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没ネタ101話

 ギルドの中に入ると時間の為か、プレイヤーの数が少なく感じる。

 いや、時間を考えると学生が帰宅なり、夕食を済ませている時間だ。普通ならもっとギルドが賑わっていてもおかしくはない。

「はー。今日は疲れたし、もう落ちるわ」

「あんだよ。折角次の街に行けると思ったのに」

 中の様子を窺っているとプレイヤーの話し声が聞こえてきた。次の街という面白そうな話に釣られて聞き耳を立てた。もちろん怪しまれない様に、視線と体は依頼掲示板に向かって固定する。

 まぁ、ついでにクエストの選別もするつもりだ。

「あー、三日前だっけ…見つかったの?」

「そうそう。攻略組を筆頭につえー奴は、大体移動しちまったな」

「なんで?」

「経験値が美味いらしいぜ。ってか掲示板ぐらい見ろよな」

 そういえば最近は、領地に掛りっきりで掲示板での情報収集を怠っていた。

「でも此処は、一応王都何だろ?」

「ん?」

「そんなに人数の許容があるのか?」

「あー、行ったことないからなぁー。王都も近いんだし、それなりに大きな街なんじゃないか?」

 これ以上の情報は期待できないな。

 後で掲示板から、追加の情報がないか確認するとしよう。

 領地をロックスに任せたのは、出稼ぎに行く為ではない。単純に領地経営に飽きて来たからだ。

 折角のゲームであるのに、戦闘を楽しもうにも丁度良い相手がいない。ロックリザードは連戦が難しい、かと言って島のモンスターは弱い上に領民の食料だ。しかも他のプレイヤーの様子を見る事も出来ないので、情報収集が後回しになる。現に掲示板から、情報収集するのを忘れていた程だ。 

 掲示板と言えば、盗賊関連のクエストが多い気がする。

「盗賊か…対人系は苦手なんだけど」

 と言いつつも盗賊討伐のクエストを受けることにした。

 盗賊の討伐は報酬が良いのだ。クエストの報酬は勿論だが、盗賊の持ち物は討伐者の物になる。アジト事潰そうものなら、かなりの利益を手に入れられるだろう。その為プレイヤーにとっては、良いカモなのである。

 前回の盗賊団の討伐では、アジトの発見は警備隊の手柄だったので、盗賊の物資はそのまま国の物になった。

「はい…クエストの申請確認しました。…完了の報告をお待ちしております」

 受付の女性に見送られる儘に冒険者ギルドを後にする。

 ギルドを出た後は、最近盗賊が出没するという森に向かう。そこは王都から東に進むと見えてくる森で、どうも次の街と言うのは、その森の先にあるらしいと掲示板を眺めていて気付いた。

 森の適正レベルは10らしいので、俺一人でもなんとかなるだろう。


                          ♪


 青々と生い茂る草、木の集合体『森』。高く伸びた木々に月の光は遮られ、例え昼間であったとしても、周囲は薄暗く、視界が狭まっていただろう。

「到着したは良いが、夜なのを失念していたな」

 夜の森は兎に角視界が悪い。

 夜郷族は、夜での活動に重きを置く種族だ。そのお陰か全く光がない状況でもない限り、暗くて見えないと言う状況は於き得ない。では何故、いま視界が悪いのかと言うと伸び放題になった木の枝が原因である。

「…魔装化」

 折角の夜だというのに動き難くては、戦い難い。

 目的は盗賊の討伐とはいえ、他のモンスターとも戦いたい。ドロップアイテムは金にになるし、デスペナルティで持っていかれた経験値も稼げる。

 ゲームをプレイするプレイヤーとしては、当然の行動だろう。

「…ダメだな。まるで見えん」

 伸びきった枝を切って進む事は出来るが、進むにつれて疲れがドンドン溜まって、奇襲を受けて死に戻り。というビジョンが頭の中に浮かぶ。

「何か新しいスキルを取るしかないか…【夜目】は要らないし、【火魔法】は森が燃えそうだ…」

 何か無いかと習得可能なスキルを一つ一つ調べる。

「おお、コレ良い。凄く良い」

 見つけたスキルは、【気配察知】と【魔力察知】だ。

 スキルの内容を確認して、状況にピッタリだと確信を強めた。


気配察知 補助 パッシブ

 周囲の気配に敏感になる。


魔力察知 補助 パッシブ

 周囲の魔力に敏感になる。


 それぞれのスキルを習得すると、何となく周りに何かの気配を感じる。

「うん、良い感じだ」

 使用したスキルポイントも其々2ポイントで、計4ポイントだった。スキルポイントには、余裕があるので問題はなかった。

 取得したスキルにはレベルが有ったので、これから使い続ける事でより性能が上がる事だろう。

「さて…気を取り直して、行くとするか」

 大鎌グロノスを構え直すと森の中に侵入した。

 楽しい楽しい、戦闘の始まりを前に軽く気分が高揚していた。

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