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Nostalgia world online  作者: naginagi
第二章
87/370

ひっそりと生産活動②

 大通りに出た私は、周りに露店がいるところを探す。

 露店が点在しているということは、私の商品も見てもらえると思ったからだ。

 そして露店が集まっている場所を見つけ、空いている場所に座る。


 さっそく取得したばかりの【取引】スキルを使用する。

 すると私の目の前に小さな絨毯が引かれ、アイテムをセットする画面が現れた。

 下調べでポーションの値段は今だと大体50-80Gとのことだ。

 レッドポーションはそこから倍近くとなっており、大体200Gだ。

 なので今回私は、効果が通常の30%ではなく35%のポーションを用意したので80Gで売り出すことにする。


 ポーションの値段を決め画面にセットすると、絨毯の上にポーションが現れた。

 どうやらこれは見本のように見せる意味で使われるそうだ。

 さて、お客さんは来るかな?



 開始から早三十分。

 チラチラ見てくれているプレイヤーはいるのだけれども、一向に近づいて見てくれようとしない。

 うーん…一体何が悪いのだろうか…?



「なぁ…あれって…」

「【首狩り姫】がなんで露店なんか開いてんだよ…」

「まさか今まで狩った敵対者のアイテムを…」

「でも見た感じポーションに見えるぞ…?」

「もしかしたらポーションで釣って他のを買わせようという商売なんじゃ…」

「いやいやそれはないだろ…」

「よし、じゃあお前買ってこい。俺は保証しないぞ」

「いっ今はポーションいっぱいあるから遠慮しとこうかな…」



 なんだかヒソヒソと話し合ってる感じのプレイヤーが何グループかいるなぁ。

 どのアイテム買うかの相談かな?

 でも、あれだけいるなら一人ぐらい見てほしいなぁ。

 私は軽く下を向きため息を付く。

 すると突然私の座っている場所が日陰となった。


「お姉様、何をしているんですか…?」


 私が顔を上げると、そこには海花を含めた海花ファンたちの姿があった。


「何って…ポーション販売?」

「…今まで狩ったプレイヤーの戦利品をセット販売するとかじゃないんですか?」

「なんでセット販売しないといけないの…」


 海花は私をなんだと思ってるの。

 確かにPKした時にいくつかアイテムを手に入れたけど、基本素材ばっかりだったし…。

 まぁお金は半分貰えたのは嬉しかったけどさ…。


「ちょっとお金稼ごうと思ってポーション作ってみたの。海花買ってよ」

「別に構いませんけど…なんだかんだあたしもそろそろレッドポーションに移行しないといけないんですけど…」

「海花が買ってくれれば資金が出来てレッドポーションも作れるようになる、はず」

「そのはずという言葉が微妙に信用できないのは気のせいでしょうか?」

「気にしない。それで黒花はどう?」


 私が黒花の名を呼ぶと、ファンたちの間をすり抜けて黒花が前に出てきた。


「お久しぶりです、アリス様」

「黒花も元気そうだね」

「イエス。マスターに日々可愛がってもらっております」

「へっへぇ…。あっ、そういえば黒花のおかげで新しい技覚えたよ。ありがと」

「黒花がお役に立てたのならば嬉しいです」


 うんうん。黒花みたいに海花も素直になってくれればいいのにね。

 って、なんか海花が頬を膨らませてる。

 どうしたのよ海花。


「お姉様っ! そのポーション一ついくらですかっ!」

「80Gで在庫が50個かな。一部失敗して効果薄くなっちゃったやつもあるし」

「えっ? 効果が薄く? どういうことですか?」


 あーそっか、海花たちは売られているポーションを買っているだけだからそういう生産事情とか知らないのか。

 でも海花のファンたちにも生産職っていなかったっけ?

 ポーションは作ってないのかな?


「んまぁ作り方によって効果が上がったり下がったりするってことだよ。海花のファンたちにも生産職いるから知ってると思ったけど?」

「いますけど、効果が薄くなることなんてありましたか?」


 海花がファンの中の調合持ちに聞いてみると、薄くなると初心者ポーションになってしまうとのことだ。

 ということは、薬草を粉末にしないでそのままやってる感じなのかな?


「んまぁ私がやった方法は教えてもいいんだけど、自分で見つけたほうが楽しいと思うから教えないでおくね」

「そうですね。自分で見つけたほうが達成感がありますしね。ではそのポーション五つください」

「じゃあ400Gね。今画面出すね」


 私は画面を操作してトレード画面を表示させる。

 それに私はポーションを五つ入れ、海花が400Gを入金したのを確認して了承ボタンを押す。


「…あの…お姉様…」

「何?」

「これって本当にポーションですか?」

「そうだけど?」

「じゃあなんで回復量が35%なんですか!? 買う前によく見てなかったあたしが言うのもなんですけど!」

「だから効果が上がる方法で作ったから?」


 何でって言われてもなぁ…多分知ってる人は知ってると思うし…。

 そもそも他のポーション屋でも効果が上がってるのは見てると思う…ってそうか、ある程度の上位勢にはリピータとかいるから売り切れることがあるんだろう。

 だから今まで海花たちはそういうポーションを手に入れてなかったんだろう。


「海花様、35%だとしたら少なくても当分使えますよ。派生スキルによって効果が下がるのが最低5%の最高10%で、下がったとしても25%は回復するということです。それに派生制限を超えたのが一つ程度ならば実質30%です」


 いやセルトさん。あなた第一陣でしょ。絶対知ってたでしょ。

 てかまさか海花たちに合わせるためにある程度の情報を出してないとか…。

 でも海花の事だから、下手に情報出されても困るとかそういうのを考えてあえてな気もあるし…。

 んまぁ売れるなら何でもいいや…。


 その後、海花が更に追加で二十個購入した。

 ごめんよ、海花のファンの生産者。

 君が作れば実質タダなのに…。

 でもそういう作り方があるっていう授業料っていうことで今回は許して。


 海花たちが去った後、安全だと判断されたのか何人かのプレイヤーが購入しに来てくれた。

 どうせなら来てくれたプレイヤー全員に購入してほしかったので、人数分で割った個数を購入最大値とした。

 すると全員その最大値まで購入してくれた。

 おかげでポーションは全部売れたので、4000Gが手に入った。

 これで追加の空き瓶を買いに行けるっ!

 それで空き瓶を買った後は時間まで薬草採取かな?

 時間的に結構急がないとこっちでも暗くなっちゃうし、現実でも十二時になっちゃう。


 急いで薬草採取をしたけど、ただ移動するだけと探しながらでは違うため、どうしても時間が掛かってしまった。

 なんとか日が暮れる前に結構な量の薬草は確保したけど、種を植える余裕がなかったため街に戻る前に適当に植えているのだ。


 家に戻れたのはもうGT22を回っていた。となると、実質動けるのはあと二時間未満というところだ。

 なのでさっさとやってしまおう。


【調合】スキルも上がっているためか、最初にやり始めた時よりは手際が良くなっている感じがする。

 おかげで一つ辺り1-2分程度で作れるようになった。

 まぁポーションの場合は、すり潰して水と混ぜるだけだからそこまで手間が必要ないからなんだけどね。

 とはいえ、まだLv10には届いていないので時間一杯頑張って作ってみる。


 レッドポーションも作る為に空き瓶二百個買ってきてよかった…。

 時間一杯までと言いつつ、夕方取ってきた薬草を全部使ってしまった…。

 いやまぁ、おかげでLv10になったからたぶんレッドポーションを作れると思うんだけど、如何せん一気に百個は作りすぎた感がある…。

 明日も…売れるかなぁ…。


 ログアウトをしようと思って画面を見ると、一件のメッセージが届いていた。

 誰からかなと思って見てみるとルカからだった。

 どうやら私がポーションを販売しているのを知って連絡をしてきたようだ。

 内容としては、空き瓶を納品してあげようかという話だった。


 私としては嬉しいのでお願いしようと返信しようと画面をスクロールすると、下の方にP.S.と書かれた文があった。

 えーっと…今、あなたの家の前にいるの…って嘘でしょ!?


 私は家のドアを開ける。

 しかしドアの前には誰もいない。

 なんだ冗談かと思ってドアを閉めようと少し横を向くと、小さく体育座りをしている女の子がいた。


「…ルカ、どこでこの場所知ったの…?」

「この前、アリスがこの辺りにいたの見た」

「ちなみにいつからここに…?」

「アリスが作業に入る少しあとぐらい」

「別にノックしてたら入れてあげたよ…?」

「邪魔かと思った」


 とりあえずルカを家の中に入れてあげる。

 ルカは変なところ気を使うんだからなぁ…。


「それで本題。空き瓶、いる?」

「うん…今も作ってるから欲しいけど…」

「じゃあ、空き瓶百……二百個につきレッドポーション十個を報酬」

「別に私は百でも全然いいけど…」

「レッドポーション、大体200G。空き瓶一つ15Gだけど、自作すればもっと安く作れる。大体10Gもあれば元取れる。値段としては一緒」

「んー…ルカがそれでいいなら私はそれでいいけど…本当にいいの?」

「だいじょぶ。…それにポイント稼ぐチャンス…」

「えっ? なんか言った?」

「何も言ってない。空き瓶足りなくなったら連絡して。そしたら作った分渡す」

「うん…でもルカ無理しないでね?」

「ありがと。頑張る」


 いや…無理しないでって言って、それが何で頑張るになったのかがわからないんだけど…。

 でもルカならちゃんと言えば無理はしないだろうし、ここはルカが自制してくれることを信じるしかないかな?


 とりあえずこれで空き瓶の問題はかなり解決されたと思う。

 それにレッドポーションならある程度売れそうだし、余裕があればデバフ系の薬も作れるかも。

 そうすれば多少はお金稼ぐのも早くなるかもしれない。

 私も頑張らなくちゃ。

 っと、もう十二時になっちゃう。


 ルカも一緒にベッドで寝るか聞いたけど、ルカはイジャードに行ってから落ちるということでこのままお休みということで別れた。

 さてと、寝る前に畑に軽くお水をやって、明日大学に行く前にも畑に少し多めに水をやれば帰ってくるまでは大丈夫…と信じたい…。

 やっぱり平日の管理についてはお手伝いさんを雇ったほうがいいんだよねぇ…。

 でもお金が…うーん…。

 どうするべきか…。

ポイント稼ぎは大事です。何のとは言いませんが。

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