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第5話・ダイエット薬

今日は、やせ薬の話をします。わたしも嫌いではないので、毎年一回はこういう話をしているような気がします……。


つらい運動なし、つらい食事制限なしのダイエットをするとしたら、美容外科手術を除けば薬を使うしかありません。いろいろあります。

最低限、医師の指導下にてやりましょう。自己流かつ個人輸入で得体のしれぬ薬を使うのはやめてください。理由は副作用ですね。


薬を使ってのダイエットはメディカルダイエットといいます。医療保険を使うなら、マジンドール(サノレックス)など昔ながらの定番がありますが、肥満度数を満たさないといけないなどの縛りがあります。


自費診療でもいいならこういった縛りはほぼない。この場合、近年は血糖降下剤を使うのが主流になっています。本来は糖尿病患者が使うべきものなので、これは自費になります。自由診療扱いは、医師もしくは病院、医院によって価格が違ったりします。高ければ各種検査料も含まれていたりするので、総合的にお得な場合もあるので、よく考えて吟味しましょう。副作用もあるので、万一の事態に備えてすぐ連絡が取れるような体制も必要かと思います。


さて、こういった自由診療の場合は、医師のところまで行く必要はありません。オンラインですね。オンラインダイエット外来と名乗っている医院もあります。 令和の時代の流れを感じます。全国どこからでも、オンラインで医師と話して薬を宅配してもらえるのです。現時点で一番身体に負担が少ないダイエット薬は血糖降下剤と言われています。(現時点での評価ですので、後年、評価がひっくり返ったりする可能性はあります)


そういうオンラインダイエット外来で出す薬は、血糖降下剤のうち比較的新しいものが出ます。GLP-1受容体作動薬リベルサスなど、もしくはSGLT2阻害薬カナグルなどになります。薬理学的なことを書くと面倒なので、ご興味があれば検索したらすぐに一般向けの糖尿病薬の説明ページがいくらでも出てきますのでご覧ください。


リベルサスやカナグルは飲み薬ですので、毎日飲むのが面倒な人や手っ取り早い効果が欲しい人はマンジャロやオゼンピックなどの注射薬があります。週に一度、自分で自分に注射するのです。一番手間がかからず楽ですね。その分、高価です。が、人気があって本物の糖尿病患者のための分が品薄になるというややこしい事態になっています。でも気持ちはすごくわかる。世の中は、肥満体の女には冷たいからね……わたしがそうだったからすごいわかる。


で、ダイエット外来を標榜する医師は、3か月間まとめ買いしたら安くしますよ~って書いていたりする。マンジャロなら10数万円前後になります。内服でも効果は間違いなくでますが、腎臓や肝臓に疾患がある人は絶対ダメです。オンラインでも必ず聞かれますので正直に答えないと命にかかわります。

自由診療だから医師の儲けは大きいと思いきや、そうでもない。保険診療の場合はマンジャロ3割負担だと1週間に一度なので4本、診療代検査代込みで大体5000円前後です。残りの7割だって各種保険組合からもらえるから損はしない。でも糖尿病患者に必要な薬を優先にするのは当たり前のことです。医師としても、そこらへんの見極めができているか、ですね。


そうそう、マンジャロとオゼンピックどっちが痩せるの~と聞かれますが、人によります。めんどくさがり屋には、1回に1本使い切りのマンジャロの方が楽かもしれない。オゼンピックは針の交換がいるしね……どちらにせよ、消毒はきっちりするようにしてくださいといいます。


やせ薬としての効果はもうばっちりです。わたしがそう断言できるのは、今まで肥満していた本物の糖尿病患者がマンジャロやリベルサスを使っていて、ほっそりしてこられるから。100キロ近い女性の患者さんが、やせたらみんなが優しいのって喜んでいました。確かに肥っていても美人だなと思う人だったので、わかる。その患者さんは、これを使うと吐き気がするけど、これからも服薬をがんばるって。皆が優しくなる、容姿を褒めてもらえるというのは、やせる動機に十分なる。


糖尿病患者の薬だけど、糖尿病の人に行き渡るなら、こういったやせ薬を使って、自信を取り戻せるならわたしも推奨します。でも副作用もあるので、どこまでできるか、ですね。吐き気がひどく出て断念したという人も結構います。肝臓や腎機能に問題ある人は栄養バランスに気配りして運動する方向に振り切ったほうがいい。こっちは面倒だが、お金もかからない。


肥っていた有名人がやせると、褒め称えるニュースがある限り、こういう現象はなくならないと思っている。痩せると美人という文化も、それに染まった摂食障害の子どもたちもみているので、本当にメディアの人も気をつかって記事を書いてほしい。




※上記薬品名は令和7年夏に流通中のものです。販売予定やこれからの傾向については流動的なので書きません。


海外のダイエット薬関連


以下は韓国にわざわざ行ってダイエット薬を購入が流行しだして危機感で書いた記事です。

色々な人が警告していたので、ブームが下火になって本当によかったです。





https://book1.adouzi.eu.org/n2025dt/41/


医療業界で一番地味な薬剤師エッセイ  - 第四十一話 ダイエット薬の購入と個人輸入について

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