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Nostalgia world online  作者: naginagi
第二章
85/370

お金を手に入れるのは大変

少し短めです。

「ふぁーぁ…」


 やはりというか予想通りというか、どうにも眠さという名の気怠さが残っている。

 やっぱり普段と違うレイド戦、しかも長時間の戦闘を行ったせいでどうにも精神的に疲労したようだ。

 その影響が今の私の状態だ。


「あらアリサ眠いの~?」

「うんー…ちょっと昨日のレイドの影響がまだ…」

「まぁアリサはあまり長時間の戦闘ってやってなさそうだったものね~」


 鈴の言う通りで、私は基本的に【切断】スキルの特性上大抵一撃で倒せてしまうことが多い。

 そのため、長時間の戦闘というのには慣れていないのだ。

 でも鈴たちもレイド戦なんて初めてだったろうになんで慣れてるんだろ?


「鈴はなんで慣れてるのー…?」

「銀翼はPTに分かれてダンジョンに長時間潜ったりしてるのよ~。だからある程度の長期の戦いっていうのもアリサと比べて慣れてるのよ~」


 なるほど。PTの場合だと一人だと気楽に出来る事でも、複数人で行動することによって適度な緊張感を持って行動しないといけなくなる。

 それが安全なフィールドではなく、ダンジョンのような危険地帯となれば更に緊張感は必要となる。

 それを繰り返すことによって、長時間の戦闘でも気を張り詰めれるようになるってことかな?


「アリサも体験してみる~? アリサならたぶん大丈夫だと思うわよ~」

「んー…うまく喋れるかわからないからやめとくー…」

「でも体験したくなったら連絡してね~」

「わかったー…」


 まぁもう少し人見知りとかが治ったら試してみてもいいかな…?

 それと、眠そうな私はともかく、今日も平常運転の正悟はそろそろ名物になるのかな?

 なんだかんだ周りの人も見てるし、からかわれないのはカップルっていうふうに思われてるからかな?

 まぁ野次を入れられないならそれに越したことはないけどね。


 そういえば、私大学に入ってから新しい友達出来てない気が…。

 いや、元から友達ほとんどいなかったんだけど…。



 講義の二限が急遽休講となってしまい、突然できた空き時間。

 早めに食堂に行って席に座って時間を潰しててもいいのだけれども、鈴は先程の一限の講義内容の質問に行き、正悟は涼しいところでお昼寝をしてくるから昼前になったら起こしてくれと言って行ってしまった。


 なので今私は一人でポツンと大学のカフェの席で座っている。

 ぼーっとしていてもいいのだけれども、どうせやることもないため、NWOの事でも考えてようと思ってノートを開く。

 まぁ考えることとしたら家のローンの計画だ。

 月五万、つまり十日で五万稼げばいいのでハードル的には低い。

 しかし、仮に五万ずつ払ったとした場合、返済までに四十月、つまり四百日必要となってしまう。

 いくらなんでも気が長すぎるため、ある程度返済速度を上げたいと私は思っている。

 仮に月十万とした場合、およそ二十月で二百日で返済が終わる。


 しかし、二百日である。ゆうに七ヶ月である。

 今が五月だから単純計算で十二月だ。


「あぅ…」


 お金…一杯稼ぐ方法…探さないとなぁ…。

 狩り…は素材が新しいと言っても他の戦闘職の人も出してるだろうし、そんなにポンポン売れないだろう。

 イカグモさんの糸…はあまり出しすぎても値崩れしそうだし、そもそもイカグモさんにも悪い…。

【採取】スキルを活用しての【調合】スキル取ってのポーション販売が手っ取り早いのかなぁ…?

 でも生産職って最初が大変っていうし、今更薬草と水だけで作るポーションがそんなに大量に売れるかというと…。うーん…。

 私は頭を抱えて悩む。


「あらぁ、アリサどうしたの~?」


 顔を上げると鈴が私を見下ろしていた。


「あっ鈴ぅ~。もう質問は終わったの?」

「えぇ、そこまで難しい内容じゃなかったからすぐ終わったわ~。それで正悟は~?」

「涼しいところで寝てるだってー」

「相変わらずねぇ~。それで、アリサは何に悩んでいたの~?」


 んー…言っていいのか悩むけど…まぁ鈴だから濁して言えばいいかな…?


「んーちょっとNWOでお金稼ぎどうしようかなーって思ってて」

「何か欲しい物でもあるの~?」

「ちょっと家買いたいからお金貯めたくて…それでどうしようかって考えてた」

「そうね~…。私たち銀翼は何人かの生産職と繋がっているから、そこに手に入れた素材を売っているわね~」


 あーギルドだとそういう捌き方もできるのか。

 そういうところって紹介してもらえないかな?


「ねぇ鈴、そういう生産職の人を紹介してもらうってことは可能?」

「んー…正直そういうのはギルドからしたら好ましくないと思うのよ~」

「どういうこと?」

「簡単に言えば、供給が増えちゃうってことで、今まで供給が1に対して取引相手が増えるってことは供給が2になるのよ~。その分買い取り値も下がっちゃう可能性もあるのよ~」

「そっかぁ~…」


 ちょっといい方法かなぁと思ったけど、無理というなら諦めよう。

 うーん…本当にどうしよう…。

 悩む私の姿を見かねた鈴は私に提案をする。


「ねぇアリサ、料理や【調合】スキルを取ってポーションは売らないの~?」

「うーん…」


 確かにその方法も考えたが、料理についてはまだ調味料や設備が揃ってないため、ロクな食べ物が作れない。

 調合に至っては、上位のレッドポーションは需要がありそうだが、普通のポーションがそこまで売れるのかという心配がある。

 更に、最近手に入れた素材を基に何か作製してもいいのだが、それがうまくいくかの保証がない。

 これが借金を背負っていない状況ならば試してもいいのだけど、今の現状ではあまりお金を減らしたくないという心情がある。


「まぁ無理に生産職をやる必要もないし、気が向いたらでいいと思うわ~」

「うん…」


 やっぱりギルドの依頼を受けてのお金集めが無難なのかな?

 とりあえず今売れてそうなレッドポーションの材料が手に入りそうなら、【調合】スキルを取ってみるのも考えてみるのも手かな?

 でも今更ナンサおばあちゃんに弟子入りするのも気を使わせそうだなぁ…。

 やるならこっそりかな…?


 本当にやるなら料理作って売るとかの方がいいんだけどね。

 早く調味料揃えたい…。

 早いところ畑に手に入れたばかりのレイクアップルの苗木植えて育てようかな?

 あれならそのまんまでも売れそうだし、無難に【成長促進】にすれば品質も下がらないと思うしね。

 というか私が食べてみたい。

 あとはレッドポーションの材料次第で空いてるところに植える感じで増やしてみようかな?

 ともかく情報集めしないと…。


 私は家に帰ったらさっさと支度してログインすることを決めた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 何かに時間取られてもいいならいくらでも稼げると思うけどね。狩り採取採掘で希少なもの片っ端から集めるとか引き篭もって生産するとかね。
2020/02/11 18:34 退会済み
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