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第7話・早めに薬を取りに来られる患者さんの話



 たとえば、本日は10月9日。前回が10月20日まで調剤した→同じ内容を処方された場合は、調剤する分包紙などの日付が10月21日開始となる。そういうことです。

 そして交付時には、家にあるものから先に服薬するように念のためにいっておきます。なぜそんなことがおきるのか → → 飲み残しなどがあることを伝えて先送りになってしまうからです。慢性疾患の外来患者は容体がいきなり悪い方に変わったりはめったにないので、よくおきる。病識のない人も飲み忘れが多い。

 まあ、台風や地震で交通機関がマヒして予約日に受診ができないときように数日分を予備として保管するのはアリ。


 しかしながら、検査結果などの何らかの変化により、処方変更があると、今までの薬がパアになることがある……Tさんの場合がそれでした。ほぼすべての薬が総入れ替えのようになっている。Tさんの処方箋を応需したわたしは、今までの飲んでいた薬は廃棄するように伝える。


「えっ、今まで飲んでいた薬は結構高かったのに、もったいないわ!」

「捨てにくいのであれば、薬局まで持参いただけたらこちらで処分します」

「それも、もったいない~」


 処方薬はいわばオーダーメイドのようなもの。Tさん以外は誰にも勧められない。もったいなくとも廃棄一択。


 Tさんは3割負担の人なので、気持ちはすごくわかる。でも、古い処方薬を強から飲むべき薬と何らかのミスで一緒に飲まれると困る。だから説得します。これが施設入所の人だと、処方薬は施設管理になるので、職業的に割り切って「廃棄ね、了解」 と言ってくれるが。


 Tさんは小さなお孫さんと同居と伺っていたので、わたしは「保管に気遣っておられるとは思いますが、飲まなくなったものは別添えにして子供さんが間違えて飲まれても困りますでしょう」 というと、やっと了承してくれた。子どもの誤飲は実際にあって、電話相談を何度か受ける。チョコレートと間違えて肝機能改善剤の大きな錠剤を全部飲まれたお子さんのことは忘れられない。(その子は下痢した程度で無事だった)


 こういうことも多々あるので、薬剤師の仕事もまた多岐に渡るものなのです。



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