆◆


 昔、絹が黄金と等価で交換されていた時代。

 生糸は見事な黄金色をしていた。

 まばゆく輝く金の絹の製造方法は、"絹の国"だけの極秘事項であり、その製造法は門外不出の禁制とされていた。


 あらゆる国はその秘密を知りたがった。


 小さな国、"于闐(うてん)"でも同様だった。


 若き国王ティルカは一計を案じ、秘密を得るために"絹の国"の姫を自国の妃へと望む。


 ティルカに()われ、遠い砂漠を旅してやっとの思いで"于闐(うてん)"へ嫁いだ姫。


 しかし、夫ティルカが欲していたのは姫ではなく、彼女が(まげ)に隠して生国(しょうごく)から持ち出した金色の蚕だけだった。

 夫の本心を知った姫は蚕に願い、以来、蚕の口から吐き出されていた金の繭は、一夜にしてすべて白くなったという……。


◆◆◆


 黄金色の蚕が白くなった理由の物語。


 "絹の国"の姫君は、伝説では于闐(うてん)(ホータン)の王に冷遇されたことになっています。だって、そうじゃないと繭は白くなりませんものね。

 ですが、史実ではとても大切に扱われたと残っているようです。国を豊かにするための大切な繭(国家機密)を決死の思いで持ち込んでくれた姫君を熱烈歓迎し、蚕の餌となる桑を総出で探し、国を挙げて産業を盛り立て、絹の産地として名を馳せるに至りましたから。


 ちなみに、糸と紡ぎ、布を織る技術は姫君が、女性の教養として身につけていたそうです。

 まさに姫君さまさまですよね? 嫁ぎ先で大切にされて良かったよ――。


 シルクロードの丹丹烏里克(ダンタンウイリク)遺跡から発掘された木簡『蚕種西漸図』に、この(繭を髪に隠して運ぶお話の)原形ではないかと思われる絵があるそうです。どんな絵なのでしょう、とても見てみたい!

 

 漫画家・神坂智子先生がシルクロードシリーズ「金の髪 金の繭」(白泉社刊)で、この嫁いだお姫様のお話を漫画にされていてましたが、それは伝説にあわせた薄幸バージョンでした。いまはもう手に入らないかな? 雑誌掲載が1985年とか激しく昔で、私もず――っと後になってから読み、さらにその後年月が経っていますので。漫画では晶妃という名があてられていたように思います。名が不明な姫君に名前が付くと、いっきに親しみが湧きますよね。名前って大切。


◆◆◆


 (まった)くの余談ですが、新疆ウイグル自治区といえば"楼蘭の美女"と呼ばれるミイラが展示されています……。タクラマカン砂漠で発見された……。

 ミイラ、めちゃくちゃ苦手。たとえそれが美女だとしても! エジプト展なんかでミイラ展示があると、そこ避けて通るくらい。

 で、あるのに、学生時代、大学の夏期集中でスクリーンいっぱいに、この美女ミイラを見せられるという講習がありました。ひぃぃぃ。しかも集中講義ということで、昼食挟んでまた続く同じ授業。

 ミイラ見た後、お弁当、そんでまたミイラ。あ゛~~、あれはもう脳裏に焼き付いて離れません。私、食べ物と結びついた記憶は強いんです。そんなわけでシルクロード→タクラマカン→ミイラという連想回路が出来上がってしまい、話題に出すたび思い出すのでした。シナプスめ、こういう時だけ活発に働く。くっ。

 ミイラ話につきあわせてすみません。セットなの。シルクロードとセットなの。私の中で。なんて残念。


 それから、こちらは詳しくないのですが、金色の繭は現代でも実在しています。


 あと蚕の好物、桑。桑の実は、ジャムがとても美味しいです。ドドメ色ですけど。(←何の話(笑))

絵を描き直そうかなぁと悩んだのですが、当時の絵が何の漫画の影響を受けたか、自分の中で一目でわかって「ああ」と思ったので、これも思い出として、そのまま使用しました。

お読みいただき有難うございます\(^v^)/ 評価、ご感想を頂けましたら幸いです!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初に書かれていた詩と一筋の涙を流す女性の姿が美しく哀しくて、しばし画面を止めたまま魅入っておりました。 史実が逆ということを、読み進めましてホッとしました。 やはり人は報われてほしいもの…
[一言] 長野の名産品として杏があるんですけど もともとは長野には杏はなく 四国?から嫁いで来たお姫様が寂しくないようにと 殿様が城に植えたのが最初だそうです
[一言] こんにちは、みこと。さま。 自分の居た地域は過去に養蚕の盛んな場所でしたから、 桑の木とお蚕(かいこ)は馴染みの深いものでした。 かいこが桑を食べる音がかなり大きいことも、子供の頃に聞い…
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