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第39話 ヤッてよし♥

「ぬあにいいいいい、まだヤッてねえって、おま、あの展開でどうして!? 避妊具だって用意したのにどういう事だ相棒うぅ!」


「う、うう……」


 まさかアレだけ事前に段取りして、ましてや二人きりにしてやったってのにどういうことだ!?

 俺が問い詰めると相棒は床で正座してただ顔を赤くしてプルプル震えて泣きそうだ。


「クロカワぁああああ、どういうことだ!」

「あ゛? なんですかぁ?」

「……い、いや……なにがあったの……かなぁと」

「さあ、何があったんでしょうねぇ」


 クロカワに聞いたらメイド服で冷たい目で睨みつけてきて、なんだろう、圧倒的に俺の方が強いのに寒気を感じた。


「あひゃひゃひゃひゃ、もうレイヴァ様もそれまでにしてやって~」


 すると、俺の後ろから爆笑しながらイロカが抱き着いてきた。そして背伸びして俺の耳元で……


「あのさ、宙仁さ……ごにょごにょごにょ、でほにゃららで、寸前でドピュ……ってことらしいんだ~♥」

「ッ!?」


 イロカが腹抱えてそんなこと言うもんで、俺は思った。

 何と残酷で哀れで同情するような話か。


「ま、まあいい。気持ち折るな、相棒。チャンスはすぐくる。それよりも本題だ」

「うう……はい~?」


 相棒は涙目になりながら俺を見てきた。

 俺はシガーのことも含めて、街に潜んでいるネズミのことを相棒に伝えた。


「シガーから聞いたんだが、何やら王都の中に誰かが侵入して何かコソコソしようとしているみたいでな」

「え……」

「何か心当たりはねえか?」

「あ~……ああ、ああ~、それですか」


 これから起こることを予言みたいな感じで色々知っている相棒なら。そう思い問うてみると、相棒は「あ~」と何か納得したように頷いた。


「それはアレっすね……イベントの時期的に、『ニークヴェンキ修道会』の聖戦士たちっすね」

「なに……?」


 やっぱり知っていた、流石は相棒。だが同時に、意外な連中の名前に驚きもした。


「それって、あの戦う宗教団体のニークヴェンキ修道会だよな? 確かその修道会って聖母を筆頭に、信者の中から選りすぐられた強力な女だけの聖戦士たち……聖女戦士と呼ばれた奴らがいる宗教団体だよな?」

「ええ、そうです。設定として、ヤミナルは元々は幼少期よりそこで修行だか留学していたこともあり、現代の修道会の頂点にいるハイエルフの『聖母マムミルク』と強い信頼関係で結ばれ、同時に多くの聖戦士たちがヤミナルを仲間と思っていたり、憧れていたりするんすよ」

「ほう……」

「本来の修道会はあくまで中立な立場であり、国同士の戦争や政治には首を突っ込まないんですけど、魔族や魔王軍に関してはその限りではなく、さらには自分たちの大切な友であるヤミナルの危機を知り、かけつけた……それがゲームシナリオの設定っす」


 大体の状況が分かった。まさか、ヤミナルが修道会と繋がりがあったとはな。魔王軍としてはいずれは修道会は本拠地ごと潰すことにはなっていたが、まさかここで交わることになるとはな。


「しっかし、噂の聖女戦士たちがコソコソネズミの真似事か」

「まあ、聖女戦士もいくつかジャンルがあって、その中の隠密を得意としている連中っすね。たぶん……王国兵の負傷兵に変装して潜入してるのは……聖女隠密戦士の『レストルム』とその配下5人の女たちっすね」

「ほー、全員女か」


 王国負傷兵に変装しているというから男だと思っていたが、まさか全員女だとはな。さて、どうし……ん?


「ちょっと待て、相棒」

「はい?」

「相手は……ニークヴェンキ修道会だよな?」

「はい、たぶんそうです」

「……今の筆頭はたしか、ハイエルフの『聖母マムミルク』だよな?」

「ええ……」

「マムミルクって……たしか、俺の攻略の……」

「ええ、そうっす。マムミルクはレイヴァさんのハーレムエンドのメンバーの一人っす」

「ッ!?」


 俺はそこで衝撃を受けた。いや、前聞いたときは色々と情報過多でツッコミ入れられなかったが、まさかあのマムミルクが?


「ちょ、おいおい、いいのか! てか、俺、ヤッていいのか!? 聖母と?! しかもマムミルクって、初代聖女の生まれ変わりとか言われている絶世の美女のハイエルフで……いや、俺も顔は見たことねーんだけど、とにかくイイ女なんだろ! それも俺が攻略できんのか?!」


 衝撃の事実に俺が相棒に食いよると、相棒は大きくうなずき……


「うす。ちなみにマムミルクは、金髪爆乳母乳のバブミキャラで赤ちゃんプレイすると超メロメロになる変態ドスケベ聖母っす」

「……なにいいいいいい!?」


 なんてこった、まさかそんな女が攻略できるだと?!


「ど、どういうことだ、相棒! あ、あんな女が攻略できるってのか?」

「うす。ゲーム中ではマムミルクは、レイヴァさんに敗北した後、自分たちの身の安全を保障する代わりに……自分の身を差し出すんすよ」

「なに……」

「しかも、その際のマムミルクはレイヴァさんに『自分は屈しないって』心を強く持とうとしていたんすけど、実際はレイヴァさんのエロテクには勝てず、アッサリ調教されてしまうっすね」

「おお……」

「んで、その後にレイヴァさんはどこかのタイミングでマキが入手した『一時的に体を幼児化するマジックアイテム』を入手し、あ、まあ、それはその、女の子たちに『そういうプレイ』するとき使うんすけど、マムミルクに対してはレイヴァさん自身が幼児化することで、ショタ好きのマムミルクは一瞬でレイヴァさんのママになって完堕ちしちゃうっす」

「…………」


 おいおいおい……なんだそれは?

 衝撃的な情報に、俺は思わず沈黙した。

 興奮……していいんだよな? いや、なんかまだ会ってもいない聖母にちょいと引いちまったが……


「あっ、でも、後にヤミナル、マキ、マムミルク、みんなとのハーレムイチャイチャは超圧巻ですから!」

「うお、お、お、うおおおおおおっ!」


 ヤミナル、マキ、それにマムミルクとその他ハーレム! 想像しただけで興奮不可避! ここはもうやるしかない!


「相棒! その話が確かなら……俺はやり遂げるぞ! そのマムミルクも俺のモノに! ヤミナルたちと共に最高のハーレムにするために!」

「おおー、レイヴァさん! その意気っす!」


 改めて俺は決意する。その最高のハーレムエンドに向かって。


「あ、だけど、そのためには……この聖女隠密騎士のレストルムを捕まえて、尋問でレイヴァさんのエッチで骨抜きにしまくって、修道会本拠地内の隠し通路を吐かせる必要があるっす。これで、修道会に潜入してマムミルクを拉致すれば修道会はアッサリ攻略できるっす」

「おお!」

「ただ……レストルムは隠密、暗殺を得意とするキャラなんです。まあ、ヤミナルほどではないんですけど、それでも凄腕っす」

「なに……」

「んで、他の聖女隠密騎士の5人も手練の暗殺者の集まりっす」


 なるほど。どうやら修道会の敵は強力なようだ。

 しかし、それがどうした。


「ぐわははは、関係ねえ。ぶっ潰す。で、犯す! 堕とす! 全部得意分野だぜ! で、奴らはどこに隠れてる? シガーが目撃した家も一応調べたけど、既に誰もいなかったんだ」

「まあ、隠密ですから、所在は点々っす。だから、どれだけ探しても、聞き込みしたり、足で捜査してもこれは見つからないんす。ただ……とあるイベントを経て、レストルムはレイヴァさんの前に自ら姿を現すっす」

「ほう! すげーじゃねえか、相棒! そこまで先のことが分かるとはな! よし、この問題を解決したらヒトバイヤの奴隷商品となって捕らわれてるお前のクラスメートは俺が買ってやる!」


 俺のその言葉に、ずっと不貞腐れて黙っていたクロカワも表情が喜色に変わる。イロカたちも、「やったじゃん」と嬉しそうだ。

 ただ……


「あー、それなんすけど……まあ、そのイベント………」


 相棒はなぜか苦笑している。何でだ? そういや自分をイジメた女と男が居たんだっけ? だから微妙なのか? ま、そいつらは俺がお仕置きしてやるけどな。

 だが、相棒の苦笑の理由はそこじゃなく……


「その……レストルム出現には、レイヴァさんがその前にある女とエッチしてないと発生しなくて……」

「おう、なんだなんだ~? ぐわはははは、俺は一体何人の女とエッチすりゃいいんだ~? いいぜ、いくらでも! 誰だ誰だ?」


 そんなことか、楽勝。むしろ、ドンと来い。役得。そう思っていたが……



「その……レイヴァさんの妹のシスクさんと、先にエッチしてないと、そのイベントは発生しないんです」


「……………おふ」



 急に、それも「いつかしなきゃいけないこと」だったというのを思い出し、急に俺の心は重くなった。

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