第10話・乳糖の話
たまにはガチで医療にまつわる話をしましょう。勤務先は小児科処方箋も応需していますが、アレルギーのお子さんも多いです。そこで我が子を心配するお母さんからの質問について。
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うちの子は牛乳アレルギーなのですが、錠剤の添加物を検索すると乳糖と書かれていますけど、本当に大丈夫ですか? 乳と書かれている者は全部ダメなはずですよね?
乳とつけば、全てダメと思い込まれている親御さんが多い。アレルギー外来の担当医師が先回りして教えている場合もありますが知らない人も多い。
注意点ですが、以下は医師の診断で確定した本物の「牛乳アレルギー」の患者とその親に向けての話です。牛乳を飲むと下痢するのでうちの子は牛乳アレルギーだわと自分で決めている人は除外します。(そこまで責任が持てません)
加えて前置きとして、牛乳アレルギーの人は牛乳の中に含まれているカゼインというたんぱく質がダメということを覚えておいてください。正確にいうと、牛乳アレルギーはカゼインアレルギーです。
薬局で調剤する錠剤や粉薬にも乳糖が添付されていることが多々ありますがこれは大丈夫です。理由は乳糖とは「牛乳や母乳に含まれている糖質のこと」 で、「カゼインのことではない」 からです。
乳糖は、カゼインとはまったく違う物質です。
そのため、日本小児アレルギー学会の診療ガイドラインでも乳糖の投与制限は書かれていません。ただし、乳糖を含む注射薬や吸入薬で牛乳アレルギーの人が、乳糖アレルギーを誘発されたという報告がある。ややこしいので、少しの牛乳を飲んだだけでも重度のアナフィラキシーが出る人は、小児科医は最初から処方はしない。
牛乳アレルギーの人にとっては憎きこのカゼイン、熱を加えても壊れません。そのため、牛乳を使ったお菓子やケーキが食べられません。同じ理由で牛乳を発酵させたヨーグルトやチーズもカゼインがそのままの形で残っているため食べられません。
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ついでに。
乳とついている原材料名のうち、
乳化剤はOK。これは牛乳からでなく、卵黄や大豆などから作られるから。これまたややこしいのですが。
乳酸菌自体は菌の名称なのでOK。でも乳酸菌飲料は不可。
牛乳由来の乳酸菌は不可だから。ただし、牛乳由来以外の乳酸菌で作られた乳酸菌飲料があります。ヤクルトなどで聞いてみてください。
乳酸カルシウム、乳酸ナトリウムなどの化合物も牛乳から作られていないのでOKです。
でも牛乳由来の全粉乳、脱脂粉乳、練乳、発酵乳、そして先に書いた乳酸菌飲料は全部不可です。
牛乳アレルギーの人のたんぱく質の摂取は大豆やお肉などから、カルシウムは小魚などから取りましょう。
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普段は調剤した薬を「大丈夫ですよ~」 と、交付するだけでなかなか突っ込んだ話ができないので、この度長々と気が済むまで書いてみました。終わります。




